米タイム誌が21日発表した2011年の「世界で最も影響力のある100人」に、中国の著名な芸術家で、4月初めに中国当局に拘束された艾未未氏(53歳)が選ばれた。BBC中国語サイトが22日伝えた。

 タイム誌の副編集長は「勇気と芸術の才能」により選出されたと述べた。同誌は米国のハンツマン駐中国大使の「艾氏は世界に中国の現代文化の活力を示した。より重要なことは、彼が同胞に同情を寄せ、政治改革を唱え、人々を助けて政府に直言し、正義を訴えたことだ」「世界から見れば、彼は中国の希望であり続ける」というコメントを掲載した。

 艾未未氏は4月初め、北京首都空港から香港に出発しようとして、当局に拘束された。外交部はその後「経済犯罪」の疑いで調査をしていることを認めたが、具体的な罪名は明らかにしていない。欧米各国の人権団体が中国当局に繰り返し釈放を呼びかけている。

 このほか「最も影響力のある100人」には、習近平・国家副主席、梁光烈・国防部長のほか、著名な出版プロデューサーの洪晃・中国互動媒体集団(インタラクティブ・メディア・グループ)総裁、有力経済誌「財経」元編集長の胡舒立女史、中国の大手ポータルサイト新浪(SINA)の曹国偉CEO、中国式スパルタ教育を綴った著書が米国で話題になった「タイガーマザー」こと蔡美児・米エール大学教授が選ばれた。台湾では財団法人「台湾仏教慈済慈善事業基金会(台湾慈済基金会)」創設者の証厳法師が選ばれた。

 中国共産党機関紙、人民日報のサイト「人民網」は25日、多くの「華人」が選ばれたことを伝え、上記のうち習国家副主席と梁国防部長を除く5人について紹介したが、艾氏のことは触れなかった。

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 艾未未氏は2008年の北京五輪のメイン会場「鳥の巣」のデザイン設計に携わったが、開会式には出なかった。人権活動家としても知られ、まもなく3年目を迎える08年5月の四川大地震で、「おから工程」(手抜き工事)の校舎の下敷きとなって多数の児童・生徒が死亡したことに対し、当局の責任を追及している。(編集担当:阪本佳代)



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