いまやドラマに引っ張りだこ「野呂佳代」が異色の政治ドラマに挑戦…「都知事選」を描くフジ“月10枠”にヒットの“当確”は出るか?
苦戦するフジのドラマ
一連の不祥事からの再生・改革を目指すフジテレビだが、ゴールデン・プライム帯(GP帯、午後7〜11時)の連続ドラマが苦戦している。2月18日までに放送されたGP帯のその時点までの平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)は以下の通り。
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月9枠 「ヤンドク!」 主演・橋本環奈(27) 第5話までの平均が6.2%
火9枠 「東京P.D. 警視庁広報2係」 主演・福士蒼汰(32) 第4話までの平均が4.8%
水10枠 「ラムネモンキー」 主演・反町隆史(52)、大森南朋(54)。津田健次郎(54) 第6話までの平均が3.7%
木10枠 「プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮」 主演・玉木宏(46) 第6話までの平均が5.1%
ドラマの視聴率が苦戦する理由は、視聴者が物語に感情移入しにくいからというのが挙げられるだろうが、フジの場合、それ以外にも理由があるようだ。

「このところ、特にフジのドラマに目立つのですが、毎回、それなりに名前のあるゲストを登場させそれをWEBニュースに掲載し、ネット上で話題になるのです。今期では、特に『ヤンドク!』と『天音蓮』に目立ちます。しかし、それだと、視聴者はドラマの本筋よりもゲストが気になってしまうもの。フジは大幅に制作費が削られているため、レギュラーキャスト陣にかけられない制作費を、単価の安いゲスト陣にかけて“穴埋め”しているような印象です」(放送担当記者)
残る1本の月10枠はカンテレ制作の松下奈緒(41)主演の「夫に間違いありません」。初回こそ平均世帯が6.0%でまずまずのスタートだったが、第3話から第7話まで3%台の低空飛行状態だ。
そんな中、4月期の同枠のドラマが発表された。俳優の黒木華(35)が主演を務め、元AKB48・SDN48のメンバーで今やすっかり名脇役となった野呂佳代(42)と初共演する「銀河の一票」である。黒木が演じるのは、与党幹事長の娘で秘書、星野茉莉。父の不正を密告する告発文をきっかけに職を失う。そんな茉莉が偶然出会ったのが、野呂が演じる政治にはまったく素人のスナックママ・月岡あかり。茉莉が選挙参謀となり、あかりを東京都知事にすべく、選挙に挑む50日間を描くオリジナル脚本のドラマだという。
「これまで、政界を舞台にした“政治ドラマ”はありましたが、都知事選をテーマにしたドラマというのは記憶にありません。東京都民以外の視聴者が食い付くかという疑問が浮かぶものの、平均世帯視聴率の中核を担うのは都内の世帯視聴率。他の地域の視聴率とギャップがあるのは当たり前で、放送中の『夫に−』を上回る視聴率を記録するかもしれません」(テレビ局関係者)
政治ドラマの成否
ここで2000年以降に民放各局で放送された、政治ドラマを振り返ってみよう。
小泉純一郎氏(84)の第1次内閣政権下の01年10月期に日本テレビ系で放送されたのが、架空の衆議院議員の秘書を主人公とし、政治の裏構造をユーモラスに描いた作品を実写化した「レッツ・ゴー!永田町」だった。
「主演はなんととんねるずの石橋貴明さん(64)。登場する大臣や議員、政党の名前は、ほとんどが実在の議員・政党の名前をもじったものでした。しかし、視聴者からは不評で、全10話の平均世帯視聴率は9.6%。当時にしては大コケでした」(ベテラン芸能記者)
それまで、フジの看板枠である月9枠で、ピアニスト、検察官、アイスホッケー選手、レーサーなど数々の役を演じていたのが木村拓哉(53)。その彼が08年5月から月9枠で放送された「CHANGE」では、衆議院議員だった父を不慮の事故で亡くした小学校教師が、父の後継者として補欠選挙に出馬・当選し、総裁選挙を経て内閣総理大臣に。なかなか現実離れした役を演じた。
「阿部寛さん(61)が敏腕の選挙プランナー役、深津絵里さん(53)が元財務相のキャリア官僚で、秘書官として総理をサポートし、終盤では総理と婚約する役を演じるなど、豪華キャストに加え、リアリティーのある政界の内幕が描かれ、全10話の平均世帯視聴率は22.1%のヒット作となりました」(同前)
