日曜劇場『リブート』©TBS

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 3月8日に放送された『リブート』(TBS系)第7話は、冬橋(永瀬廉)にとって悪夢のようなエピソードだった。

参考:『リブート』鈴木亮平の芝居は想像の遥か上だった 黒岩勉&東仲Pに聞く“第1章”の舞台裏

 儀堂(鈴木亮平)が死んだことで、早瀬(鈴木亮平)は名実ともに儀堂歩の人生を生きることになった。早瀬は、合六(北村有起哉)の下で組織の悪事を積極的に隠ぺいする。そんなとき、違法薬物の売人である猪狩(丸山ゴンザレス)が殺される。売人の組織は合六の顧客で、殺したのは冬橋の仲間の富樫(imase)だった。交際相手に薬物を売った猪狩が許せなかったのだ。

 「子どもを食いものにする売人なんて生きてる価値ない」と言う冬橋に、合六は「いつまで子どものつもりだ」と叱る。葛藤を押し殺して生きる冬橋の本心が見えたのが、第7話だった。

 “ニュー儀堂”としての早瀬は行動がわかりにくい。合六だけでなく、一香(戸田恵梨香)や真北(伊藤英明)とも通じて裏で暗躍する。最終的に、妻のかたきである一香を潰す魂胆なのだろう。合六、一香、真北にもそれぞれターゲットがいて、たとえば真北の標的は“クジラ”と呼ぶ政界の大物である。第7話で登場した真北弥一は、野党第一党の党首で真北の兄だった。

 食物連鎖の頂点にいるクジラが、他の魚やプランクトンを捕食するように、法の支配の及ばない裏の世界が、文字通り弱肉強食であることが伝わってくる。一香が合六を狙い、合六をだしにして真北がクジラを狙う。食うか食われるかの命がけのバトルだ。

 早瀬は一香が夏海(山口紗弥加)を殺したと考えており、一香への復讐を誓う。一香は消えた100億の保管場所を知っている。一香の行動を監視し、消えた100億の商品を探し出して合六に返す。合六は一香を決して許さないだろう。仮に商品が見つからなくても、海外の顧客が合六に報復する。そうなれば、一香の思惑どおりになる。

 警察がマチ(上野鈴華)のオフィスに踏み込んだとき、事前に真北から早瀬に連絡があった。絶妙に逃げきれないタイミングでガサ入れがあり、リッカ(あかせあかり)は命を落とした。真北がわざと連絡を遅らせた、という可能性は考えられないだろうか。仮にそうだとしたら、なぜ、何のために、という疑問が浮かぶ。

 血で血を洗う世界で、冬橋の“優しさ”は時に命取りになる。早瀬が誘ったくらいで心を動かさない冬橋が、マチを止めるために早瀬と行動を共にする。仲間を守りたいという本心がいざというときに顔を出し、予想外の行動に冬橋を駆り立てた。

 だが、その思いすら見透かされていたのか。すでに一香が手を回しており、冬橋が到着したとき、マチは瀕死の状態で横たわっていた。冬橋の悲痛な叫びが空気を切り裂いた。

 冬橋にとって、マチの死は単に仲間を失う以上のことを意味していたと思う。NPO法人は冬橋が帰る場所で、マチは家族だった。どんなに合六の下で悪事に手を染めても、魂まで汚されない。けれども、冬橋の良心をつなぎとめる最後の砦が失われてしまった。

 前半のレストランのシーンで、合六と真北の密会が描かれていた。これは仮説だが、真北と通じた合六が、見せしめのために事務所を摘発させた。冬橋を手元に置き、ダークサイドに引き込むために。霧矢(藤澤涼架)に見張りをさせたのは合六である。もちろんそれは冬橋を思ってのことだ。

 一香は、合六に勘づかれる前に100億の商品を隠そうとしたと思われるが、間に合わないことを悟ってマチに罪をかぶせたと考えられる。奇妙なのは、一香にはマチとの思い出がないはずなのに、マチに詫びていたこと。組織内で接点があったとは思うが、第7話では、むしろ夏海とマチの記憶が強調されていた。

 これが意味することが、一香は夏海のリブートであるという事実なら、皮肉な結論になる。夏海は親しかった友人を自分のせいで死なせ、早瀬は妻のかたきを討とうとして、妻を追い詰めることになったからだ。

 冬橋はどうなってしまうのだろう。生きていた海江田(酒向芳)をはじめ菊池(塚地武雅)や玉名(青木伸輔)たち組織の幹部の動向も気になる。背中だけ登場した“クジラ”こと真北弥一が重要な鍵を握っていそうだ。

(文=石河コウヘイ)