【和楽器バンドインタビュー vol.6】神永大輔「こんなに面白いものはほかにない」
2024年末をもって無期限活動休止する和楽器バンド。その活動休止前最後となる2作品、ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』と、映像作品『和楽器バンド 大新年会2024日本武道館 〜八重ノ翼〜』が10月9日に発売された。
すでに話題となっているこの2作品だが、より楽しんでもらうためにも、ぜひBARKSが実施しているメンバーソロインタビューも読んでいただけると幸いだ。6回目となる今回は、従来の奏者とは一線を画す、自由奔放なパフォーマンスが魅力の尺八・神永大輔に話を聞いた。
◆【インタビューvol.1】黒流「自分が生きた証がここに作れた」
◆【インタビューvol.2】山葵「目の前のことを一歩一歩しっかり踏みしめて」
◆【インタビューvol.3】蜷川べに「これからは、ありのままの自分で」
◆【インタビューvol.4】いぶくろ聖志「僕たちの音楽が刺さってくれる人はまだまだいる」
◆【vol.5】亜沙「この8人じゃないと意味がない」
◆ ◆ ◆
◼︎「やれることをやるしかないな」って思っていた10年間
──まずは活動休止についての、神永さんのお気持ちを聞かせてください。
神永大輔:このバンドって最初から「バンドやろうぜ!」って集まったのではなく、「動画作ろうぜ!」から始まっているので、そもそもの成り立ちが他のバンドと結構違うんですよね。そこから一気にデビューしてその先の展開へと進んでいったので、なんかそのままずっと大きな渦に巻き込まれてるというか、この先どうなってしまうんだろうみたいな感じが常にあって。8人のメンバーもお互いよく知っている人もいれば、このバンドで初めましての人もいたりで。 そういったスタートだったので、最初は正直「何年続くのかなこれ」って思ってたんですよね。
──最初はそんな意識があったんですね。
神永大輔:バンドって、いろんな要因で止まることとかなくなっちゃうことって容易にあるじゃないですか、まして 8人もメンバーがいると。「そうなったとしてもしょうがないし、そこも含めて果たして何年持つんだろう」って思っていたところはありますね。でも、バンドをやっていくと、なかなか奇跡的なバランスの8人なんだなっていうことが分かってきて。この8人だからこそ、ここまでずっと続けてこれたんですよね。今回活動休止という決断をしましたが、 8人がいい距離感、いいバランスでそれぞれのその能力や伸ばしたいところをのばすための充電の機会になるんだろうなっていう、肯定的な捉え方を僕はしています。
──先ほど「何年続くのかなこれ」という発言もありましたが、和楽器バンドとして最初に集まったとき、神永さんはどう感じました?
神永大輔:大学のサークルで尺八を始めた当初は、まさか将来ロックバンドのメンバーとして武道館に立つことがあるとは思っていなかったし、音楽番組とかテレビで見てた世界に演者として出ることになるとか想像もしていなかったんですけど、出会ったときからメンバーには「こういう人たちが売れたりテレビに出たりするよな」って感じてました。おかげさまで良い経験をさせてもらいましたが、やっぱりそれはこのメンバーだからだなっていう納得感はもとからあって。アーティストって尖っていたり偏っている部分があって、分裂したり解散したりってことも世間ではよくあることだと思うんですけれど、この8人のメンバーはそういうこともなく奇跡的にバランスが取れているなっていうのもすごく感じていました。
──すごく客観的ですけど(笑)、ご自身がその場にいるということに関しては?
神永大輔:そもそもバンドに笛のパートってあんまりいないじゃないですか。坊主のバンドマンもあんまりいないし(笑)。自分的には「そういう柄じゃないのかな」みたいな感じはなくはなかったですね。 ただ僕も、和楽器バンド以前から色々なバンドで尺八を吹くという経験を踏んでいたし、色々な国で活動することもできていたので、このバンドにとっての自分の役割とか自分が貢献できる部分があるなとは思っていました。自分の居場所があるなっていうか。だからここで「自分が貢献できること、やれることをやるしかないな」って思ってやっていた10年間でした。「みんなすげえな」って思いながら、メンバーのことを見てましたね。
──いやいや、外から見ると、こんな尺八奏者はそうそういなくて、それこそ「すごい」と思っていましたよ。私は和楽器バンドで初めて尺八の音をしっかり聴きましたし。
神永大輔:そういう意味では、こんな変な楽器と変な人間を、メンバーの一員として受け入れてくれるこのバンドメンバー、アーティストとして扱ってくれるプロジェクトの方々に感謝ですし、それをアリとして応援してくださったファンの方々にも本当に感謝しかありません。
──まさにその“感謝=THANKS”をこめたベストアルバムが発売されるわけですが、今回リレコーディングした曲の中で一番印象に残ってるのは、どの楽曲ですか?
