【作者を取材】子ども目線で戦争体験を描いた絵本が日本絵本賞の大賞受賞 戦争体験者の証言をもとに制作
子どもの頃のさまざまな戦争体験をもとに制作された絵本『いま、日本は戦争をしている−太平洋戦争のときの子どもたち−』の作者・堀川理万子さん(60)にインタビュー。絵本に込めた思いを伺いました。
絵本は“ほんとうに子どもたちに読んでほしい優れた絵本”に与えられる、第31回日本絵本賞の大賞を受賞しました。読者である子どもたちが、戦争の恐怖や理不尽さをより身近に感じられるように戦争体験者たちの子どもの頃の記憶を忠実に再現しています。子どもの目線で描いた理由について「同い年の子がこんな目にあったのかとか、こんな大変なこと自分だったら我慢できるかなとか、今の日常の中に戦争が入り込んできたらどんなふうになるんだろうみたいなことを想像してみてほしいです」と語りました。

堀川さんは、戦争を体験した方々から直接、子どもの頃の話を聞き、語られた言葉をノートに書き留め、その中からエピソードを選んでいきました。記憶の中の光景を絵と文章にして本人と何度も確認を重ねながら、約3年かけて制作したといいます。
その中で長崎への原爆によって、一瞬で家がなくなった体験などを話してくれたのが榊安彦さんです。8歳のときに爆心地から約1.5キロの家野町の自宅で被爆しました。特に安彦さんが伝えたかったというのが、原爆の犠牲となった姉・フミコさんへの思いです。からだの半分がひどいやけどで紫色になっているフミコさんとその横に寝かされた安彦さんを描いた堀川さんは、「お姉さまへのごめんなさいっていう気持ちと伝える使命感でこの絵はできてるんですよね」と思いを明かしました。
一方、7歳のときの沖縄・名護市での体験を語ってくれた比嘉義秀さんの絵では、数多くの遺体が横たわる道を食料を担いで歩く比嘉さんの姿が描かれています。戦争の凄惨(せいさん)さを具体的に表現してほしいという比嘉さんの強い思いで何度も描き直したといいます。「ブルーの空で死体もほとんど草で隠してっていうふうにしていて、比嘉さんが“何これ”って感じだったんです。最終的に出来上がった絵をお目にかけたときにやっとこれだったらっていう感じでとてもほっとしました」と制作の苦労を明かしました。
さまざまな場所で体験した戦争の記憶を絵本という形に残した堀川さんは「お話を伺っているうちに私自身も追体験するみたいな気持ちがしました。高齢ですけれども戦争を体験された方が残ってらっしゃるので、話を聞くチャンスがあれば、なるべく聞いていただきたいなって思うんです。平和を失うってことの意味、そういうのを考えてくれたらなって思います」と次世代への思いを語りました。
(8月17日放送『news every.』より)