【taka :a(大石敬之)】セブン夏の風物詩「北極ラーメン」今年も売り切れ続出…実は素人には分からない”ステルス味変”が起きていた

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セブン「夏の風物詩」としてすっかり定着

毎年「セブン-イレブンの日(7月11日)」が近付くと、セブン&アイグループ各店の陳列棚に並び始め、早い店舗では2週間と経たずに売り切れる激辛カップ麺がある。--そう、熱狂的なファンを数多く有している「蒙古タンメン中本」監修シリーズの夏季限定商品「北極ラーメン」だ。

都内を中心に店舗を展開している「蒙古タンメン中本」は、1968年(昭和43年)9月12日に先代の故・中本正(なかもと ただし)氏が創業した「ボルシチの店」(後の「中国料理 中本」)を起源とし、1998年(平成10年)12月28日に閉店。その事実に多大なショックを受けた20年来の常連客・白根誠(しらね まこと)氏が何度も先代に掛け合い、2000年(平成12年)2月10日に復活を遂げた店だ。

同店のカップラーメンが初めて発売されたのは17年以上前、2008年(平成20年)11月26日。共同開発者は日清食品で、この商品が現在も販売されている「蒙古タンメン中本 辛旨味噌」のルーツであり、いまやセブンプレミアム全商品の中で売上(金額ベース)No.1の座を獲得している。

ただ、こちらは激辛カップ麺ではない。たしかに辛さは強めに設定されているが、辛さのインフレ状態ともいわれている近年、ふつうに辛口‥‥いや、むしろ“ちょうどいい辛さ”だと感じているユーザーも少なくないだろう。

しかし、夏季限定の「北極ラーメン」は違う。

こちらは実店舗のグランドメニューで最も辛い「冷し味噌ラーメン(通称:ひやみ)」に次ぐ激辛メニューを再現したもので、申し分なく辛い。なぜ、これほどまでに人を選ぶ辛さの商品が瞬く間に売り切れる現象が起きているのか--。

カップ麺版「北極ラーメン」の歴史を振り返る

それについては以前、ストレス社会の現代において“強い刺激(辛味)で不快感(ストレス)を打ち消そう”という心理が働き、辛い食べ物を食べると一時的にストレスが緩和される。それが癖になってきたユーザーは、ストレスが溜まるたびに辛いものが無性に食べたくなる傾向がある――と、本サイトで分析しているため、ストレスと辛さの関係についての詳細は割愛するが、もちろんストレス過多だけが爆発的な売上スピードに貢献しているわけではない。

まず、セブンプレミアムにおける「北極ラーメン」の歴史を振り返っておこう。

本商品が初めて発売されたのは、蒙古タンメン中本シリーズの発足から約5年8ヶ月後、2014年(平成26年)7月14日。当初は1食あたり84g(めん60g)のレギュラーサイズで、翌年にも同じサイズで登場した。

その後、2016年(平成28年)7月11日発売品から1食あたり111g(めん80g)の縦型ビッグに切り替わったが、依然として多くのユーザーに注目され、当時から2週間以内に完売する店舗が続出するほどの人気を博していた。以降、2017年7月10日、2018年7月10日、2019年(令和元年)7月8日、2020年7月3日と毎年「セブン-イレブンの日」が近付くと現れるようになり、激辛好きの間では“夏の風物詩”として認知されるようになる。

ここで面白いのは、2016年から2020年まで販売価格を維持しつつ、内容にも一切手を加えていなかった点だ。

いくら人気商品とはいえ、5年もリニューアルせずにスペックを維持し続けるケースは異例である。しかも、2019年6月1日に即席カップ麺業界全体で希望小売価格の改定(値上げ)が実施された背景があるにもかかわらず、販売価格を変更しなかった点についても、まさに企業努力の賜物だと感じた。

2021年を境に“ある変化”が起きていた…!

もちろん、それにも限界があったようで、2021年7月3日発売品より販売価格を従来の税別198円から税別208円に値上げしている。しかし、ここでセブン-イレブンと日清食品は単なる値上げに終わらせなかった。

最も目立っていた変更点は、麺の量を80gから85gに増量したこと。つまり、198円から208円の値上げ率は約5.05%、麺80gから85gの増量率は約6.25%であることを踏まえると、ステルス値上げとは真逆の現象が起きたことになる。

ただ、このタイミングで従来の味付豚肉が大豆たん白加工品(フェイクミート)に変わったため、それについてはトレードオフといわざるを得ない。また、若干ながら体感的な辛さの加減が大人しくなり、糖類の甘さは増し、とろみも強くなるなど、気づく人は気づくほどの変化が生じていた。

しかし、それでも販売スピードが目に見えて落ちたわけではない。むしろ、従来品よりも味噌の重厚感やフライドガーリックのアクセント、豚骨のコク、すりごまのパンチなどが明瞭になった。結果として中毒性の高さとボリュームが同時に強化され、筆者のように好意的なリニューアルだと感じたユーザーも少なくないだろう。

無論、それでも激辛の水準は十分に満たしているため、先述したフェイクミートのトレードオフも体感的には気にならない、実に緻密な変更だったとあらためて感心させられる。

ちなみに2026年版「北極ラーメン」の内容は、実をいうと2022年発売品から何も変わっていない。JANコードは2023年に変わっているが、パッケージのデザインを改め、フタを従来のシングルタブから“Wタブ”に切り替えたことが理由だ。

【後編記事】『蒙古タンメン中本のカップ麺「北極ラーメン」毎年爆売れなのにあえて《夏限定&ゲリラ販売》にこだわるワケ』につづく。

【つづきを読む】蒙古タンメン中本のカップ麺「北極ラーメン」毎年爆売れなのにあえて《夏限定&ゲリラ販売》にこだわるワケ