神永大輔:「六兆年と一夜物語(Re-Recording)」です。レコーディングをしてラフミックスの状態で初めて聴いたときの新鮮味が一番あったのが「六兆年」でした。バンドとして最初の曲だし、当時一番みんなが必死に演奏した曲なんですけど、リレコーディングではその必死さがいい感じに取れて、みんな自然というか。 すごく気持ちいい音楽になっているなと思って。 和楽器バンドって最初はみんなが頑張って「すごいんだぞ!」という主張をぶつけ合ってる感じがあったと思うんです。けれど、ここに至るまでの流れで、みんないい感じに力が抜けていて。「六兆年」って僕たちにとってはオープニングの曲だったと思うんですけど、今回リレコーディングした「六兆年と一夜物語(Re-Recording)」は、和楽器バンドの第1部を締める、すごくいいエンディング曲になってるなって感じがして。大団円っていう雰囲気のある仕上がりになったなと思ってます。
──エンディングという発想はなかったです。確かに言われてみたら、そういう捉え方もできますね。
神永大輔:はい。すごく明るいエンディングというか。
──もともとのレコーディングのときは、神永さんも「尺八のパワー見せてやるぜ!」という意気込みでした?
神永大輔:うーん。「六兆年」は最初から尺八の限界に挑戦するような細かいフレーズだったので、一生懸命楽譜通りに演奏できるように、必死に吹いてた気はしますね。イントロとか特に。でもリレコーディングでは、当時より指も自然に回るようになってて成長してました。
──リレコーディング曲では、基本的なアレンジは変えず?
神永大輔:「六兆年と一夜物語(Re-Recording)」は一部変えてますね。「ここはこうした方が良かったんじゃないかな」っていうところは、町屋さんと話して変えたところもあります。「細雪(Re-Recording)」以外はほとんどの曲がそういう感じですね。基本は原曲をなぞらえつつ、ライブで何回もやってるうちにアレンジが変わっていったものもあるので、最近のライブでやってるものをそのままレコーディングに落とし込んでる感じはあります。
──必聴ポイントを教えてください。
神永大輔:「千本桜」の1番最後で、かすれたような尺八の音が残るんですけれど、当時、まさかエンジニアさんがここの音を残すと思ってなくて。実はあれは尺八吹きとしては恥ずかしい、失敗した音の消し方なんですよ。それをそのまま使われてて「うわー恥ずかしい。直してもらおうかな」と思いつつも、「まあいっか……」と思ってそのまま残してたものだったんです。今回再録するにあたっては、失敗したものの真似をすることになるので再現が難しくて(笑)。でもあの曲の終わり方は「千本桜」のイメージになっていると思うから、 なるべくそこに近づけつつ、今回自分なりの正解を出せたので、そこに注目して聴いてもらえると嬉しいですね。
──「細雪(Re-Recording)」はオーケストラがなくなったことで、尺八もより響くようになりましたね。
神永大輔:そうですね。遊ぶ余地がいっぱい生まれましたし、「細雪(Re-Recording)」はガラッとアレンジを変えようという前提があったので、オリジナルとは全然違うことをやろうと思ってレコーディングのその場の気持ちよさでそのまま音を入れていきました。
──ベストアルバムにはユニバーサルミュージック移籍後の曲も収録されています。この中でお気に入りの曲は?
神永大輔:「ブルーデイジー」です。尺八がどうこうっていうよりも、個人的にこういう系統の音楽が好きなので。
──情景が見える曲だから、尺八も似合いますよね。
神永大輔:そうですね。尺八がメロディーを取るのは後奏だけの予定だったんですけど、サウンドチェックのときに中間の間奏にあわせて適当に吹いてたら、町屋さんが「それいい感じだから、ここ尺八にしようか」って言ってくれて採用されたんですよね。
──制作中、結構そういうやり取りはあるんですか?
