市場規模187兆円の「完全自動運転」がついに解禁…!8.2兆円の巨額マネーが流れ込む「大化け期待」の本命5銘柄
2030年に1万台、日本が自動運転市場で逆転なるか
人工知能(AI)や各種センサーがドライバーの代わりに自動車の操作を担う自動運転の「完全無人化」が迫りつつある。政府は2030年度に自動運転サービス車両1万台規模の導入目標を掲げ、道路、信号機、通信網を一体的につなぐ路車協調インフラの整備を国家成長戦略の重要施策に位置付けた。政府は自動運転分野への投資額を2040年度までに8.2兆円と試算し、187.3兆円の経済波及効果を見込むなど、現在の自動車市場を上回る市場規模に育てる構えだ。
現在の日本の立ち位置を考慮すれば、ハードルの高い目標に映るものの、最初から無理と悲観的に決めつける必要はないだろう。AIの飛躍的な進歩は目覚ましく、良くも悪くも経験則を壊してくる。かつて「モノづくり大国」として世界をリードしてきたニッポンのポテンシャルを急速に蘇らせる期待も十分にあるからだ。
すでに2023年4月の改正道路交通法施行により、特定条件下でシステムがすべての運転操作を担う「レベル4(高度運転自動化:特定の条件やエリア内であれば、システムがすべての運転操作を担い、運転者の介入が不要な状態)」の公道走行が解禁されている。レベル4の社会実装には車両単体の認知・判断技術の限界を補う周辺インフラとのリアルタイムな連携が不可欠となり、法令が義務付ける遠隔監視体制を支える高度な通信網の確立が急務となる。日本のモビリティ産業も大きな転換点に差し掛かってきた。
KDDI〈9433〉
〇9月25日終値3,039円 予想配当利回り2.76%
自動運転を支える通信基盤を包括的に提供できる点が強みだ。2026年3月にはJR東日本とタッグを組み、山手線高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)周辺で自動運転バスの実証実験を実施している。交通量の多い都心部を走ることでデータや知見を収集した実績は、2027年度内の取得を目指す「レベル4」の認可に大きなアピールとなる。
「レベル4」では、遠隔監視システムによる運用が道路交通法によって義務付けられている。通信途絶を極限まで防ぐ5G SA(4G設備に依存せず、5Gの本来の機能を使える通信方式)網の全国敷設が重要な役割を果たすことは言うまでもない。広範囲なSub6エリア(速さとつながりやすさのバランスがよい5G用の電波)、商用ネットワークでスライシング活用ソリューション(1本の通信網の中に用途別の専用レーンを作る技術)を早期に提供できる優位性が発揮される。
2027年3月期を始期とする新中期経営戦略では、調整後営業利益の年平均成長率5%を目指し、利益成長率を従来の2.9%から高める計画だ。携帯電話の通信量は年15-20%のペースで増加を続けており、AIの浸透や自動運転への携帯電波活用拡大により今後も伸びが続くと見込まれる。2027年3月期に25期連続増配となる見込みの株主還元は、さらに充実度を増す期待は大きい。
日産が仕掛ける「AI運転」の2027年戦略
日産自動車〈7201〉
〇9月25日終値301.2円 予想配当利回り0.00%
現在の株価は、厳しい経営環境を反映してPBR(株価純資産倍率)0.2倍台という著しく評価の低い水準にある。一方、2027年度には遠隔監視設備を備えたレベル4によるモビリティサービスの提供を目指すロードマップと、グローバルモデルの約9割にAI自動運転技術(AIドライブ)を搭載する長期ビジョンを掲げている。レベル4サービス提供に向けた進捗を今後の各決算期で確認できれば、株価の底打ちを見極める分岐点を迎える可能性は秘めていよう。
大型ミニバン「エルグランド」には、2027年度中に車両周囲の認識から運転判断・操作までをAIが担う「エンド・ツー・エンド(E2E)」の自動運転技術が追加投入される見通しだ。E2Eは車載センサーの大量データから学習したAIが運転を制御するため、複雑な交通環境への対応力が高いとされている。
日本勢ではもっとも積極的に外部提携を進めている。英自動運転スタートアップのウェイブ・テクノロジーズに加え、配車アプリでは米ウーバー・テクノロジーズ、車載チップでは米エヌビディアと組み、公道でのロボタクシー試験運行を開始する計画だ。中長期的にはE2E技術を低価格帯の車種にも展開し、新車の9割まで自動運転車を広げる方針を掲げている。
東大発のAIソリューション企業
■PKSHA Technology〈3993〉
9月25日終値3,150円 予想配当利回り0.32%
