「巨大ヒョウで人が死ぬ」「東京湾は熱帯魚だらけ」…生き残るのが困難すぎる「地球沸騰期」

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「もはや地球温暖化の時代は終わり、『地球沸騰』の時代が到来した」

国連のグテーレス事務総長は、昨年7月に世界の月間平均気温が過去最高を更新する見通しとなったことを受けて記者会見を開き、こう警告した。

もう半世紀近く問題視されている地球温暖化だが、解決の兆しは見えていない。今年の夏は平均気温が平年と比べて1・76℃も高く、明らかに異常だった。このまま温暖化が進むとどうなるのか。

前編記事『「東京の最高気温45℃」「四季が消える」…2050年に日本が突入する地獄の「地球沸騰期」』では地球沸騰期が日本の気候に与える甚大な影響について徹底解説した。

ヒョウで人が死ぬ

地球沸騰期がもたらす被害のひとつに、考えるだけでもゾッとしてしまう異常気象がある。ヒョウの「巨大化」だ。

「地表から上空に上がった水蒸気は氷になり、落ちるときに溶けて雨になります。ただ、温暖化でさらに地表が熱くなると強い上昇気流が発生するため、落ちてくる氷は溶ける前に再び水蒸気を纏って上に戻される。これが何度も何度も繰り返されるうちにヒョウがどんどん巨大化するわけです。

具体的には野球ボールや缶コーヒーくらいの大きさのヒョウが降る可能性が高いです」(立花氏)

異常気象が続けば、生態系も大きく変化していく。もっとも大きな影響を受けるのは魚だ。

京都大学フィールド科学教育研究センター准教授の伊勢武史氏が語る。

「海面温度が変化することで魚の回遊パターンは変わっていくでしょう。冷たい水を好む北方の魚はさらに北上し、熱帯魚の生息地域が北に延びていくかもしれません」

そうなると、サケやサンマ、スルメイカといった魚介類が日本では獲れなくなり、簡単に手に入らなくなるだろう。また、今は沖縄のような南国にだけ生息しているようなカラフルな熱帯魚が、東京湾を埋め尽くす。

「世界的に寒い海が少なくなることで、漁獲量が激減する海産物が多数出ます。ウニや昆布といった海産物の価値がぐんと上がり、食卓にのぼりづらくなるかもしれません」(伊勢氏)

『日本沈没』が絵空事ではなくなる

2050年、食卓に並ばなくなってしまう食べ物は山のようにある。コーヒー豆の産地は半減すると予測されているし、チョコレートの原料であるカカオに至っては絶滅するという研究まで報告されている。とりわけ私たちの生活に直結するのは、パンやパスタ、ラーメンの原料である小麦の生産に関する予測だろう。

小麦は、ほかの3大穀物であるトウモコロシ、コメと比べると暑さにひときわ弱い。そのため、気温上昇で2050年までに世界の小麦の収穫高は23〜27%減少する恐れがあると、国際食料政策研究所(IFPRI)は指摘しているのだ。急速に温暖化が進行していることを踏まえると、予測よりも遥かに不作となり、小麦が高級品になっていてもおかしくはない。

また、地球温暖化は南極大陸やグリーンランドなどの氷河や氷床を溶かし、海水面を上昇させてしまう。IPCCの予測によると、2050年には海水面が40cm近く上昇する見込みで、日本では半分の砂浜が消滅する。

特に被害を受けるのは東京だ。東京全体の平均海抜は40mだが、江東5区(墨田、江東、足立、葛飾、江戸川)は海面下の「ゼロメートル地帯」が多い。たとえば江戸川区は70%が海面下にあるため、対策しなければ浸水や水没する恐れがある。

洪水や高潮のリスクも高まるため、他のエリアでも人が住むことは困難になる。当然ながら、湾岸のタワマンでの生活は絶望的だろう。

技術が進んで産業革命が起こる一方、地球は「沸騰期」に入り、世界では第三次世界大戦が勃発するかもしれない。有史以来、最大級の変化が2050年までに訪れることを覚悟して、生きてゆかねばならない。

「週刊現代」2024年10月5・12日号より

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