※画像は生成AIによるイメージです

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お盆のUターンラッシュを控え、新幹線の車内は帰省客や観光客で混雑する時期。指定席は早々に埋まり、通路にはスーツケースがひしめき合う光景も、この時期おなじみです。
実はJR東海・西日本・九州は、東海道・山陽・九州・西九州新幹線で3辺合計160cm超250cm以内の「特大荷物」を持ち込む場合、事前予約制の「特大荷物スペースつき座席」(追加料金なし)の予約を必須としています。予約なしで持ち込むと、手数料1,000円が発生する仕組みです。

今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソード。指定席の足元に巨大スーツケースを押し込んだ男性と、リクライニングを倒せない前席乗客が繰り広げた、車内での“地獄の2時間”です。

記事後半では、新幹線の大型荷物ルールを、あらためて確認します。

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◆初めての東京出張、まさかの“ハズレ席”

 入社して一年目の秋。木内さん(仮名・24歳)は、念願だった東京本社への出張を任されました。社会人としての第一歩を刻む機会に胸を躍らせつつも、どこか緊張の色を隠せなかったといいます。指定席は2列席の通路側。新大阪駅を定刻どおりに発車したのぞみ号の窓側席にはまだ誰もいませんでした。

「正直、誰も来ないまま東京まで行けたら嬉しいなって……心の中で本気で祈っていました」と木内さんは苦笑混じりに語ります。

 しかし、その淡い期待は京都駅に停車したわずか数分後、あっさり崩れ去りました。ドスドスと通路を歩いてくる大柄の男性。手には、一般的なスーツケースの倍はあろうかという巨大なケースが。そして、男性は木内さんの前で立ち止まると、開口一番こう言ったそうです。

「兄ちゃん、ちょっと狭くなるけど、大事な反物が入ってんねん。足元に置かしてな」

 幸先が悪すぎる展開が木内さんを待ち構えていました。どうやら“ハズレ”席だったようです。

◆地獄の2時間が始まった

 反物――。ただ、ぱっと見、そのスーツケースはどう見ても一週間の海外旅行に使われるような大型サイズで、和装の品が入っているようには到底思えず、男性は確認も待たずにケースを窓側の座席前にドン、と置き、そのまま腰を下ろしたといいます。

「冗談抜きで、僕のスペースにもケースが半分食い込んでいたんです。太ももに当たるし、足は窮屈だし……。思わず、『これは地獄の2時間が始まったな』と思いました」

 さらに悪いことに、その男性は間髪入れず、匂いの強い幕の内弁当を広げ、ビールをプシュッ。揺れる車内に漂う油と魚の匂い。木内さんは、ただただ耐えるしかなかったといいます。

「そのあと、イヤホンの音漏れがキンキン響く上に、いびきをかきながら爆睡ですよ。正直、通路に逃げようかと思いました」

◆前席の乗客と一触即発状態

 のぞみは速度を増し、名古屋を過ぎようとしていました。周囲の乗客が仕事の資料に目を通したり、仮眠を取ったりしている中、ただ一人、木内さんだけが“隣の騒音と圧迫”に耐えながら東京へ向かっていました。

 そして、その騒動の火種は、思わぬ方向へと転がっていきました。

「男性の前に座っている乗客が、ゆっくりとリクライニングを倒そうとしたんです。最初は普通の動作でした。でも……」

 何度試しても、倒れない。ほんの数センチ倒れた程度で“ゴン”と引っかかる感触があったようです。理由は明白でした。そう、あの巨大スーツケースです。高さも厚みもあるケースは、前席の背面に完全に接触し、リクライニングを阻んでいたのです。

「前の方が何度かトライしていたのですが、全然倒れないんです。しまいには小さく舌打ちが聞こえました」

 男性はイライラした様子で何度も振り返り、状況を確認していました。しかし、当のスーツケース所有者はというと――。