タイ、金の価格高騰で売買店「金行」に異変 貯蓄代わりの習慣、大手活況も小規模店廃業

世界的な金価格の高騰が続く中、タイで金製品を専門に売買する取引店「金行」に異変が起きている。タイなど東南アジアの多くの国で貯蓄代わりに現金で金製品を買い、必要に応じて換金する習慣が根付く。金行はタイで約1万店に上り、大手は連日活況で新規参入も増える一方、在庫を売却して廃業する小規模店も出てきているという。(共同通信バンコク支局=伊藤元輝)
2026年1月下旬、首都バンコクの金行が密集する地域。ネックレスや指輪などのアクセサリーが並んできらきらと輝く店内に客があふれていた。ただ、タイ金取引業協会のジティ会長は「消費行動が変化している」と複雑な表情を浮かべた。
ジティ氏によると、従来はまとまった現金ができた際に金製品を買って身につけて楽しみ、再び現金が必要になれば換金するという市民生活のサイクルがあった。ただ、2025年から続く価格高騰を受けて市民が所持していたアクセサリーを次々と売却。一方、投資目的でより換金性の高い金地金に需要が偏ったという。
取引量の増加で手数料収入を見込み、金行業への参入は増えた。ただ、従来の金行のビジネスモデルでは手数料に加えてアクセサリーの加工費も重要な収益源。地元密着で営業してきた小規模店は金を板状にしただけの金地金への需要偏重に打撃を受ける。
最高値の更新が続いた2025年に金製品を売却してしまい、さらに高騰が続く今は手が届かない人も多いという。金行側も最近は買い取りに備えて多額の現金を用意する必要があり、大手以外の資金力に劣る店には負担が大きい。ジティ氏は「高値のうちに在庫を売り払う決断をして、廃業する代わりに大金を得る店も出てきている」と指摘。生活に密着した金取引文化への影響を懸念した。