神永大輔:ありますね。「ここギター録るつもりだったけど尺八で」とか。だからレコーディングのその日まで、マイクの前に立つまで、「楽譜上空いてるけど、ここは誰のソロなんですか?」みたいな確認をいつもその場で割としてます。
──「ブルーデイジー」のような曲と、「日輪」のような曲って、尺八の使い方も違うのでしょうか。
神永大輔:「日輪」のようなテンポが早くて勢いや疾走感のある曲になると、尺八の役割ってもう多分1つしかなくて。音楽的に言うと、1度の音と5度の音をロングトーンで伸ばすことしかやることがないんですよ。それ以外は何やっても結局蛇足だなっていうのはいつも思っていて。今回の収録曲にはないですけど、例えば「戦-ikusa-」なんかはドとソとレとラしか吹いてないみたいな。だけど、その1音をムラ息(その息の音を多めに混ぜて伸ばして吹くこと)で、曲の疾走感に尺八がちゃんと寄与できるんですよね。ただ2音をまっすぐ吹いているだけだとさすがにつまんなすぎるので、ロングトーンで2つの音を伸ばしているとき、伸ばす最初と最後だけ細かく動くと、フレーズが動いてるように聴かせることができて。切り替えのところに細かいフレーズを入れて、動きのバリエーションを作ってますね。あと「Ignite」なんかでは(A)管という2尺3寸の長くて音が低い尺八を使っているので、そこで印象を変えています。
──なるほど。そういう工夫をしているんですね。アルバムと同時リリースとなる映像作品『和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜』では、どの曲が一番好きですか?
神永大輔:「オキノタユウ」ですね。演奏していて楽しいです。再録したらそれぞれのフレーズも変わって面白そうなので、ベストアルバムにも入れたかったなあ。
──もうひとつの新曲「八奏絵巻」には、「オキノタユウ」も入っていましたね。この曲についても聞いていきたいと思います。
神永大輔:これはほんと、よく組み立てましたよね。 僕はサビでいかに尺八が印象的な裏メロとかフレーズを入れられるか、みたいなところをいつも意識していて「サビの尺八のフレーズでその曲を感じさせてみせるぞ」という気持ちで臨んでいるので、色々な曲のサビがてんこ盛りだったことが嬉しかったですね。
──確かに。見せ場たっぷりですね。
神永大輔:この曲は町屋さんの中で細かい設定があって、「歌っている歌はこれだけど、実はこの歌のフレーズの後半何小節かは、違う曲の要素も入ってる」みたいなのがあったりするんですよね。尺八も、共有された構成譜の中にカッコ書きで町屋さんが書いていた裏の曲のフレーズを入れ込んだりと、工夫してます。でも、町屋さんにはいつもミックスのときに「尺八がうるさいから今回もボリューム下げといたから」って言われるので、もしかしたらみなさんにはお届けできてない音があるかもしれないです(笑)。
──CD Only盤収録のインストゥルメンタルをじっくり聴いてみるのも楽しそうです。新曲「GIFT」についても神永さんの感想を聴かせてください。
神永大輔:すごくゆう子さんらしい曲だし、ファンクラブの歴代テーマ曲にも近いニュアンスがあって。尺八も曲のメッセージを重視した、ストリングスのような感じで入れています。歌詞に寄り添って、広げられるような存在であれたらいいなっていうイメージですね。リリースイベントで生演奏をしていく中で曲が出来上がっていくのも感じていて、とても良いです。
──いい曲ですね。
神永大輔:ただ、歌はすごくのびのびと歌っていると思うんですけど、楽器の方は結構細かく構築された食いリズムがかなり多いので、油断ならない曲です(笑)。リズムに合わせつつ、 でもストリングス的なフレーズ感は失わないようにしたいなと思いながらレコーディングをしま した。和楽器バンドの曲の中でこの曲珍しいなと思うのは、前奏、間奏、後奏のフレーズが全て違うんですよね。前奏では箏、間奏は尺八が同じフレーズをとってるんですけど、前奏では尺八が箏に被せるように違うフレーズを入れているのでパッと聴きはそっちが主メロに聴こえてしまうと思います。そして後奏には、その前奏・間奏で入れたフレーズは一切出てこないんですよ。それがこの曲にストーリーを感じさせる要因の1つかなと思っていて。歌は同じメロディに戻るんですけど、演奏は戻らないという、町屋さんらしいアレンジになっています。
──歌詞もまっすぐだし、伝えたいこともわかりやすいフラットな曲だと思っていましたが、そんなに細かい技が隠されていたとは。
神永大輔:裏で町屋さんが技巧的なことを組んでいるっていうところも、和楽器バンドらしさの集大成と言える1曲になるかもしれませんね。
◆インタビュー(2)へ
◼︎和楽器へのハードルが低くならないと、和楽器バンド自体も前に進めない
──神永さんが思う和楽器バンドらしさってなんですか?
