ビルマ(ミャンマー)出身の民主活動家マイケル・コリンズさん(仮名)が11日、上智大学世界食料デーグループが主催する講演会に出席し、日本で難民として生活する苦労などを語った。

 コリンズさんは、「政治や宗教など、さまざまな理由で追いつめられて国を離れたのが難民。迫害を逃れるために正規の方法以外で国から国へ移動せざるをえない場合も多い」と話し、難民の立場にある人の複雑な事情を説明した。

 その上で、パスポートや外国人登録証明書など多くの書類を求められる日本の難民政策の現状を"壁が厚い"と表現。「難民申請のインタビューのときに、ビルマ人であることを証明するよう要求され、本国から住民登録証を取り寄せろと言われ困った。それができれば難民じゃない」と述べ、難民政策と難民の状況との矛盾を指摘した。また、難民として認定された後も在留特別許可を定期的に更新しなければならない日本独自の難民に関するルールに言及し、手続きの複雑さを嘆いた。

 自らが本国で受けた迫害について述べようとして、うっすらと涙を浮かべ、声を詰まらせる場面も。コリンズさんは目の前にいる仲間が殺されたことが脳裏に焼きついており、「拷問されても生きている自分はラッキーだ」と感じているという。実弟が刑務所で風邪をひいた際に、HIV感染した血液を輸血されて"殺された"辛い記憶も告白。「民主化活動家としてミャンマー政府からマークされている自分が、友人や家族に連絡を取ったことが(同政府に)分かると、彼らの生活が脅かされる」とし、恐怖心が今でも残っていると訴えた。【了】