深層学習(ディープラーニング)や自然言語処理、画像認識技術に強みを持つ東大発のAIソリューション企業。トヨタ自動車を出資元に持ち、トヨタ・ソフトバンク系のMONET Technologiesが主導するMaaSコンソーシアムへの参画など、モビリティ・MaaS領域での事業展開を続けてきた。E2Eを含むAIアルゴリズムの社会実装における技術力で優位性を発揮している。
収益源は、自然言語処理・画像認識・機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムを顧客のソフトウェアやハードウェアに組み込む形態と、自社ソフトウェア製品として販売する形態の2本立てだ。いずれも導入時のイニシャル収入と月額ライセンス収入から成る安定的なストック型モデルを志向している。
車両単体の知能化にとどまらず、路車協調やモビリティ領域のデータ活用需要の高まりは、同社のライセンス型収益モデルの拡大に寄与しうる。開発受託からアルゴリズムの月額利用料へとシフトするにつれ、売上高営業利益率の段階的な向上が期待できる。2026年9月期より初めて配当(1株当たり10円)を実施する方針を公表しており、純粋な無配の成長株というフェーズからは脱却しつつある点にも注目したい。
オープンソース型で世界標準を狙うティアフォー
■ティアフォー〈593A〉
9月25日終値1,962円 予想配当利回り0.00%
2026年7月に東証グロース市場へ上場した超新星ながら、世界基準のオープンソース(ソースコード公開)自動運転OS「Autoware(オートウェア)」の開発を主導するなど、フィジカルAI時代のディープテック企業に育つ期待を集めている。海外の自動運転レベル4関連企業の殆どが「垂直統合・クローズド(ソースコード非公開)」型で技術開発を進めているのに対し、ティアフォーはパートナーとの「水平分業・オープンソース」型という点で一線を画す。
Autowareの開発者の約7割は同社以外のエンジニアであり、外部の技術革新を取り込めるエコシステムを通じたスピーディーな世界展開が可能となる。Autoware自体は無償公開のため直接的な収益には直結しないが、将来的に標準化が進めば、基盤を握るティアフォーに収益機会の余地が生まれよう。
政府目標が成長ドライバー、オムロンも動く
現在は研究開発費が先行する局面にあり、営業キャッシュフローは依然マイナス圏にある。PSR(株価売上高倍率:株価が1株当たり売上高の何倍かを示す指標)などを基準とした将来性の織り込みが評価軸となるだろう。政府が掲げる「2030年度に自動運転サービス車両1万台の社会実装」、「2030年代に日本企業による自動運転車の世界販売台数シェア約25%を達成」という目標は、同社のソフトウェアエコシステムにとって重要な成長ドライバーとなりそうだ。
■オムロン〈6645〉
9月25日終値6,325円 予想配当利回り1.74%
自動運転を支えるインフラ用センサーおよび信号・交通制御システムの国内有力ベンダー。ファクトリーオートメーション(工場自動化)で培ったセンシング&コントロール技術を道路交通インフラ分野へ応用し、ミリ波レーダーや光センサーを用いた高度な路側感知器、インテリジェント信号機を開発・提供している。レベル4自動運転では、交差点の死角や悪天候時における車両側の認識限界を補う「路車協調(インフラから車両への情報提供)」が不可欠であり、同社の地上機器が安全確保の要となろう。
総務省が推し進めるITSインフラの規格標準化と全国主要交差点への高度通信機器の設置計画は、同社の公共投資受注を増加させる期待につながる。また、収集した交通ビッグデータをリアルタイム処理するエッジAIカメラなどの機器群は、スマートシティ構想とも連動しており、自治体向けの大規模システム更新案件の獲得に寄与する。
業績面では、中国ローカルメーカー向けFA(工場自動化)需要の取り込みに加え、AIサーバーラック用基板の複雑化に伴いX線基板検査装置(AXI)の需要が大幅増続伸。制御機器事業が想定を上回るペースで回復しており、2027年3月期通期の連結業績予想(営業利益800億円・前期比41.7%増)は期初計画から上方修正された。構造改革を経て収益性回復が本格化する局面を迎えたと言えそうだ。
レベル4は中国や北米がロボタクシーで先行するものの、日本勢も政府の強い後押しと法整備の進展により、2027年度から2030年度にかけて関連市場の拡大が見込まれている。
日本の基幹産業である自動車分野と、最先端の通信・AI技術が融合する自動運転インフラ市場は、単なる移動手段の自動化にとどまらず、少子高齢化に伴うドライバー不足や地方の移動課題を解決する国家的ソリューションだ。技術的優位性と政策的整合性を備えた企業群に長期目線で注目する価値は大いにあるだろう。
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