神永大輔:8人の個性のぶつかりだと思います。町屋さんのアレンジもそうですし、それぞれの曲の作曲者にも癖があったりとか、そういうのも含めて8人の個性だなと。どんなジャンルのどんな曲でも、この8人で演奏するとなんだかんだ和楽器バンドの音になってしまう。それはやっぱり、この8人で演奏してるからこそ醸し出される“和楽器バンドらしさ”なんじゃないかな。
──やっぱり、つくづく面白いバンドだと思います。その中でも、尺八というのはなかなか特殊なパートで。さらにそんな尺八の中でも、当時から神永さんはあまりいないタイプの尺八奏者でしたよね。
神永大輔:そうですね。マニアックな楽器である分、尺八が好きな人って尺八に対しての強いこだわりがあって、何のために尺八を吹くかという目的がそれぞれ違うと思うんですよね。僕は最初からコミュニケーションの手段として尺八を用いていたので、ほかの奏者さんたちとはちょっと違ったかもしれないですね。だんだんこういう尺八奏者も現れるのかなと思ったら、意外と現れなかった(笑)。本当はもっといろんな人に後に続いてもらえたら嬉しかったんですけど。
──神永さんは邦楽(日本伝統音楽)界ではちょっとした異端児だったと思うんですが、いまでは日本の古典音楽、民俗芸能、和楽器を扱う雑誌『邦楽ジャーナル』の取締役にまでなっていたりして。
神永大輔:やっぱり僕は、単純にこの楽器が好きだから「尺八って楽しいよ、もっともっと世の中に広まって当然のものだと思うよ」っていう気持ちを持っているんですよ。和楽器バンドをきっかけに、和楽器に興味を持って始めたいと思ってくれる人もいらっしゃいますが、「どうやったら始められるんですか?」「どこで買えるんですか?」「どこで習えるんですか?」って問い合わせを結構な数いただいてた時期があったんです。それに対して、なかなかいい答えが伝えられなくて……。和楽器バンドって、J-POPとか一般的な音楽の世界に初めて本格的に和楽器を持ち込んだアーティストだと思うんですけれど、せっかくそれで和楽器に興味を持ってくれた人がいても、それに対して簡単に答えを提供できる場がないなっていうのが、すごくもったいないなって思っていたんですね。
──まぁ、ちょっと和楽器はハードルが高いですよね。
神永大輔:普通に流通している楽器だったら、まず楽器を買ってとりあえず触ってみて、音が出せて、曲が演奏できたら楽しくなって……そこからのスタートじゃないですか。でも和楽器ではそんなスタートの切り方もなかなかできないというか。楽器自体も先生を通して買うみたいな流れもありますし。そういった仕組み自体を整えていかないと、今後第2、第3の和楽器バンドみたいな存在が出てきても、なかなか続かなくて終わっちゃうっていうのはもったいないですよね。僕も尺八奏者として孤独を感じてるところはあるので、和楽器をやりたいなって思う人が簡単に入っていける状態を作っておけたら、将来的に和楽器バンドが活休明けで集まったときにも、もっと先に繋げていけるような気がしてるんですね。というか、和楽器へのハードルが低くならないと、将来的に和楽器バンド自体も前に進めないのかなっていうのを個人的に感じていたんです。
──なるほど。和楽器界の盛り上がりは、和楽器バンドの盛り上がりにも直結するんですね。
神永大輔:たとえばバンドのファンで楽器を演奏してみたいと思ったら、まずは楽器を買ってコピーしてみますよね。和楽器バンドも1回だけ全パートを完璧に五線譜にしたバンドスコアを出したことがあるんですが、それも1回きりで終わってしまっていて。続編が出ないということは、完コピできる人たちが存在しなかったということなわけですよ。それは、アーティストとしてすごく弱点だと思うんですよね。
──あぁ、確かに和楽器バンドのコピーバンドはなかなか出てこれないでしょうね……。
神永大輔:孤高の存在というか、ほかには真似のできないすごいことをしているということでもあるんだろうけど、逆にいえば真似できる要素がないというのも辛いなと思っていて。好きな音楽を愛する方法って色々ですけど、“自分も演奏してみたい” って思うこともその行為のひとつだと思うので、それがやりにくい状態っていうのはよくないなと。だから今回、活動休止期間に僕は、そこの土台作りをすることが大事なんじゃないかなと考えています。
──そういう思いに至ったきっかけのようなものはあるんですか?
