引き上げられた南宋時代の沈没船「南海1号」の考古調査チームは広東省陽江市にある「海のシルクロード博物館」で25日、第2次調査の結果発表を行った。

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 引き上げられた南宋時代の沈没船「南海1号」の考古調査チームは広東省陽江市にある「海のシルクロード博物館」で25日、第2次調査の結果発表を行った。中国新聞社が報じた。

 広州市海難救助局と英国企業が1987年、合同で、陽江市沖合で「東インド会社の沈没船」を探した結果、海底の泥に埋まる沈没船を発見した。沈没船は「南海1号」と命名された。文化財が盗まれることを恐れ、軍を通じて「海底で爆弾を発見」と発表し、漁民らを近づけないようにしたという。

 引き上げには「空気に触れさせると、木製の船体が修復不能な損傷を受ける」との理由で反対が強かった。しかし、沈没船を周囲の泥と一緒に巨大な鉄製の箱に入れて、水に浸した状態で引き上げる方法が開発され、2007年5月8日に引き上げ作業を実施。「南海1号」は、沈没地点に近い海岸に作られた広東・海のシルクロード博物館のプール内に、鉄製の箱に入れられた状態で、沈められた。

 25日の発表会では、「南海1号」は現在も「泥の中で眠って」おり、内部の本格的調査は未着手と発表された。周囲の泥を慎重に調査・研究中だ。甲板部分はすでに腐って失われたが、船体部分は残っていることが、すでに分かっている。2009年には8月から9月にかけて、船内中央部を部分的に調べて、陶磁器200点以上を発見した。その後、穴は埋め戻されたという。

 現在は、他の部分の発掘作業の方式が決まり、早ければ年内に実施するという。「南海1号」と内部には文化財6−8万点が存在すると考える専門家もいる。ただし、調査と整理には5−10年が必要という。

 「南海1号」は全長30.4メートルで幅9.8メートル。沈没時代は約840年前の南宋時代と見られている。当時の海上貿易の実情を知るために、世界でもトップクラスの遺物という。(編集担当:如月隼人)



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