TBS NEWS DIG Powered by JNN

写真拡大

マイコプラズマ肺炎」や「手足口病」など、夏と秋の感染症が異例の同時流行をしています。
現状や対策について、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞きます。

【写真を見る】「マイコプラズマ肺炎」「手足口病」夏・秋の感染症が同時流行 「インフルエンザ」早めのワクチン接種を【ひるおび】

夏・秋の感染症 同時流行

感染症は、寒くなるこれからの時期に流行するイメージがありますが、今すでに患者数が増えています。

感染症の流行は例年では
▼マイコプラズマ・・・10月頃〜
▼インフルエンザ・・・12月頃〜
手足口病・・・6〜8月
ですが、伊藤院長によると今年は
▼マイコプラズマ・・・9月頃〜
▼インフルエンザ・・・10月半ば〜
手足口病・・・9〜10月
と、時期が変化しています。

マイコプラズマ・インフルエンザはそれぞれ前倒しに。手足口病は夏だけでなく秋にも増加しており、この時期3つの感染症が流行しています。
変化の理由としては、コロナ禍あけで免疫が下がっていること、長引く猛暑と寒暖差で疲労が溜まっていることが考えられるそうです。

マイコプラズマ肺炎」過去最多を更新

国立感染症研究所のデータによると、
マイコプラズマ肺炎の患者数は7週連続で増加。3週連続で過去最多となっています。
マイコプラズマ肺炎は、子どもに多く見られる感染症です。
発熱や長引く咳が特徴で、4年に一度ほど流行する感染症なので『オリンピック肺炎』ともよばれています。
伊藤院長は「新型コロナの影響で8年ぶりの流行になっている。今後更なる感染拡大に注意が必要」としています。

手足口病」41都府県で警戒レベル

さらに、「手足口病」の患者数も、41都府県で警報レベルとなっています。
例年夏頃に患者数が増えますが、今年は7月のピークのあと、9月・10月にかけて再び患者数が増加しています。
手足口病」は口の中や手足などに水泡を伴う複数の発疹が出るウイルス性の感染症です。
4歳くらいまでの子どもを中心に広がりますが、寒暖差の影響で感染者が増えていて今年は大人の患者も多いそうです。

恵俊彰:
いったん8月で落ち着いたように見えるんですが、なぜまた流行るんですか?

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
手足口病は元々複数のウイルスの型が関与すると言われていて、今流行っているのは前半と別のタイプのウイルスが主体だと言われています。
従って2回かかるお子さんと、あとは幅広い年齢層に感染が広がったということが2度目の波を作っているんだと思います。

恵俊彰:
4歳ぐらいまでのお子さんがかかるという印象ですけど、大人もかかるんですね。

伊藤博道院長:
今は結構大人の方が多いです。
お子さんは熱が出たり風邪の症状があって、その後手足に水ぶくれを伴うような赤い発疹が出るんですけど、徐々に軽快することが多いです。ただ口の中にできた場合にはなかなか食べ物が飲み込めなかったり、食欲が減ったりすることがありますので脱水に注意が必要です。
大人の場合は、手足の水泡の痛みがかなり強い方がいますので、これが要注意です。
大人は比較的熱の頻度は低いと思います。くしゃみとか咳とかもない人の方が多いです。

恵俊彰:
薬はあるんですか?

伊藤博道院長:
基本的に対症療法なので、痛み止めや塗り薬が主体になります。食事が取れない場合には点滴が必要になりますし、点滴が連続的に必要であれば入院が必要になるケースもあります。

コメンテーター 土屋礼央:
うちの小学校6年生の子は、サッカーの対戦相手のチームに感染症が多くて人数が足りずに試合が中止になりましたね。
対策するなら、手洗いうがいと、やっぱりよく寝ることなどなんですかね。

伊藤博道院長:
ワクチンがあるわけでもありませんし、専門の薬があるわけでもありません。
接触感染・飛沫感染ですから、やはり手洗いや咳エチケット、うがい、入浴や食事や睡眠などで、体の内なる免疫力をきちんと整えておくことが大事です。

「インフルエンザ」早めにワクチン接種を

また冬のイメージがあるインフルエンザも今年は前倒しになっており、その数は既に増えています。インフルエンザによる学年学級の閉鎖数は全国で118校です。
インフルエンザワクチンは、接種後有効性が高まるまで約3週間かかるので、11月初旬までにワクチン接種をするのがおすすめだということです。

2024年10月から全国で接種を開始した「フルミスト」は、“痛くないワクチン”として注目を集めています。生きているウイルスの毒性や感染力を弱めて作った生ワクチンで、両方の鼻に1回ずつ噴霧します。効果は6か月ほど持続します。
主な感染経路となる「鼻」で免疫を作って体内に入る前にブロックする仕組みです。
費用は約9000円で、対象年齢は2歳から18歳となっています。
また、「フルミスト」には副反応もあります。
鼻炎症状(約半数)・喘息の発作・生ワクチンなのでインフルエンザを発症するケースもあるということです。

恵俊彰:
ワクチンは11月初旬ぐらいまでに打った方がいいですか?

伊藤博道院長:
そうですね。今年は少し早めにインフルエンザの流行が来ると言われていて、実際我々のところでも2日に1人ぐらいはインフルエンザの患者さんを診ています。
11月の前半ぐらいには、打ち終わっていた方がいいかと思います。
きちんと診断して治療すれば極端に恐れる必要はないと思いますが、やはり高齢の方や基礎疾患のある方もいます。受験のシーズンにもなってきますので、個々に考えて備えをすることはやはり大事だと思います。

ひるおび 2024年10月23日放送より)
==========
<プロフィール>
伊藤博道氏
いとう王子神谷内科外科クリニック院長
これまで多数のコロナ患者を診察