神永大輔:SNSのDMで問い合わせをもらったことですね。連日「尺八始めたいんですけどどうすればいいですか?」って連絡が来てたころがあって。教室を探してみてって言っても、 そもそもホームページを持っている教室も少なかったりして「どうしたらいいんだろう」ってことになるんですよね。さらに習えたとしても、それが邦楽の先生だったら古典を習うことになるので「やりたかったことと違うんだよな」とか「永遠に和楽器バンドに近づかない気がするな」みたいな感じになったりするでしょうし。環境自体があまりにも整っていないんですよ。なので活休は本当にいい機会だとは思っていて。和楽器バンドをやってるだけでは見えてこなかった、和楽器を始めた方々の輪もちゃんと作っていけたらいいなと思っています。
──海外における広がりはどうなんでしょう。神永さんは演奏旅行も含め海外へよく行っているようですが、実感として海外に和楽器バンドの存在ってどのくらい伝わっていると思いますか?
神永大輔:先日台湾に10日間行ってたんですけど、 4回ぐらい「和楽器バンドの人でしょ」って声をかけられました(笑)。尺八は持ってない状態で地元のローカルな夜市の水餃子を食べてたら、向かいに座っていた女性に声かけられたりとか。和楽器バンドの知名度は台湾でもかなりあるんだなっていうのをすごく実感しました。
──そうなんですね! この10年で着実に浸透していっているんですね。台湾には尺八ってあるんですか?
神永大輔:こういうのを体感すると、やっぱり活休するのはもったいない気持ちが出てきちゃいますよね。台湾には尺八を吹いてる方は結構いらっしゃって。昔からあったというわけではないですが、台湾が日本の領地だった時期もあるので、そのときに伝わっていたようです。
──欧米での尺八の認知度はどうなんですか?
神永大輔:愛好家はいるんですけど、日本よりマニアックな趣味ではありますよね。もちろん吹いてる方はたくさんいらっしゃって、地域ごとに尺八ソサエティっていう集まりを作っていたりするようですよ。あとは4年に1回ぐらいのペースでワールド尺八フェスティバルってイベントが世界各国持ち回りであるので、そこで知る方もいらっしゃいます。来年はテキサスで開かれるんですが、ここには僕も行く予定です。
──和楽器バンドがもたらした影響も大きいのでしょうね。
神永大輔:楽器に関しては場所や環境の問題から、始めたくても始められない状況もあるのでなんとも言えないですが、 和楽器バンドによって尺八の知名度が本当に上がったんだなっていうのは感じますね。 とはいえ和楽器バンドを知って始めた人や、他の楽器や音楽をやっていた人なら僕と同じ感覚で尺八を扱える部分があるんですけど、尺八からのスタートだとどうしても邦楽だけの世界になりがちではあります。まぁ、どんなきっかけであれ、尺八という楽器を楽しんでもらえたらいいですね。
──尺八に限らず、神永さんは和楽器バンド10年の活動でどんなことが一番楽しかったですか?
神永大輔:一番は、演奏してる瞬間ですね。僕は、一緒に演奏することがその人の人となりが一番わかることだと思っていて。メンバーそれぞれに対しても「あ、この人本当にこういう人なんだな」っていうのを演奏しながら感じてるんです。自分のことに集中する人、一緒に会話してくれる人とか色々ですけれど、それも含めて演奏しているときが一番コミュニケーションが取れている瞬間だなと思う。次に楽しいのは一緒に飲んでるときですかね。演奏の次に濃密にコミュニケーションができるのは、やっぱり飲んでる時だと思うので(笑)。
──“ステージに立つ”といった観点ではなく、“コミュニケーションが楽しい”なんですね。
神永大輔:同じ飲み会でもサシ飲みと大勢で飲むときでは雰囲気が全然違いますよね。それと同じで、会場が変わればお客さんの母数も変わるし伝わり方も色々変われば、お客さんとのコミュニケーションの仕方も変わってくるし、 自分たちのメンバー同士のコミュニケーションの取り方も変わってくる。そのどれもが違って楽しいんですよね。
──この次にまた和楽器バンドが集結するときには、神永さんはどうなっていたいですか?
