1986年に福井市で中学3年生の女子生徒が殺害された事件で、殺人の罪で懲役7年の服役を終え出所した男性の2度目となる裁判のやり直し請求について名古屋高裁金沢支部は23日再審を認めました。

この事件は1986年3月、福井市の市営団地の自宅で1人で留守番をしていた中学3年生の女子生徒が包丁で刺されて殺害されたものです。

殺人の罪で懲役7年の判決が確定した前川彰司さん(59)は一貫して無罪を訴えていて満期出所後の2004年に裁判のやり直し=再審を請求しましたが2014年、最高裁により再審を認めない判断が確定し今回が2度目の再審請求でした。

犯行を裏付ける物的証拠は無く、有罪を結論付けた「前川さんに犯行を告白された」などの複数の関係者による証言の信用性が問われました。

今回の再審請求で弁護団は事件当時血の付いた前川さんを見たと話した男性が「警察官から自身の犯罪を見逃す見返りとして前川さんの関与を認めるよう求められうその証言をしてしまった」と述べたことなどあわせて133点を新たな証拠としました。

また、弁護団は前川さんが事件後に乗ったとされる車から血液反応が出ていないことについて、血液を拭き取ったり日光に当てたりする実験の結果いずれも血液反応が出たとし「あるべき証拠がない」と主張。

このほか、検察から捜査報告メモなど新たに287件の証拠開示を受け、弁護側は関係者の証言は破綻するたび変遷していて合理性に欠けるなどとする心理学鑑定書なども新たな証拠としています。

事件から35年余り。再び司法による審判が下されます。