それが「セールスDX」事業です。営業を強くし売上をアップするための名刺管理・営業支援ツール「ホットプロファイル」がヒットし、今最も成長しています。この事業によって、我々は上場することができたと言っても過言ではありません。

 ─ 失敗にめげずにチャレンジしたことで、成長する新規事業を生み出すことができたと。

 若山 そうです。失敗もありましたが、とにかくチャレンジをし続けてきました。その意味で社内にはチャレンジすることの重要性を訴えています。

 多くの場合、みんな「失敗すると怒られる」、「評価が下がる」といって失敗を恐れるんです。そうではなく、失敗することで経験ができるのだと思うんです。楽な道を選ばす、ガムシャラにチャレンジして欲しいということを常に言っています。

 ─ 社内で伸びている社員はどういうタイプですか。

 若山 通常の考え方ではなく、「こうやったらどうなるだろう?」と常に考えている人です。そう考えていると、自ずと行動に移っていくわけです。言われたことだけをやっているのではなく、考えて行動できる人が伸びていますね。

 ─ そうした積極的にチャレンジする、行動する人材を報酬含め、どう評価していますか。

 若山 高く評価しており、当社の評価制度に則った上で、非常に速いスピードで昇格をしています。例えば入社5年目で次長になっている社員もいます。当社では中途採用者でも一兵卒からスタートしていますが、チャレンジ精神と業績次第で活躍ができます。

 今回、上場をしたのも、上場によって会社の認知度を上げて、多くのチャレンジしたい人達に入ってきてもらいたいという思いがあったからです。

 ─ 社長として、強みのある製品を生み出すために意識していることは?

 若山 当社の強みは、先程お話した製品に表れているように、お客様のニーズをいち早くキャッチして、それをいち早く製品に転換していくスピードです。私自身も、常にその感覚を持っていたいので、営業担当者と一緒に現場に出ているんです。

 お客様の他、協力会社にも訪問するなど、重要なお取引先には常に行くようにしています。その機会に、お客様のニーズを感じ取るんです。そうして私自身が得たニーズを現場と共有して、担当者達と議論をしています。

 そして当然、私だけでなく、そうしたお客様のニーズをキャッチするという文化は現場にも根付いています。営業担当者が集めてくるニーズを、商品企画担当者がしっかりまとめて製品開発をし、すぐにプロトタイプを出す。そのサイクルのスピードが速いことが、当社の強みになっています。


製品開発とM&Aを軸にさらなる成長を

 ─ 今後、どのように会社を成長させていきたいと考えていますか。

 若山 今回、上場したからには、さらに成長する会社にしていきたいと考えています。これまで売り上げは、年10%程度の成長でしたが、これを将来的には15%、20%に高めていきたいというのが目標です。

 そのために今、経営メンバーを集めて中期経営計画を策定しており、3年後、5年後にどれくらい成長しているかという、具体的なロードマップを作成しています。

 ロードマップでは、製品開発に投資する部分と、その方向性の中で協力し合えそうな企業に対するM&A(企業の合併・買収)という2つの軸で、成長をさらに加速させたいと思います。

 M&Aは、単に買って売り上げだけ伸ばそうという会社も中にはありますが、我々は全くそういうことをしようとは思っていません。