神永大輔:和楽器バンドを呼べるイベントを組めるようになってたいです。要は和楽器を盛り上げるための施策の中で、「和楽器が集まる音楽フェスみたいなことやるから、そこに和楽器バンド出てよ。」みたいな、8人が再集結できるきっかけも作れたらいいなと。そのために、和楽器の魅力を発信するフェス作りみたいなのは早速やっていきたいなと思っています。
──最後に、神永さんにとって和楽器バンドを一言でいうと?
神永大輔:「面白い」ですね。こんなに面白いものはほかにないですね。すごい人たちだなと思える8人が集まって音を出せて、それが世の中にも認めてもらえるってなかなかないことだと思うので、本当に面白かったし、また面白いことがそのうちできるといいなと思いますね。そしてそのときには、いまよりもっと面白くできるようにしたいなと。
──そんな面白い場であった和楽器バンドのメンバー、町屋さんにアルバムタイトル『THANKS』にかけた感謝のメッセージを。町屋さんの繊細さと神永さんのフリーダムさは、相反するようで相性が良くて、いい関係性だなと思っていました。
神永大輔:じゃあ、9割ぐらいディスってから1割ぐらいいいことを言おうかな(笑)。というのは冗談で、町屋さんへの感謝の気持ちは本当にいっぱいありますよ。何より功労者であり貢献者だと思っていますので。町屋さんの持っている能力と、そこに費やしてくれた時間だったり労力だったりがなかったら、このバンドはもっともっと早く止まっていたかもしれないし、 続けることも、いや始めることもできていたかどうかわかんないです。やっぱり町屋さんの存在はこのバンドにとってすごく大きいと思う。僕やメンバーそれぞれの良さを評価して、一緒に音楽をしてくれたことにすごく感謝してます。町屋さんと一緒に活動させてもらえたことで自分だけではたどり着けないところに一緒に行けた気がしていて。それは本当に他のメンバーに対してもそうなんですけど、 町屋さんの力もすごく大きい。ありがとうございます。あと、ステージ上で一番会話ができるなと思っていたの、町屋さんなんですよ。町屋さんと一緒に演奏してるのはすごく気持ちよかったし、すごく楽しかった。この場をお借りして、感謝を伝えたいなと思っています。
取材・文◎服部容子
『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
詳細:https://wagakkiband.com/musics/15508
CD購入:https://wgb.lnk.to/2024_al_cd
配信リンク:https://wgb.lnk.to/thanks_digital
◆商品形態
初回限定LIVE盤(CD+Blu-ray)税込¥8,500/UMCK-7253
初回限定Document盤(CD+DVD)税込¥5,280/UMCK-7254
CD Only盤(2CD)税込¥4,290/UMCK-1778
◆収録曲(全18曲)
01. 六兆年と一夜物語(Re-Recording)
02. 千本桜(Re-Recording) ※TBS系バラエティ『ランク王国』エンディングテーマ
03. 華火(Re-Recording)
04. 起死回生(Re-Recording) ※テレビ東京系リオ五輪中継テーマソング
05. 雨のち感情論(Re-Recording)
06. 細雪(Re-Recording)※映画『恋のしずく』主題歌/テレビアニメ『京都寺町三条のホームズ』テーマソング
07. Ignite(Remastered 2024)
08. 情景エフェクター(Remastered 2024)
09. Singin’ for... (Remastered 2024)
10. 月下美人(Remastered 2024) ※NHK「みんなのうた」2020年10月・11月度放送曲
11. Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE (Remastered 2024)
12. 日輪(Remastered 2024)
13. 生命のアリア(Remastered 2024) ※TVアニメ「MARS RED」オープニングテーマ
14. Starlight(I vs I ver.)(Remastered 2024) ※フジテレビ系⽉9ドラマ「イチケイのカラス」主題歌
15. ブルーデイジー (Remastered 2024)
16. The Beast(Remastered 2024) ※アニメ『範馬刃牙』2期オープニングテーマ
17. GIFT(新曲)
18. 八奏絵巻(新曲)
◆各形態収録詳細
【初回限定LIVE盤】(CD+Blu-ray)税込¥8,500/UMCK-7253
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.A 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
Blu-ray:10th Anniversary Best Live Selection
※初商品化となるライブ映像を含む、10周年のライブから厳選された楽曲を収録
収録曲
1. 千本桜 from 2014.1.31 at clubasia
2. 戦-ikusa- from 2015.5.23 METROCK2015 ※初商品化!
