13日、国連大学で記者会見する北朝鮮の人権状況特別報告者・ムンタボーン教授(撮影:佐谷恭)

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北朝鮮の人権状況を調査している国連特別報告者ウィティット・ムンタボーン教授(タイ・チュラロンコーン大学)は13日、「拉致は国内法にも国際法にも違反した人権侵害であり、犯罪行為」と繰り返し訴えた。都市センターホテル(東京都千代田区)での国際会議や国連大学(東京都渋谷区)での記者会見に出席し、発言したもの。

 ムンタボーン氏は、北朝鮮に制裁を科す安保理決議の全部が、人権と拉致問題に遠まわしに触れている点を「興味深い」と指摘した。また、6カ国協議が18日に再開することについては、「核問題をはじめ、重要課題の解決で進展が見られれば、人道援助の可能性も広がるだろう」と期待を表明。一方で、同協議で拉致問題が協議される可能性については明言を避けた。

 拉致問題の現在の状況について同氏は、「日本政府の認定者数が増加しており、東南アジアやヨーロッパなどでも被害が出ていることが明らかになっている」などと述べ、前回訪日(2005年2−3月)よりも進展しているとの認識を示した。また、対話の継続で拉致問題を平和的に解決することや、主張の矛盾点を正す説明責任など、05年に発表した北朝鮮に対する「人道的呼びかけ」を繰り返した上で、多国間による国際的な連携などで拉致問題解決に向けて具体的な成果を出していくべきだとした。

 北朝鮮の人権状況特別報告者は、04年の国連人権委員会決議により設置され、ムンタボーン教授が特別報告者に任命された。しかし、「北朝鮮が特別協力者への協力を拒否している」との理由で、北朝鮮を訪れていない。【了】

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