「腸アニサキス症」の治療費は“いくら”?知っておきたい【薬】と保険の真実とは

腸アニサキス症と診断されたとき、治療にどのくらいの費用がかかるのか、保険は使えるのかと不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。診察・検査・入院・手術など、治療の内容によって費用は大きく異なります。ここでは、保険適用の範囲や診断の流れ、費用の目安について分かりやすく整理します。受診前に知っておくことで、費用面の不安を少しでも和らげる助けになれば幸いです。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腸アニサキス症の治療費の目安と保険適用について

腸アニサキス症と診断された場合、治療にかかる費用が気になる方も少なくありません。このセクションでは、治療の種類と保険適用の有無、費用の目安について解説します。

腸アニサキス症の主な治療方法とその費用の概要

腸アニサキス症の治療は、症状の程度によって方針が異なります。軽症の場合は、保存的治療として薬物療法と経過観察が行われることが多く、症状が数日以内に自然と改善するケースもあります。一方、腸閉塞など重篤な合併症が生じた場合には、外科手術が必要となることもあります。
胃アニサキス症であれば内視鏡(カメラ)を用いてアニサキスを直接除去することが可能ですが、腸アニサキス症では腸の奥に幼虫がいるため、内視鏡での直接除去が難しいことが多いとされています。腸の炎症が強い場合や腸閉塞を起こした場合、絶食・点滴療法(ステロイドを含む)が奏功しない場合は、手術が選択されることがあります。
費用の目安についてですが、腸アニサキス症の診断・治療は健康保険(公的医療保険)の適用対象となります。初診での診察料、血液検査や画像検査(CT検査など)、処置・手術にかかる費用は原則として保険適用となるため、患者さんが実際に支払う自己負担額は、3割負担の場合で治療内容によって大きく変わります。
軽症で外来治療のみで済んだ場合の自己負担は、数千円程度になることもあります。一方、入院や手術が必要となった場合は、入院費、手術費、麻酔費などが加算されるため、自己負担額が数万円から十数万円の範囲になることも考えられます。具体的な費用は医療機関や地域によって異なるため、受診の際に確認することをお勧めします。

腸アニサキス症の検査費用と診断の流れ

腸アニサキス症の診断は、症状の経緯(問診)や身体の診察に加え、血液検査、腹部の画像検査(超音波検査、CT検査など)を組み合わせて行われることが一般的です。
問診では、いつ何を食べたか、どのような症状がいつから始まったかを医師に詳しく伝えることが診断の助けになります。腸アニサキス症は症状の発現が遅いことから、食事から数日後に受診する場合もあり、医師が食歴をしっかり確認することが診断の精度を高めます。
血液検査では、炎症の指標となる数値(白血球数やCRP値など)が上昇しているかを調べます。腹部の画像検査では、腸の状態や腸閉塞の有無を確認します。
検査費用については、血液検査のみの場合は数百円から数千円(3割負担)の範囲であることが多く、CT検査が加わると3,000円から5,000円程度が目安とされることもあります。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、医療機関や実施する検査の内容によって異なります。費用に不安がある場合は、受診前に医療機関へ確認することを検討してみてください。

まとめ

腸アニサキス症は、生魚を食べた後に腸へアニサキスが侵入することで起きる感染症で、強い腹痛や腸閉塞などの症状が現れることがあります。予防の基本は、魚の加熱処理や冷凍処理、鮮度管理の徹底です。感染後は腸への刺激が少ない食事を心がけ、再感染を防ぐための食生活の見直しも大切です。治療費については保険が適用され、高額療養費制度の活用で負担を軽減できる可能性があります。症状が気になる方は、早めに消化器内科へ相談されることをお勧めします。

参考文献

厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」

国立健康危機管理研究機構「アニサキス症とは」

食品安全委員会「アニサキスによる食中毒」

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」