【山野 祐介】終電で寝過ごした小金井駅にて始発まで耐える「2640円の最適解」とは…駅の証明写真機では中年男性が眠っていた!
【前編を読む】「寝過ごしたら"詰む"」宇都宮線の終点・小金井…深夜1時、始発まで4時間。想像以上に「逃げ場がなかった」
小金井駅周辺の「選択肢のなさ」
「もしかしたら、Googleマップに載っていないお店があるかもしれない」と、西口を進み、埼玉と栃木をつなぐ大動脈・国道4号を小山方面へ歩いてみた。
「マクドナルド」や「幸楽苑」といった飲食店、ホームセンターの「カンセキ」などが並んでおり、まったく何もない駅ではないことが分かる。ただし深夜営業をしている店舗はなく、すべて閉店している。入れる建物は一つもない。
それでもさらに歩き続けると、1キロほどで「セブンイレブン小山羽川北店」に行き当たる。私が駅周辺を歩いて調べた限り、ここが駅周辺で唯一イートインのあるコンビニだった。
1時半ごろに入店したが、イートインは閉鎖されておらず、最悪ここで夜を明かすことも可能だと分かった。なるべく金をかけずに雨風をしのぎたいなら、このセブンイレブンを目指すべきだろう。ただし駅から約1キロあるため、冬場や雨の夜に歩くにはやや辛い。
徒歩圏のコンビニは他に、西口の「ファミリーマート国分寺川中子店」と東口の「セブンイレブン栃木小金井駅北店」もあるが、どちらもイートインはなかった。
また、セブンイレブン小山羽川北店から200メートルほど先には、アダルトショップ兼古本屋の「メガトン書店」があるが、身体を休められる施設ではなく、3時閉店のため「始発まで立ち読みする」という手も使えない。
以上が、小金井駅周辺の施設情報のすべてである。冗談ではなく、駅から徒歩で行ける範囲に営業中の店舗はほぼなく、選択肢が本当にないのだ。
2640円で快適に過ごす方法
だが、「イートインや駅前のベンチで夜を明かすのは嫌だ」、しかし「1万円も払いたくない」という人には、もう一つ選択肢がある。
駅前に点在する「カーシェア」だ。車はある意味で密室であり、シートは駅のベンチよりはるかに柔らかい。カーシェアで車を借り、運転はせずに「避難所」として使うのだ。
「タイムズカーシェア」のベーシッククラス車の場合、料金は15分220円。1時から始発の出る5時まで借りると単純計算で3520円だが、夜間はナイトパックが適用されるため2640円で済む。小金井駅周辺にはポートが3つ、車は合計5台あるため、借りられないという事態はまず起きないだろう。タイムズカーシェアは免許証があればアプリから即日登録が可能なため、終電で寝過ごして小金井で目覚めてしまったら、まずアプリを入れるのが小金井駅での有力な解のひとつである。
ただし、カーシェアはあくまで「移動」のためのサービスであり、駐車場に停めたまま滞在する使い方は本来の想定ではない。アイドリングは推奨されておらず、「エアコンをかけて快適に過ごす」というわけにはいかない。夏場は暑さ、冬場は寒さに耐えながら朝を待つことになる。それでも吹きさらしの駅前で4時間立ち尽くすよりは、はるかにましだと思う。
私もカーシェアを借り、セブンイレブンで買ったお弁当を平らげ、数時間ウトウトと微睡んだ。少し蒸し暑いものの、耐えられないほどではなく、ゆっくりと休むことができた。蚊が飛び交う駅前のベンチではこうはいかないだろう。
駅構内で驚きの夜の明かし方
小金井駅の上り始発電車は4時57分のため、空が白み始めたころにカーシェアを返却し、駅へ向かった。
……そこで、この夜いちばん忘れがたい光景に出くわした。駅構内の証明写真機の中で、男性が寝ていたのである。
たしかに証明写真機には座面があり、風がしのげて、人目からも隠れられる。料金もかからない。小金井駅は東西の連絡通路が構内にあるため、電車のない時間でも開放されている。
言われてみれば、この駅で朝を待つ人間が最後にたどり着く「個室」として、これほど理にかなった場所もない。終電で降りた、あのキョロキョロしていた男性だったのかは分からない。ただ、タクシーにもカーシェアにも頼らなかった誰かが、この駅なりの答えを自力で見つけたことだけは確かだった。そして2640円を払った私が、急にみじめに思えてきた。
言うまでもなく証明写真機は寝るための設備ではないし、本稿として推奨はできない。できないが……この駅の「何もなさ」を、どんなデータよりも雄弁に物語る光景ではあった。
終点駅がここまで不便な理由
ここまで検証した通り、「始発を待つ」という観点で考えると、小金井は相当に不利な駅である。
もしもあなたが終電の宇都宮線に乗って寝過ごしてしまい、小金井よりも手前で目覚めたのなら、絶対に手前の小山で降りたほうがいい。宇都宮行きの終電で小山を過ぎてしまったなら、中途半端な駅で降りず、そのまま宇都宮まで行ったほうがいいだろう。
「終電の終点」に設定されている駅は「利便性が高いから」ではなく、「車庫があるから」という理由で終点になっていることが多いため、選択肢が多い駅で降りたほうが助かることが多い。私のように2640円を払って敗北感を得たくないのであれば、この鉄則は守るべき。それが、私からのメッセージだ。
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