(※写真はイメージです/PIXTA)

写真拡大

お金を「稼ぐ」ことの難しさは、誰もが知っています。しかし、それ以上に難しいのが、お金を正しく「使う」ことです。市川雄一郎氏の著書『普通のひとでも富裕層になれる シンプルな投資の学び』(日経BP)より、多くの富裕層が実践している「無駄遣いをしない思考法」と、それを子どもに伝えるための具体的な教育メソッドを紹介します。

「お金の使い方」は“稼ぐこと”と同じくらい重要

高校生になると、アルバイトを始める子どもが増えてきます。そこではじめて、お金を稼ぐことの大変さや、日々働く親の苦労を実感することができるでしょう。

“稼ぐこと”と同じくらい大事な感覚が「使い方」にほかなりません。必要なものや欲しいもの、あるいは今は買う必要がないものなどを正しく整理し、収入と支出のバランスを上手に保つ術です。

そうはいっても、多少派手に使っても生活に支障をきたさないほどの潤沢な資金があれば、残高を気にせず欲しいものを欲しいだけ購入してもよいのではないか、と思うかもしれません。しかし、富裕層の多くは「無駄遣いをしない」という特徴を持っているのです。

もちろん、ただ単にケチなわけではありません。「必要なものには十分にお金をかける」。それが彼らの特徴です。では、正しいお金の使い方の感覚を養うにはどうすればよいのか? 

「欲しいものリスト」の習慣が無駄遣いを防ぐ

おすすめは買いものに行く前に「欲しいものリスト」をつくる習慣をつけること。たとえばスーパーへ行く前に、あらかじめ買うものを書き記したメモを用意する人がいると思います。なぜそうするのか? 理由は単純に「何を購入すべきか忘れてしまわないため」だと思いますが、それだけではなく、「不要な(余計な)買いものをしないための予防策」として習慣にしている人もいるはずです。

あまり軽々しくいえることではありませんが、“無駄遣い”は楽しいものだと思います。しかし1度や2度ならまだしも、それが習慣化していたとしたら、結構な額を浪費しているはずです。

お金を大事にするということは、無駄なく使う意識を持ち、節制できているということ。富裕層が無駄遣いをしないのは、お金の価値を知っているからというだけでなく、浪費をしないからこそ潤沢な資金を維持できているということなのです。

「無駄遣いしない」思考は経営にも役立つ

ボールペン1本でも見積もり…経費削減を徹底した堀江貴文さん

無駄遣いをしない感覚を持つべきなのは個人だけでなく、企業もまた然りです。

たとえば、かつてライブドアを率いた堀江貴文さんは経営者時代、経費削減を徹底していたといいます。ボールペン1本でも必ず見積りをとり、少しでも安く購入するスタイルを徹底し「経費は1円でも削減すべきだ」という信念を持っていたといわれています。経費を削減すればその分会社にお金が残り、新たな投資はもちろん、社員の給与に充当することができると考えたのです。

その思考を一般家庭に当てはめてみるとどうでしょうか。たとえば、1か月間コンビニを利用しない生活をしてみる。個人差はあるものの、多くの人がある程度節約に成功できるのではないかと思います。さらにその生活を続けていくと、次第に「コンビニに行かなくても困らない」と思えるようになり、結果として浪費を防ぐことができるでしょう。

浪費しない子を育てる「ひと言」

しかし難しいのは、その感覚を子どもに養わせることです。多くの子どもにとって、好きなもの・欲しいものを買えることは何よりの楽しみだからです。お金が許す限り、欲しいものを欲しいだけ手に入れたいと思うのは、子どもならではの感覚といっても過言ではありません。

しかし、大人になってもその感覚を持ち続けていたとしたらどうでしょうか? 不要でも欲に任せて欲しいだけ購入していては、万年金欠状態に陥ることは明白です。

そこで子どもに教えるべきなのは「買えるだけ買うのではなく、買いたいものだけ買いなさい」ということ。そして、余ったお金は次にまた欲しいものができたときに使いなさいと諭す。つまり無駄遣いを防ぐだけでなく、貯金の概念も持たせることができるというわけです。

節約したお金は「投資」へ…その先に開ける富裕層への道

では、我々大人が無駄遣いをやめ、節約に成功した後にやるべきことは何でしょうか?

そこから得られる余剰金など大した額ではありませんが、たとえば毎日100円でも貯金や投資にまわしてみてください。単純に毎日100円ずつ使わずに貯めていくと、1か月で3000円、1年で3万6000円、それを10年間続ければ36万円になります。このお金を投資にまわし、年間5%とか10%といった運用利回りが得られるとしたら、当然元金以上に増やすことが可能です。

もちろん余剰金のほどには個人差があり、もしかすると1日に300円ないし500円もの無駄遣いをしていたかもしれません。その分を投資にまわすことで、さらに大きな利益を手にすることができますよね? そしてその積み重ねこそ、富裕層の多くが持ち得た「感覚」なのです。

ウォーレン・バフェット氏が笑顔を浮かべた「25セント」の価値

「今日の100円は明日の100円より価値がある」という格言があります。これは、100円を1日でも早く手にすれば、それを運用して利息を生むことができるという意味です。小さな金額でもお金の価値を理解し、大切に扱うことが長期的な資産形成につながります。

たとえば“投資の神様”といわれるウォーレン・バフェット氏は、子どもの頃道端で25セントを拾った際、あまりに嬉しくて笑顔を浮かべたそうです。では、もしあなたが道端に落ちている10円玉を見つけたら、嬉しいと思えるでしょうか?

「なんだ10円か」と、がっかりする人のほうが大半で、バフェット氏のように心から嬉しいと思う人は少ないでしょう。

お金の価値を幼い頃から理解し大切に扱うこうした姿勢こそが、バフェット氏を現在の地位に導いたといっても過言ではありません(ここでは拾ったお金を懐に入れる行為の問題については脇に置いておくことをお許しください)。

宝くじ高額当選者の失敗から学ぶ「金銭管理」の重要性

宝くじの高額当選者から学べることについて考えてみましょう。アメリカでは、高額当選者の約7割が当選後数年以内に破綻するといわれます。

これは、大金を得たことで金銭感覚が狂い、無計画に使いすぎた結果です。一度生活レベルを上げると元に戻すのは難しく、資金が底をつくと借金をしてでも現状を維持しようとするのが典型的なパターンといえます。

一方、富裕層はどうでしょうか。彼らは投資で大きな利益を得たとしても、生活レベルを変えることはありません。無駄遣いを避け、質素で堅実な生活を続ける姿勢が特徴です。たまに贅沢をすることはあっても、それは計画的なもので、日常的な浪費にはつながりません。このような習慣こそが富を維持する秘訣といえるでしょう。

重要なのは、正しい金銭管理の意識を持つことです。無駄遣いを減らし、得たお金を賢く運用することで、持続可能な財産形成が可能になります。

富裕層への第一歩は、生活スタイルを見直し、健全なお金の使い方を習得することにあります。高額当選者の失敗から学び堅実な道を歩むことが、真の豊かさにつながるのです。

市川 雄一郎

GFS(グローバルファイナンシャルスクール)校長/投資教育家/CFP®