「プーチンをヒグマから守った男」が次のロシア大統領に…これから25年間に世界で起こる「大事件」

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わずか25年前から、世界情勢は恐ろしく変化した。だがこの先25年は、さらに大きな変化が待ち受けている。一体どうなるのか─―前回記事『アメリカはむしろ「台湾侵攻」を待ち望んでいる…その裏にある「恐ろしすぎる理由」』に引き続き、多角的な視点から精緻に予測してみよう。

プーチンを熊から救った男

さらに地政学に詳しいアメリカのジャーナリストのロバート・カプラン氏は、台湾侵攻に続く米中衝突が「第三次世界大戦」につながるリスクを指摘する。

「2050年までに、世界規模の大戦争がまず間違いなく起こると見ています。その発端としてもっとも可能性が高いのは、アジア太平洋で米中が衝突するケースです」

そうなったとき、真っ先に中国陣営に加わるのは北朝鮮だ。金一族の独裁体制が続いている場合はもちろん、2050年までに中国の一部になっているとの予測もある。

「金正恩(40歳)の妹の金与正が跡を継ぐと言われていますが、男系継承が続いた北朝鮮では考えにくい。跡継ぎが決まらないまま金正恩が60代半ばを過ぎれば、体制が不安定化したところでそのまま中国に飲み込まれるとも考えられます。

『世界の警察官』から下りたアメリカは軍事費の負担を軽減させるため、韓国をはじめ各地から米軍を撤退させていくはず。そのタイミングで韓国に左派政権が成立し北朝鮮に歩み寄れば、朝鮮半島がまとめて中国の影響下に入ってもおかしくない」(立命館大学教授の上久保誠人氏)

中国と4000キロメートル以上の国境を接し、西側世界との対決姿勢を明確にしているロシアもまた、中国側に立つ。キヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問の宮家邦彦氏が背景を解説する。

「ロシアは周囲に緩衝地帯をつくることで、自国の安全を担保してきました。しかし冷戦後、旧東側諸国がほとんどNATOに加盟してしまったうえ、将来的にはウクライナも間違いなく加盟するでしょう。西方が敵国であふれている状況で、中国と対立するわけにはいかない。たとえ従属することになったとしても、良好な関係を維持するしか道はありません」

25年後にプーチン大統領は96歳。後継者としてさまざまな人物が噂されてきたが、ここにきて新しい候補が浮上している。

「5月に大統領補佐官に抜擢されたアレクセイ・デュミン(52歳)です。もともとはプーチンの警護官だった人物で、過去に彼をヒグマから守った経験もあると言われます」(外務省関係者)

2014年のクリミア侵攻時、デュミンはロシア軍の情報部門で特殊作戦を指揮しており、領土拡大に熱心な人物とも言われる。彼が大統領となれば、米中戦争を好機と捉えて中国側で参戦し、北方領土の先にある北海道に侵攻してもおかしくない。

どの国が中ロ側に立つのか

現在の国際情勢を手がかりにすると、将来的にどの国が中ロ側に立つかが見えてくる。有力な候補がイランだ。

「現在、中国とロシアとイランは基本的に協力し合っています。ウクライナ戦争ではイラン製の無人機と北朝鮮製の武器弾薬が使われ、中国も水面下で支援しています」(前出の宮家氏)

ただし中ロとの連携をさらに深めるために、越えるべき「体制安定化」というハードルは高い。

「最高指導者のハメネイ師を頂点とする現在の政治体制について、イラン国民の間では不満が広がっている。『第二次イラン革命』が起こって体制が大きく変われば、内政に注力し海外への関与を減らしていくでしょう。ハマスやヒズボラなどイスラム系のテロ組織への支援を打ち切れば、中東ではイスラエルが相対的に勢力を拡大していく。強いイスラエルがガザを併合し、パレスチナ問題が決着するかもしれません」(前出のカプラン氏)

帰趨を決めるのはインド

中国とロシアが手を組めば、軍事作戦に情報戦やサイバー攻撃などを組み合わせて、巧妙な「ハイブリッド戦争」を仕掛けてくるに違いない。それに対して、日本を含む西側陣営はどういった顔ぶれで臨むのか。

ヨーロッパ諸国(EU)が味方する可能性は高いが、今後25年間でEUが世界のGDPに占める割合は約17%から10%未満へ低下する見通しだ。加えて、25年後までにアフリカから数百万人の規模で移民・難民が押し寄せ、EU域内で2015年の「欧州難民危機」のような大混乱が生じる恐れもある。

カギを握るのは、2050年には人口約16億人、GDP世界第2位の大国となっているインドだ。中国とは60年以上にわたって国境紛争を抱えていて、2020年には戦闘で死者も出ている。またアメリカ、日本、オーストラリアとともに、インド太平洋地域で中国に対抗する戦略的な同盟「QUAD」のメンバーでもあるため、膨張する中国を食い止めようと動くだろう。

「度重なる経済危機と災害で、隣国パキスタンは崩壊が近いとも言われます。その空白地帯に敵対するインドが入り込めば、さらに強大な国になるでしょう」(カプラン氏)

こうしてアメリカvs中国、つまり新しい「連合国」と「枢軸国」に世界が分断されるのが、想定しうる第三次世界大戦のシナリオだ。ただし過去2度の大戦とは異なり、明確に勝敗がつかないまま終わるだろう。世界規模でサプライチェーンが張り巡らされた現代では、敵国のダメージが自国の経済に跳ね返るからだ。

大戦を経た世界ではかつてのアメリカのような覇権国は現れず、米中印などの大国が各地域の覇権を握り、それぞれの縄張りを牛耳るボスになる。在韓米軍に続いて在日米軍も撤退、あるいは縮小すると予想される中、日本はアジアの最前線でどう振る舞うべきか。

「共産党政権が続けば、技術流出やスパイ容疑で逮捕されるリスクを懸念した企業が中国を見限り次々と撤退していくはず。TSMCの工場を熊本に誘致したように日本がその受け皿になれば、むしろ安全な国として世界での評価も高まるでしょう。地道に各国から信頼を勝ち取ることこそ、日本の発言力にもつながるはずです」(前出の上久保氏)

激動の時代だからこそ、日本にとって大きなチャンスとなるかもしれない。

「週刊現代」2024年10月5・12日合併号より

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