メッカ巡礼者200万人を運ぶモノレール:中国企業が建設中

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Keith Barry


最高の聖地であるカアバが存在するマスジド・ハラーム。100万人を収容できる。flickr/mo7amaD

サウジアラビア政府は、メッカ、ミナ、アラファト山、ムズダリファという聖地の間で巡礼者たちを運ぶ、18億ドル規模のモノレールを建設中だ。

これが完成すれば、市内の混雑した道路から5万3000台のバスが姿を消し、より安全で快適な巡礼の旅が約束されると、サウジ市民らは期待している。

このモノレールは今後4年間をかけて建設される予定であり、そのうち最初の部分(ある推定では約35%)が、11月25日から29日の間に行なわれる今年のハッジに間に合うよう開通される予定だ。

ハッジとは毎年恒例のメッカ巡礼の行事で、巡礼を実行する手段と能力を持ったすべてのムスリム(イスラム教徒)に[一生のうち1回は]行なうことが義務付けられている。ムスリムに課せられた五行の1つであり、したがって、毎年膨大な数の巡礼者が参加する行事だ。[巡礼者は数日間の間にメッカ、ミナ、アラファト山、ムズダリファを順に巡り、各地で定められた儀礼を行なう必要がある]

モノレールの利用は制限された形で行なわれる。これは、2006年1月にミナで発生した惨事のような事故を回避するためだ。この事故では、ミナにあるジャマラート橋への入り口に、満員のバス2台分の巡礼者が同時に到着し殺到したことで350人以上が死亡した。[ミナでは2年連続で将棋倒しによる死亡事故が発生。2005年には364人、2004年には251人がで死亡したという報道もある]

このモノレール・プロジェクトが成功すれば、間違いなく大勢の人々に利用されるだろう。ハッジは世界最大の巡礼行事で、2000年から2008年の間に、海外からの巡礼者数はほぼ2倍に増加した。2008年には200万人以上が巡礼したとされている。また、2006年のハッジの際には、高い気温やストレスによる死者が243人に上ったと見られている。その多くは高齢者や慢性疾患を患っている人たちだった。

4本の高架モノレール上を走る列車は、極めて危険になりかねない自動車による巡礼者の往来と、ディーゼルバスのアイドリングを回避し、1時間あたり最高2万人もの巡礼者を規則正しく運ぶことになる。すべての駅には駐車場が設けられる予定だ。

『Straits Times』によると、モノレールの建設を請け負っているのは中国のChinese Railway Corp.だという。

中国企業がサウジアラビアで着手している鉄道建設プロジェクトには、モノレールの建設の他にも、ジェッダを抜けてメッカとメディナを結ぶ、長さ約442.5キロメートルの高速鉄道システムプロジェクトもある。こちらはChina Railway Engineering Corporation(中國中鐵)が請け負っているものだ。

WIRED NEWS 原文(English)

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