番号が呼ばれず、泣き出す人も…Fカップで活躍中「元SKE48」が振り返る、オーディション「最終審査」のリアル

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「アイドル戦国時代」と言われて久しいが、人気グループではオーディションの倍率が数千倍に達することも珍しくない。いわゆる「運営」は大量の受験者をどのように選別しているのか。その実態はベールに包まれている。

2022年にSKE48を卒業し、タレントとして活動を続けている五十嵐早香さんの連載第6回。18歳の夏、メイド喫茶でバイト中にお客さんから「SKE48のオーディションに応募してみないか」と提案されたのをキッカケに、アイドルへの一歩を踏み出した。彼女ははたして、どんな「面接」を経験したのだろうか。当時の記憶をたどりながら、自ら綴った。

緊張のダンス審査

会場に入ると配信で有名だった可愛い子や、話題になっていた子もちらほら見かけ、こう見ると私って可愛い方ではないのかもしれないと容姿に焦りを感じだした。大きな部屋で番号順に座って待たされたので、番号が近い子と話している受験者もちらほらいた。

生憎私は借りてきた猫状態で、ただただ俯いて時間をやり過ごしていた。いよいよダンス審査の番が近づいてきたその時、ふと隣の番号の女の子が話しかけてきた。

正直今までにないほど緊張していて、さらに美女が話しかけてきたので、もう頭が真っ白になってしまっていた。だから話の内容は覚えていない。ただ、しばらく話していると時間の流れを忘れて、いつの間にか自分の順番がきたのでとても助かった。

8人ほど部屋に呼ばれると、そこはダンススタジオのような場所で大きな鏡がたくさん設置されていた。審査員は5人ほどいた気がするが、これも緊張で記憶が曖昧だ。

真ん中にはきれいな女性が座っており、後に支配人でもありメンバーの斉藤真木子さんであることが分かった。秋元康さんはその場にはいなかった。

曲が流れ、2列になり8人同時に踊った。怖すぎてミスをしたかどうかも分からないが、一人一人まるで別のダンスかのように踊り方が違っていたのを覚えている。

誇張してる子、先生のダンスをそのままコピーしてる子……踊り方はそれぞれだった。早く終わってくれと念じていると本当にあっという間に終わってしまい、特にコメントもなく退室させられ、今度は歌唱審査の順番待ちをした。

面接官と盛り上がった話題は…

かなり長い間待った。1人ずつ部屋に案内され質疑応答もあったと、出てきた女の子が焦りながら報告していた。

ついに私の番号が呼ばれ入室、ピリついた空気のなか曲が流れて、歌った。曲の割と序盤で歌が切られたので、テレビの歌番組で流れる「カーン」という音が脳内再生された。

昔から歌は下手でコンプレックスだったので、今にも泣きそうになってしまった。歌についてはノーコメントで、審査員が私に尋ねた。

「フィリピンに住んでたのはどうして?」

私の過去がどうやら審査員の好奇心をくすぐったようで、審査員たちも表情が柔らかくなっていった。フィリピンでのアイドル時代の話が盛り上がり、そこそこ時間が経ってから退室した。

どれくらいの時間かは分からなかったが、他の人より長かった気がした。よかったからなのか、それとも怪しまれているのか、とても不安だった。

全てが終わり、全員がダンススタジオの中に呼ばれてその場で体育座りをした。審査員であったうちの1人の男性が入室、まさかのその場で投票審査に残る合格者を呼んでいくスタイルだった。呼ばれた人は速やかに立ち上がるよう告げられる。

「絶望の音」

ギチギチになった部屋の空気は暑くなっていくが、同時に徐々に冷ややかな空気が流れ始めた。

若い番号順で呼ばれているが、10個以上の番号を飛ばしながら呼ばれていく。ほとんどの番号が呼ばれずに飛ばされていった。そして1度呼び出した番号よりも若い番号が呼ばれることは無かった。1秒間に、周りから何人もの「絶望の音」が聞こえた気がした。自分よりも上の番号が呼ばれ、泣き始めてしまった女の子もいた。

『進撃の巨人』で、人々が教会の中にギチギチになりながら逃げ込むも、屋根が壊され次々に巨人につまみ出されて食べられていくシーンを思い出した。

「66番」に近づくにつれ、息が浅くなっていく。40番から一気に70番まで飛ぶ可能性もあり、次呼ばれる番号が66より若い番号であるよう願うことしかできなかった。50番代まで来た時、さすがに次呼ばれなかったら無理だろうと思った──。

第7回に続く…

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