7月17日、衆議院予算委員会集中審議に出席した小泉進次郎防衛相(写真・長谷川 新)

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防衛省海上自衛隊の公式Xが8月3日に投稿した動画が物議を醸している。

海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」は7月29日、アメリカの長距離巡航ミサイル「トマホーク」の実射試験をはじめて太平洋上でおこなったが、動画はその発射の様子を47秒ほどにまとめたものだ。

映像は至近距離から捉えたトマホークの打ち上げシーンで始まり、艦内の隊員たちが映し出される。《Pacific Ocean 2026 Jul 28(日本時間7月29日)》のテロップが出た直後、《TOMAHAWK READY//》の字が浮かび上がるとともに「トマホーク レディ」の声が。その後、艦内の映像になり、「戦闘用意」の声とともに隊員たちの緊張した様子が映され、「発射用意」「撃てー」の合図のあと、トマホークが発射される。最後に《JMSDF》の文字が浮かび上がり、そのあと海上自衛隊の字幕で動画は終わる。

トマホーク発射の場面を至近距離から撮影しており、生々しい映像なのだが、動画のなかではところどころBGMが流れており、さながら映画の1シーンや、プロモーションビデオのようでもある。

小泉進次郎防衛相は8月4日夕方、この投稿について自身のXで、《昨日はこの動画を海上自衛隊の護衛艦「ちょうかい」の艦長以下乗員のみんなと一緒にみて、トマホークミサイルの実射試験成功を喜び合いました。ぜひご覧ください。これからも着実に日本の抑止力を強化し、平和を守り抜く決意です。》とリプライしている。

元幹部自衛官が言う。

海上自衛隊は以前から陸自や空自と違って、発想が斬新というか、新しいことをやりたがる組織です。今回の動画はできるだけ多くの人に見てもらおうという意図で作成したのでしょう。広報活動の一環だと思います。ただ、戦争の放棄を定めた日本国憲法のもとで生きてきた国民ですから、抵抗感を覚える人も相当数いるでしょうね。

平和の実現に向けてはもちろん、外交努力や話し合いで解決することがベストだと思います。ただ、現実はそうとは限りません。広島平和記念式典があった6日には、北朝鮮はミサイルを発射しています。世界情勢を見る限り、日本の国民も防衛意識を考え直す時期にきているのかもしれません」

この動画に対してX上では

《すごい!最初何かの映画かと思ったら実物の実映像!》
《本当に頼もしい限り》

などと好意的に受け止める声があがる一方、批判的な声も相次いでいるのだ。

《BGM付きで戦争を美化しないでほしい。防衛?この動画が抑止力になるとでも?》
《人命を奪うための兵器を「かっこいい」と感じさせるようなこの動画に、強い嫌悪感を覚える。熊本地震で自衛隊さんにお世話になってるのに、とても悲しい。》

政治部記者が言う。

「プロモーションビデオ風といえば、8月3日に首相官邸のXアカウントが、高市早苗首相が熊本地震による被災状況視察を伝える動画を投稿しました。ただ、ピアノのBGMが流れ、約2分間の動画には様々な撮影・編集技法が駆使されており、高市氏の政治的パフォーマンスに利用しているとも捉えられる動画に仕上がっていました。そのせいかX上では《被災地を自己PRに使うな》などと批判的な声が多く出ています」

本誌は、トマホーク動画の制作意図および相次ぐ批判について、防衛省報道室に問い合わせた。防衛省海上幕僚監部広報室からは以下の回答が寄せられた。

《本動画は防衛省として取り組んでいるスタンド・オフ防衛能力整備の一環であるトマホーク事業に関して、実射試験の様子を撮影・編集した映像であり、トマホーク事業の進捗状況を、国民の皆様に分かりやすくお伝えすることを目的としております。

様々なご意見があることは承知しています。その上で、海上自衛隊としては、引き続き、平素から自衛隊の活動や防衛力整備の取組について、国民の皆様に正しい情報を分かりやすくお伝えできるよう、適切な情報発信に努めてまいります》

「分かりやすく伝える」ために、BGMは必要だったのだろうか。