3. 反撃の刃 from 2015.9.10 NHK Eテレ 「Rの法則」 ※初商品化!
4. 起死回生from 2016.8.13 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 ※初商品化!
5. 雨のち感情論 from 2017.9.13 NHK 「シブヤノオト」 ※初商品化!
6. 千本桜 from 2018.9.22 イナズマロックフェス2018 ※初商品化!
7. 暁ノ糸 from 2019.11.23 和楽器バンド Japan Tour 2019 REACT〜新章〜 FINAL
8. 儚くも美しいのは from 2020.2.16 Premium Symphonic Night Vol.2〜ライブ&オーケストラ〜 in 大阪城ホール
9. Ignite from 2020.8.16 真夏の大新年会2020 横浜アリーナ〜天球の架け橋〜
10. Starlight from 2021.5.14 NHK 「SONGS OF TOKYO」 ※初商品化!
11. 吉原ラメント from 2022.1.9和楽器バンド大新年会2022 日本武道館〜八奏見聞録〜
12. 生命のアリアfrom 2023.9.7 和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I ※初映像化!!
13. 細雪 from 2023.9.7 和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I ※初映像化!!
14. The Beast from 2024.1.07和楽器バンド大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜
【初回限定Document盤】(CD+DVD)税込¥5,280/UMCK-7254
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.B 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
DVD:本作品レコーディングのBEHIND THE SCENEを収録したドキュメンタリー映像
【CD Only盤】(2CD)税込¥3,850/UMCK-1778
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.C 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
CD DISC2: このアルバムのためにレコーディングされた新曲を含む全8曲のInstrumental をDisc 2に収録
※Instrumental収録はCD Only盤のみ
◆チェーンオリジナル特典
・UNIVERSAL MUSIC STORE:B5クリアカード(絵柄A)
・Amazon.co.jp:B5クリアカード(絵柄B)
・楽天:B5クリアカード(絵柄C)
・TSUTAYA:B5クリアカード(絵柄D)
・タワーレコード:B5クリアカード(絵柄E)
・HMV:B5クリアカード(絵柄F)
・アニメイト:B5クリアカード(絵柄G)
・その他一般店共通:B5クリアカード(絵柄H)
LIVE Blu-ray『和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜』
詳細:https://wagakkiband.com/musics/15545
購入:https://wgb.lnk.to/2024_bd_dvd
■初回限定盤 Blu-ray(本編 DVD 付き)
¥12,100(税込) / UMXK-9042
ライブCD (2枚組み)+60P フォトブック
■通常盤Blu-ray(本編DVD付き)
¥8,800(税込)/ UMXK-1117
『和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜』
[Blu-ray/DVD収録内容]※Blu-ray/DVDは、内容共通
Overture〜八重ノ翼〜
愛に誉れ
雨のち感情論
天樂
フォニイ
いーあるふぁんくらぶ
月下美人
細雪
雪よ舞い散れ其方に向けて
生命のアリア
虚夢
破邪の儀
焔
吉原ラメント
オキノタユウ
The Beast
ドラム和太鼓バトル〜対決武闘館〜
ベノム
星の如く
暁ノ糸
<Encore>
BRAVE
千本桜
※特典映像
BEHIND THE SCENE of 和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜
<和楽器バンド Japan Tour 2024 THANKS 〜八奏ノ音〜>
11/23(土祝) 東京・LINE CUBE SHIBUYA ※SOLD OUT
11/28(木) 大阪・オリックス劇場 ※SOLD OUT
12/8(日) 愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール ※SOLD OUT
12/10(火) 東京・東京ガーデンシアター
【チケット料金】
VIP指定席:前売 \15,000 当日 \16,000(税込/VIP席専用オリジナルグッズ付き) ※SOLD OUT
VIP着席指定席:前売 \15,000 当日 \16,000(税込/VIP席専用オリジナルグッズ付き) ※SOLD OUT
一般指定席/着席指定席:前売 \10,000 当日 \11,000(税込)
【企画/制作】イグナイトマネージメント/LIFE
ツアー詳細はこちら:https://wagakkiband.com/contents/765648
関連リンク
◆和楽器バンド 10周年特設サイト