Johnson & Johnson(以下J&J)は10月4日、医療用医薬品のグローバル開発戦略と日本におけるヘルスケア市場への貢献について説明した。新たなスローガン「私たちは、医療の未来を切り拓き、革新的な医薬品をお届けします」のもと、世界が直面する喫緊の健康課題に取り組んでいる同社。医薬品事業を担うJ&J日本法人(ヤンセンファーマ)においても、世界規模の開発力を活かし、アンメット・メディカル・ニーズに対処する医薬品を患者に届ける様々な取り組みを強化していく、としている。

メディア説明会に登壇した、J&J日本法人の關口修平氏(左)と、J&JのJohn C. Reed氏(右)

○■医療の未来を切り開く

冒頭、J&J Innovative MedicineのJohn C. Reed氏はグループの企業規模について紹介する。それによれば、同社はグローバルにおいて1万3,000人以上の科学者と研究者を抱えており、社員は13万人以上が在籍。2022年には同社の医薬品で4億6,000万人以上の患者に治療を行ったという。「2023年には研究開発のために151億ドルを投資しました。私たちはInnovative Medicineであり、これは医療の未来を切り開いていく企業ということです」とJohn氏。

John C. Reed氏(Executive Vice President, Johnson & Johnson Innovative Medicine, R&D)

グローバル規模の開発力を活かし、医療の未来を切り開いていく

具体的には、がん、免疫疾患、精神・神経疾患、その他の分野で深い専門性を有しており「患者さんたちのアンメットニーズ(Unmet Needs:まだ満たされていないニーズ)に応えていきます」と説明する。

ニーズの高い分野に特化した、深い専門性を有している

J&J Innovative Medicineの医薬品ポートフォリオ

ヤンセンファーマ 代表取締役社長の關口修平氏は、日本における事業体制とビジネスの展望について説明。「革新的な医薬品の数々を国内に導入したことにより、2000年初頭には業界25位だった当社は2021年には業界4位まで急成長しました。精神・神経疾患から始まったポートフォリオも、現在では、がん、免疫疾患、精神・神経疾患などの領域で90以上の製品などを提供できています」とする。

關口修平氏(Johnson & Johnson Innovative Medicine, Japan代表取締役社長)

革新的な医薬品の数々を国内に導入した

ここ15年ほどの間に国内に”初導入”した新薬の製品名を挙げながら「これまで多くの標準治療を世に送り出し、日本の医療を切り開いてきました」と關口社長。今後も日本の患者のため、医療の未来のためにイノベーションを加速させていくと説明する。

数多くの標準治療を世に送り出してきた

「医薬品市場も変化を続けています。安全とニーズが多様化し、また私たちが追うべき疾患領域、新薬が求められている疾患領域も変わりました。こうした背景を踏まえ、私たち日本法人はイノベーションの社会実装化をさらに推し進めていく方向に舵を切りました。J&Jの開発の強みを活かし、新たな疾患領域にも積極的に参入していきます」(關口社長)

これまで治療法がなかった患者に、新たな選択肢を提供する

国内における革新的医薬品の開発を加速し、2025年は単年で適用拡大を含む10件の承認取得を予定。さらに2029年までに約50件の承認取得を視野に入れている。「(2029年までには)売上の40%以上が、今後上市する製品によって占められる見込みです」と關口社長。

炎症性腸疾患、多発性骨髄腫、肺がんの疾患領域においてリーダーシップを発揮していく

このあと「J&J日本法人の大きな強みは、世界最大規模の開発力と日本における実行力です。J&Jはグローバルの売上の18%を研究開発に費やしており、自社開発のみにとらわれない柔軟なタイムライン戦略を実行しております。例えば、日本国内単独の市場規模では開発が難しいような疾患であっても、このグローバルスケールを活かして日本に薬剤を持ってくることが可能です。私たちは開発力のスケールを活かして、日本の創薬のエコシステムの構築にもさらに貢献していきます」と説明。医療従事者の責任を果たし続けるために企業の強みを生かし、日本の患者のニーズに応え続ける事業展開を進めていく、と力を込めた。

医療の未来に向けてイノベーションを加速する

近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら