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ミドシップからのコルベット・デビュー

平成14年、日韓ワールドカップの開催やエンツォ・フェラーリのデビュー年。AUTOCAR JAPANの最若手編集部員である僕、オゴーが生まれたのも同じく2002年である。

【画像】オレンジが鮮やかなシボレー・コルベット・コンバーチブル(と編集部オゴー) 全19枚

今回、そんな僕のコルベット・デビューは、第8世代のC8。長年続いたフロントエンジン、リアドライブの方式を改め、世のハイパフォーマンスカーと同様にエンジンをリアミッドに移動したのがこのC8の特徴であり、センセーショナルなモデルとされる所以。”時代が変わった”モデルだ。


今回がコルベット・デビューの編集部オゴー(21歳)。コンバーチブルと電動化モデルE-Rayに試乗。    神村聖

というわけで僕は、古き良き(?)FRのコルベットではなく、新時代のC8でコルベット・デビューを果たした。乗ったのはコンバーチブルと、これまた新時代のセンセーショナルなモデルであるE-Ray。コルベット初のミッドシップであるうえに、E-Rayは史上初のハイブリッドシステムで、史上初のAWDなのだ。人生初コルベットが史上初ミドシップで初ハイブリッドで初AWD……。

とにかく、これまでのコルベットとは別の乗り物のようだ。

フレンドリーなコンバーチブル、本気のE-Ray

一方のコンバーチブルはオレンジのボディカラーにタンレザーのインテリアを組み合わせ、そのインパクトの強さに目がくらんだ。よくわからないけど、なんかアメリカン! と思わずニヤつく。

見るからに”スーパーカー”なルックスなので、道行く小学生たちが「うわ! ランボルギーニがいるぞ!」と騒いでいて、これもミドシップ化の恩恵なのかなと思ったり。恩恵といえばもうひとつ、電動ハードトップを開ければ、後ろから伝統の6.2リッターV8 OHVの節度とライブ感のある音が楽しめることだ。


試乗車のコンバーチブルはオレンジにタンレザーの組み合わせ、なかなのインパクトだ。    神村聖

フロントにエンジンを搭載するクルマが圧倒的に多い中で、やはり頭の後ろからエンジンの音が聞こえるというのはクルマ好きにとっては”特別感”を伴う気持ちよさを味わえる。節度なんかいらない! という時は”Zモード”を起動すれば背中の後ろに火の玉があるような刺激を得られる。

一方、E-Rayは並べずともわかるワイドなボディで、収まるタイヤ幅はリアでなんと345! 外形も21インチなので見るからにアグレッシブ。そこそこ大きいはずのコンバーチブルが華奢に見えてくるほど。

フロントにはモーター、センターコンソールにはバッテリー類が収まっているということで、ボディはより屈強に、重量バランスも整っている印象を受ける。増大したパワーを受け止めるブレーキもカーボンセラミックへとレベルアップ。

ホイールのインチに起因するものだろう、荒い目地の路面ではコンバーチブルよりもE-Rayのほうが若干ハードだが、舗装の綺麗な高速道路ではずっしりとしたE-Rayのスタビリティが光る。攻め込んだ走りをするときには心強い安心感をもたらし、コンバーチブルでは躊躇してしまう領域へ容易に踏み込んでしまえる、別格の完成度であった。

良いクルマと好きになれるクルマ

E-Rayとコンバーチブル、まっとうに乗って比べてみれば明らかにE-Rayの方が良いクルマだ。パフォーマンスやボディ剛性はもとより、フロントにモーターを搭載していながらラゲッジスペースも犠牲になっていない。ルックスだってE-Rayの方がワイドでシビれるのだ。価格差を鑑みても納得のいく内容なので、お金に糸目を付けずに完成度の高いクルマが欲しいのなら、迷わずE-Rayを買うべきだと思う。

ただ、好きなのはどっちだと聞かれれば、僕はコンバーチブルを選ぶ。そのわけは? と聞かれると表現するのは少し難しいのだが、一言でいうと”ユルさ”。もちろんボディ剛性だけの話ではない。


E-Rayはどちらかというと”真剣”なクルマ。”革新的なエンジニアリングを取り入れるうえで、妥協せずにつき詰めました”、そんな開発者たちの真剣な気持ちが乗っていると伝わってくる。一方、コンバーチブルはオープンにしてゆったり走れば快適だし、E-Rayほどスタビリティが高いわけでもないので、もうちょっと低い速度域でも十分”飛ばしている”感を味わえる。

FRのコルベットに乗った経験はないので、こんなことをいうと誰かに怒られかねないが、僕の中のイメージではこちらの方が”コルベットらしい”のだ。