【薬剤師のつぶやき】「細菌」と「ウイルス」は大きく違う?

写真拡大

前回の「麻薬」と「覚せい剤」に続き、よく混同されている用語で「細菌」と「ウイルス」がある。報道でもままあるが、小説や物語の中でも取り違えられたりしていて、どっちなんだよ、と毎度毎度つっこみたくなる。
ウイルスの危機にあっていた「20世紀少年」でも、途中で「細菌」と記述が出てくるため、読んでいてどっちなのか混乱した(Wikipediaによると、「よげんの書」内の記述が細菌兵器で、実際に危機にあったのはウイルスらしい)。

細菌とウイルス、なにがどう違うのか。一言で表すと、細菌は細胞で、ウイルスは遺伝情報だ。
細胞であるということは、細菌は生物であるということで、生物であるということは、細胞分裂により自己増殖するということだ。ここまでは想像しやすい。一方ウイルスは、通常DNAもしくはRNAという、どちらか一方の遺伝情報しかもたない。それをタンパク質の殻が包んでいる。そして、単独では増殖できず、正常細胞に寄生して、自分のDNAなりRNAを送り込んで、宿主の遺伝情報を自分のものに複製して増殖する。
このように、増え方も違えば構成もまったく違うが、一番の違いはその大きさだ。細菌を含め、一般的な生物細胞が数〜数十µmであるのに対し、ウイルスの大きさは、数十nmから数百nmであり、細菌の1/100から1/1000という大きさになる。細菌はぎりぎり光学顕微鏡で見ることができるが、ウイルスはまったく見えない、といえばわかりやすいだろうか。

さて、なんでこんなことを書こうと思ったのかといえば、近頃タミフルの処方が多すぎて、問屋が休みの土日、在庫が間に合わない。新型インフルエンザの報道で死亡例なんかを丁寧にまとめていただいているので、患者がみんな神経質になっているのだ。
「これでウイルスが死ぬんですか」とか聞かれるが、ウイルスは死にませんよ。そもそも生きていないから。ではタミフルがなにをする薬なのかと言われれば、正しくは、「宿主細胞に働いてウイルスの増殖を抑える薬」といったところだろう。
しかし、まだ11月だというのに、今年のインフルエンザウイルスはどうなっているのだ。薬に頼るのもいいが、栄養をつけて免疫を高めるのも重要だろう。
とはいっても、これから年末に向かう忙しい時期、簡単に休めたら苦労はしませんよね。

(Written by 富野浩充)

【Nicheee!編集部のイチオシ記事】
宇宙に行ったパンの意外な製造元
意外と古い? 抹茶アイスの起源
この秋、九州のB級グルメ初代ナンバーワンが決まる!
「ハンサムらーめん」 ハンサムの真相に迫る
ウェディングケーキはもう伸びないのか