「東京の最高気温45℃」「四季が消える」…2050年に日本が突入する地獄の「地球沸騰期」

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「もはや地球温暖化の時代は終わり、『地球沸騰』の時代が到来した」国連のグテーレス事務総長は、昨年7月に世界の月間平均気温が過去最高を更新する見通しとなったことを受けて記者会見を開き、こう警告した。

もう半世紀近く問題視されている地球温暖化だが、解決の兆しは見えていない。今年の夏は平均気温が平年と比べて1・76℃も高く、明らかに異常だった。このまま温暖化が進むとどうなるのか。

シリーズ連載『「大阪で日本語が通じなくなる」「2000万人が消失」「世界の食料争奪戦に巻き込まれる」…2050年の日本で起きる「想像を絶する事態」』より続く。

温暖化が予測不能なスピードで進行

三重大学生物資源学部教授で、気象学・気候力学を研究している立花義裕氏はこう解説する。

「'15年に採択されたパリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃以内に抑えることを長期目標としていました。ところが、昨年の時点ですでに1.4℃上昇している。

つまり、誰も想像がつかないほど異常な速さで温暖化が進んでいる状況と言えるでしょう。いま研究者によって『2100年の気温』と予測されている数値が、2050年に叩き出されてもおかしくはありません」

かつてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表した予測によれば、2100年には気温が5.6℃上昇する可能性があるという。こうした未来が、2100年を待たずして26年後に訪れる可能性がある。

日本から『四季』が消える…?

観測史上、東京の過去最高気温は39.5℃('04年)だが、2050年の夏は平均気温40℃、そして最高気温45℃を超える日が出てきても不思議ではないということだ。

それほど気温が高くなると、数多の異常気象が私たちを襲うこととなる。まず、日本列島から「四季」がなくなってしまう。

「夏がなかなか終わらない『二季の国』になると予測しています。これからは秋と春はなくなると考えたほうがいいでしょう」(前出・立花氏)

いったいなぜなのか。温暖化で海水の表面温度が高くなったことに加え、北極の温暖化が進み、偏西風に影響を与えることが、日本の夏が長くなる大きな原因だという。

「偏西風は、北側は涼しくて南側は暑くなります。夏の日本は偏西風の南側に位置するため基本的に暑いのですが、北極の温暖化が進むほど、流れ込むはずの冷たい風が弱くなり、南側の日本が、ほぼ『無風状態』になる。

無風のうえに偏西風が北に蛇行し、高気圧に覆われるので、より広範囲が暑くなる。こうして日本の灼熱化が進むのです」(立花氏)

一方で、冬の日本は偏西風の北側―冷たいほうの空気に覆われるのだが、上空は寒くとも、海面の温度は以前より高い。その大きな寒暖差で豪雪が降りやすくなるという。

海水面の温度が上がって大量の水蒸気が発生するため、台風の威力も増す。'59年の伊勢湾台風以来、日本に来ていない「スーパー台風(最大風速が毎秒67m以上の巨大台風)」が頻繁に発生し、甚大な被害を及ぼすことも考えられる。

地球沸騰期において自然災害はかつてないほどの猛威を我々に振るっている。後編記事『「巨大ヒョウで人が死ぬ」「東京湾は熱帯魚だらけ」…生き残るのが困難すぎる「地球沸騰期」』では絵空事ではなくなった『日本沈没』の可能性について解説する。

「週刊現代」2024年10月5・12日号より

「巨大ヒョウで人が死ぬ」「東京湾は熱帯魚だらけ」…生き残るのが困難すぎる「地球沸騰期」