15年7月からは、テレビ朝日系の金曜ナイトドラマ枠(午後11時15分)で直木賞作家・池井戸潤氏の同名小説をドラマ化した「民王」を放送。内閣総理大臣と大学生の息子の人格が突然入れ替わり、巻き起こる混乱を社会や政治への皮肉や風刺を絡め、コメディータッチで描かれた作品だった。
「総理役を務めた遠藤憲一さん(64)と、総理の息子役でこの作品が民放の連ドラ初主演となった菅田将暉さん(33)がダブル主演。さらに、総理の公設秘書役はブレーク目前の高橋一生さん(45)。オリコン主催のコンフィデンスアワード・ドラマ賞で作品賞をはじめ4部門、ギャラクシー賞月間賞、ザテレビジョンドラマアカデミー賞4部門など多数の賞を受賞した良作でした」(テレビ局関係者)
そして、いずれもフジ系で、17年の10月期に月9枠で篠原涼子(52)主演の「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」、昨年1月期の木10枠では香取慎吾(49)主演の「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」が放送された。また、カンテレ制作の月10枠では23年1月期、草磲剛(51)主演の「戦争シリーズ」の第3弾となる「罠の戦争」が放送された。
「月9での政治ドラマは『CHANGE』以来でしたが、篠原さん演じる主人公は主婦から市議会議員となって奮闘する役。香取さんのドラマは、香取さん演じる元テレビ局員が世間への見栄で区議選に出馬するという役どころでしたが、2作ともリアリティーに欠けたこともあって好結果にはならず。一方、草磲さんのドラマは政界を舞台にした復讐劇でしたが、草磲さんが旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)を退所してから初の連ドラ作品という注目度などもあり全11話の平均は8.4%となかなかの数字でした」(同前)
裏方も充実
都知事選をテーマに、黒木と野呂がぶつかる今作だが、高校時代から演劇部のエースとして活躍していた黒木は、大学在学中に演出家・劇作家の野田秀樹氏(70)のワークショップ参加を経て俳優デビュー。14年公開の山田洋次(94)監督作品「小さいおうち」にて、当時では日本人の女性俳優では4人目となる「第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)」を受賞。その実力が世界に知れ渡った。もともと映画・演劇を主戦場としていたが、連続ドラマ主演でのヒット作となるか。
一方、野呂は06年にオーディションに合格し、まだまだ黎明期だったAKB48入り。09年からは、すでに解散したAKBの姉妹グループ・SDN48のメンバーとして活動。10年からはキャプテンを務め、12年3月に卒業。プライベートでは、20年11月にテレビディレクターの男性との結婚を発表していた。
「黒木さんは、俳優としての実力も実績も申し分もないですが、それだけでは視聴者にはウケません。一方、野呂さんはバラエティーでいろんな企画をやらされたり、アイドル出身にもかかわらずまるで女性芸人のような扱いを受けたりしています。ところが、映像作品での経験を重ねるうちに確実に爪痕を残すようになりました。ガチの演技派である黒木さんとの化学反応が楽しみです」(芸能担当記者)
特に今作が業界内で注目を集めているのは、裏方陣の充実がある。
「プロデューサーは、TBS時代に嵐の松本潤さん(42)主演のドラマ『99.9−刑事専門弁護士−』(16年)、松たか子さん(48)主演の『カルテット』(17年)などを手がけ、カンテレ転職後は松さん主演の『大豆田とわ子と三人の元夫』(21年)、長澤まさみさん(38)主演の『エルピス−希望、あるいは災い−』(22年)などを手がけた佐野亜裕美さん。脚本は、三浦しをんさんの原作小説をドラマ化しNHKで放送された『舟を編む』(24年)で数々の賞を受賞した蛭田直美さんが手がけます。先の衆院選は投票率が前回よりもアップするなど、選挙への関心も高まっています。あとは、大島や八丈島など島しょを重視するなど、都知事選独自の戦略や傾向など、あまり知られていない要素を盛り込めば、視聴者の関心を集めることもできるのでは」(同前)
デイリー新潮編集部
