300年以上続く伝統の「わらじ祭り」…100キロ超の巨大わらじを海へ 担い手不足のなか祭りを守る地元男性に密着
三重県志摩市で300年以上続く伝統の「わらじ祭り」。海の安全と大漁を願い、巨大なわらじを海へ流します。少子高齢化や若者の流出で担い手が減るなか、祭りを守ろうと奮闘する地元の男性に密着しました。
■300年以上続く奇祭「わらじ祭り」
熊野灘と太平洋が一望できる志摩市大王町波切。灯台がある絶景を求めて、多くの画家が訪れたことから、絵描きの町ともいわれています。半世紀近く続く真珠の土産物店の看板には。
店主:
「わらじ祭りとして、“だんだらぼっち”を描いています」
昔、海辺の村を荒らす巨人・ダンダラ法師に困った村人たちがこの村にはさらに大きな巨人がいると思い込ませるため、巨大なわらじを海へ流し退散させたという伝説に基づくものです。
坂中さん:
「稲刈りを手伝って、頂いた脱穀した後のわらで大わらじを作ります」
祭り全体を取り仕切る当主・坂中伸介さん(54)。この日は、巨大なわらじを作るために大量のわらを調達していました。
■少子高齢化と深刻な人手不足の中つなぐ伝統
少子高齢化や若者の流出で深刻な人手不足。かつては100人以上でやっていた作業も今は30人ほどで担っています。
坂中さん:
「なんとか続けようと思ったら、なんとか続く。別に形が変わっても仕方がない」
大王町で生まれ育ち、小さい頃からこの祭りに関わっていた坂中さん。普段は干物店を営む傍ら、地元の中学や高校で美術の非常勤講師も務めています。
坂中さん:
「干物店と美術講師の二足のわらじです。祭りで三足目のわらじを流してきます」
巨大わらじ作りで引き継がれているのは、板一枚のシンプルな設計図のみ。あとは口頭での伝承です。
20代の男性:
「昔から続いている祭りなので、みんなで続けていくことが大切です」
60代の男性:
「時代にあわないことをやっているわけですから、今からの子に託すしかないです」
長さ2.3メートル、幅1.7メートル、重さ100キロ以上の巨大わらじが完成しました。
坂中さん:
「皆さんのおかげでいいわらじができたと思います」
■海へと流される巨大わらじ
祭り当日。漁師や学生などの4人の男衆たちが、巨大わらじを担ぎゆっくり練り歩きます。祭りの当主として先頭を歩く坂中さん。石段を下り浜へ。
海の安全と大漁を祈願し、命がけで沖へ。漁船の近くで巨大わらじを離します。300年以上続くわらじ祭り。その歴史は、今を生きる人たちの手によって受け継がれています。
20代の大学生:
「自分で組んで流す作業は感動があります。自分の中でも責任感がありますね」
坂中さん:
「300年といってもやはり1年1年の積み重ね。その積み重ねを1つ重ねることができほっとしてます。わらじを流すことを途切れさせないように、守っていかなければと思っています」
2026年9月14日放送
