国民の教育費は、ひとり5万円?

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 教育費がひとり5万円? 何の数字か想像できますか? 
 実はこれ、国家予算の話です。学校の整備や運営に、国民1人あたり年間5万円の費用が使われています。月あたりだと約4000円。とても身近な金額になります。この額が多いのか少ないのか、自分なりの意見を持てそうです。
 教育費(文教費及び科学振興費:平成24年度概算値)の総額は5.4兆円ですが、これだと額が大きすぎてピンときません。しかし、日本の人口を約1億人と仮定して1人あたりの額に計算すると、約5万円という、わかりやすい数字になるのです。
 経営コンサルタントの斎藤広達さんは、著書『「計算力」を鍛える』(PHP研究所/刊)で、こうした「なんでも@変換」を勧めています。
 「なんでも@変換」とは、データの数字を「一人あたり」の数字や単価に変換してみること。実感できない大きな数字を、自分の数字に加工できるのです。

■「@変換」を使うと、世界が違って見えてくる
 他の国家予算を見ると、防衛費は4.7兆円なので、1人あたり約5万円です。4人家族で20万円。中国や北朝鮮との関係を考えると、この数字が妥当なのか詳細な内容を知りたくなります。
 びっくりするのは社会保障費です。総額26兆円ですから、1人あたり26万円。月あたり約2万円です。給与から毎月引かれる額に加えて、毎月2万円払っているのです。
 新聞やテレビで報道される社会保障のニュースが、急に自分の話に思えてきます。消費税の増税についても、自分なりの意見が持てそうです。
 こうした@変換は、ビジネスでも使えます。
 たとえば、ファーストリテイリング社の国内ユニクロ事業の年間売上は約6000億円です。(2011年8月期実績) 日本人を1億人として、1人あたりの年間購入額を概算すると、約6000円。商品単価を1500円と仮定して、1人4点の商品を購入する計算になります。
 国民みんなが、春夏秋冬1着ずつ買うイメージです。ユニクロがいかに生活に浸透したブランドかわかります。自分の感覚と企業業績が、つながった感じがします。
 もちろん、日本国民は1億人以上いますし、国民のなかで「消費者」にカウントされる人の数は1億人より少ないはずですが、概算ですから大雑把で構いません。ざっくりと、でもとにかく数値化してみるのが大事なのです。
 もしも自分がユニクロの担当者だとしたら、具体的な数字のイメージを持っている方が、効果的な事業戦略を立てやすくなります。お客さんの姿をイメージできるのです。

 今回は「@変換」を取り上げましたが、本書には「36×18を簡単に暗算する方法」、「交渉で負けないシナリオ」、「本当は使える偏差値」、「計算力でウソを見破る」など、計算が苦手な人でも使いこなせる技が7章分紹介されています。
 定価840円ですから、1章あたり120円(840円÷7章)。缶ジュース1本分で身につく計算力のノウハウは、その何倍もの効果を生み出すはずです。
明日から使えるお得なビジネス書で、「数字に強い人」に進化してみませんか?
(新刊JP編集部)