「好きにやっていいから」を真に受けたら、こうなりました…スマホ主流の時代にあらがう「超マニアック」手帳、ここに爆誕

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1963年に創刊されて以来、「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、これまで2000冊以上のラインナップを世に送り出してきたブルーバックス。本連載では、そんなブルーバックスをつくっている編集部メンバーによるコラムをお届けします。その名も「ブルーバックス通信」。どうぞお楽しみください!

横縞を縦縞に変えてでも

昨年、ブルーバックスに異動してきたばかりの私に、編集長のアオキさんから「とにかく火星人を増やして、雰囲気を変えてよ。あと、ペンホルダーがほしい!」と強めなリクエストを受け、それなりに手を加えたはず……でした。

が、新しさが足りなかったのか、今年はさらに強いプレッシャーがのしかかってきたのです。しかし、どうすればよいのでしょうか? 大きさも変えられないしページ数も増やせないし、大幅な内容変更でこれまでの読者を裏切ってしまうのが怖いのです。

しかし、私は覚悟を決めました。「もう、物理手帳にしてもいいから!」というアオキさんの言葉をタテに、資料編は物理関連以外の項目をほぼカットし、3分の2を新たに制作するという大胆な決断を下しました。一応、数学の公式はかなり残っています。

新しいことをするのに「縦縞を横縞に変えてでも……」なんて言葉を思い出しますが、スケジュール部分を横から縦に変え、数式を消し、1週ごとに「おすすめのブルーバックス」と「科学者のことば」を楽しめるようにしました。

カレンダー部分には火星人が増殖しています。

物理に全振りしてしまいました

さて、3分の2を改変した「資料編」。

素粒子から元素合成、そして宇宙138億年の歴史をビジュアルで眺められるようにまとめました。日本原子力研究開発機構の小浦寛之先生のご協力をいただき、宇宙の元素(原子核)がどのように合成されてきたかを紐解く「核図表」を掲載しました。

「核図表」が載っているなんて手帳は、おそらく全宇宙を探しても、ほかにはないはずです!

さらに「資料編」の大きな目玉として、大学の同窓で友人の編集者、島田誠くんの協力を得て、「物理学の歴史」をまとめてもらいました。

島田くんは博士課程まで物理を学んだあと、専門書の編集者として10年ほどの経験を積み、2023年には地元・沖縄のコザ銀天街で「サイエンスカフェ広場 りっかRIKA」というスペースをオープンしました。

子どもから大人まで科学の楽しさを体験してほしいという思いから、科学を伝える場を提供し、第一線で活躍する研究者を招いてトークイベントを開催しています。毎回、大いに盛り上がっているようで、沖縄の子どもたちが羨ましいかぎりです(※沖縄にいなくても、オンラインで旬のイベントが楽しめますので、ぜひ検索してみてください)。

これまでのブルーバックス手帳では、週間スケジュールの右上に数式が紹介されていました。その数式は、その週の出来事やイベントに合わせて選ばれていましたが、たとえばマクスウェル方程式がバラバラに掲載されるのは、なんだかしっくりこなかったのです。

そこで、いっそのこと物理学の進歩がわかるように数式を紹介するというアイデアを提案しました。正直、無茶振りがきついかと思いましたが、島田くんは見事に応えてくれたのです。

ニュートン力学から相対性理論などを経て、量子重力理論や将来的な展望まで。「波と粒子の二重性」をキーワードにたどることができます。チャレンジングな内容で、正直、なぜこれが「手帳」に載っているのか、もったいない気持ちすら持っています。

ブルーバックスと科学で毎日を楽しくしたい!

というわけで、物理の内容を充実させましたが、手帳そのものの目標としては、ブルーバックスにより親しみ、読者のみなさんが「毎日手帳を開くのが楽しみになる」ことを大切にしました。

デジタルやスマホが主流の今、たくさんの予定を書き込んだり、過去を振り返って思いをめぐらせたりしながら、この手帳を楽しんで使っていただけたらと思います。

資料編の最後には、科学に実際に触れたり感じたりできる科学スポットを一覧で紹介しています。体験こそ、アナログの良さを存分に味わえるものです。ただ、誌面の関係で掲載しきれなかった博物館などもかなりあります。メモ欄もありますので、ご自身でお気に入りのスポットを書き加えながら、アレンジしていただけると嬉しいです。

科学をあなたのポケットに!(E.M)

ブルーバックス科学手帳2025

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