フランス代表にとって17日のイングランド戦は、今年最後の試合だったと同時に、歴史あるアディダスのユニフォームを身に着けて戦う(当面)最後の一戦となった。レキップ紙がこの機会に、フランス代表のユニフォームの変遷を振り返っている。

 “レ・ブルー”(青)の愛称をもつフランス代表だが、最初の10年間は白がメインカラーだった。青に定着したのは、フランスサッカー連盟(FFF)が発足した1919年以降。50年代から国内メーカーのル・コック・スポルティフがユニフォームを提供した後、1972年から現在に至るまで、38年間にわたりアディダスが担当してきた。この間には、1984年の欧州選手権初制覇、1998年のW杯初優勝、ユーロ2000優勝があり、フランス代表はその輝かしい歴史をつねに“三本線”のユニフォームとともに歩んできた。

 ところが2008年2月、FFFが2010年で切れるアディダスとの契約を更新しないことを決め、ナイキと新規契約を結んだ。2018年までの長期にわたる契約料は年間4200万ユーロ(約47億5000万円)と世界最高。これまでのアディダスとの契約料の3倍強にあたる。

 大枚をはたくナイキからすれば、W杯南ア大会で大幅なイメージダウンを招いたフランス代表に不安を感じたに違いない。しかしフランス代表はローラン・ブラン新監督の下、着実に再建の道を歩みつつある。ナイキにとってはいみじくも“新生フランス”を印象づける絶妙のタイミングとなった。またフランス代表にとっても、ユニフォームの一新が、新時代の幕開けを予感させるイメージチェンジにうってつけのイベントとなる。

 一方のアディダスにしてみれば、歴史に汚点を残す最悪の形で蜜月関係の終わりを迎えてしまった。フィガロ紙によると、W杯での人気低下でフランス代表ユニフォームの売れ残りは18万着(2010年7月当時)。アディダスはFFFに1000万ユーロ(約11億3000万円)の賠償金を求める構えと報じられた。