日本作品の先陣をきって上映された『悪人』(10)/[C]2010「悪人」製作委員会

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映画祭2日目は、日本出品作品のトップをきって『悪人』(10)が上映された。

【写真】殺害されたOLの石橋佳乃役を演じたのは満島ひかり(左)

ストーリーの中で登場する灯台など、とても美しく詩的な部分が感じられる。登場人物も現実的な面が浮き彫りされており、俳優の演技も良く、複雑な人間の内面を描いた作品だという印象を受けた。殺された女性(満島ひかり)の父親(柄本明)は、思慮深く、最後には賢明さを示すところなど、多くの意義や意味を見出すことができる作品だ。しかしながら、我々、西洋の人間にとっては、物語の進行が非常に遅く、緩慢な印象が残った。もう一つ、さらに言うならば、これはもちろん文化の違いなのだが、イタリア人にとって少し理解しづらいところがある。それは、日本の若い男女の異性への接し方のスタイルだ。この作品のみならず、幾つかの日本の映画を見て感じるのは、相手(=異性)に対して、自分の感情をうまく表現できない、伝えられない、という姿だ。我々、イタリア人にはあまり考えられないことなのだ。

2日目が終わった現在のところ、中国の出品作品『ブッダ・マウンテン』(昨年の第23回東京国際映画祭で上映、最優秀芸術貢献賞・最優秀女優賞受賞)が高評価だ。将来の見込みもなく、それぞれが問題を抱える若者が、ベテランの女性オペラ歌手と共に共同生活し、成長していく姿を描いたリー・ユー監督の秀作だ。映画祭3日目の明日5月1日(日)は、『大奥』(10)、『シーサイドモーテル』(10)などが上映される。【現地取材:Marco Sottile/翻訳・編集:真野香理】

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