10月6日(現地時間)、ラ・リーガ第9節、レアル・ソシエダ対アトレティコ・マドリード戦の撮影取材のため、スペイン北部バスク州サンセバスチャンを訪れた。

 ソシエダ所属の久保建英が先発フル出場したこの試合、結果は1対1の同点で終わりを迎えている。

 ただ、ソシエダ指揮官イマノル・アルグアシルが試合後のコメントで「自分たちは負けよりも勝ちに近かった」と述べたほど、ソシエダがゲームを支配、攻勢を強めた試合だった。

 シュート数を比べてみても、アトレティコの4本に対し、ソシエダは久保の3本のシュートを含む16本と圧倒した。


アトレティコ・マドリード戦にフル出場した久保建英(レアル・ソシエダ)

 しかし、ソシエダは前半1分の早すぎる失点に最後まで苦しむこととなった。

 アトレティコは開始早々、アントワーヌ・グリーズマンからのパスを受けたフリアン・アルバレスが角度のないところから見事にゴールを決め、最初のチャンスをものにした。

 右サイドに入る久保に対しては、アトレティコの5バック左端のハビ・ガランが徹底マーク。なかなか久保にボールが集まらない時間が続いたが、徐々にパスが集まり始めると、キレのあるドリブルでガランを翻弄する。前半終了間際には、カットインからふたりの相手をかわしてシュートを放ったが、これはGKに弾き出されてしまった。

 後半も引き続き攻撃の牽引役となった久保は、ガランひとりでは対応が不可能なほどのキレを見せた。途中からは相手2トップの一角、グリーズマンまでもが久保への対応に当たるなど、アトレティコ指揮官ディエゴ・シメオネの久保への強い警戒を感じさせた。

 試合後の会見に臨んだ久保は、「2トップのひとりが、僕の横にいるのは普通じゃない。グリーズマンのような選手にそこまでさせる、シメオネはとても偉大な監督だと思う」というコメントを残した。

 それでもソシエダの得点が生まれないまま時間は過ぎていった。

 だが84分、この夏に加入したルカ・スチッチが、ボックス外で横パスを受けてダイレクトシュート。ボールは見事な軌道を描いて、名手ヤン・オブラクの頭上を超えゴールネットに突き刺さった。

 逆転を狙うソシエダは、久保がアディショナルタイムに強烈なシュートを放つなどしたが、ゴールを奪うことはできなかった。

 久保は「試合前には特別な指示は受けていなかったけど、途中からは調子がいいこともあり、『どんどん仕掛けろ』と指示を受けた」と言う。

「アトレティコ・マドリード相手にこのゲームができれば、ここから上がっていけるのかなと思う」(久保)


アントワーヌ・グリーズマンと激しく競り合う久保建英

 久保はこの後、W杯アジア3次予選サウジアラビア戦、オーストラリア戦を戦う日本代表へ合流。代表ウィークでの中断明けには、敵地でのジローナ戦が待っている。