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 ◇ナ・リーグ ドジャース2−4パドレス(2024年9月24日 ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平投手(30)は24日(日本時間25日)、2勝で地区優勝が決まる2位パドレスとの3連戦初戦に「1番・DH」で出場も初回の二塁打だけでチームも敗戦。3点を追う9回に2点差とし、なお無死一、二塁では前を打つミゲル・ロハス内野手(35)が三ゴロで三重殺に倒れた。パ軍はプレーオフ(PO)進出が決定。三重殺での試合終了はメジャー史上28度目で同プレーによるPO進出決定は史上初の珍事だった。

 たった4秒の出来事で、反撃ムードが消えるどころか試合も終わった。ネクストバッターズサークルの大谷はヘルメットをかぶり、バットを持ったままぼうぜんと立ち尽くす。リプレー検証でも覆らなかった。犠打の選択肢もあった中での強攻策で、三重殺による試合終了。米メディアも「今まで見たこともないようなクレージーな負け方」と辛辣(しんらつ)だった。

 1―4で迎えた9回に相手の守護神スアレスから1点を返し、なお無死一、二塁。初球に送りバントの構えも見せていた9番・ロハスが、一転して2球目は強攻策で三塁へゴロを放ち、捕球したマチャドが三塁ベースを踏んで、二塁、一塁と転送されて三重殺となった。次打者は通算10度目の週間MVPを獲得したばかりの1番・大谷。デーブ・ロバーツ監督は「ショックだ。翔平が打席に立たない可能性は1%以下だと思ったが、残念ながらそのわずかな確率の出来事が起こってしまった」と肩を落とした。

 3ゲーム差の2位パドレスとの首位攻防3連戦の初戦。2勝すればチーム3年連続、自身では初の地区優勝が決まるため、大谷は奮い立っていた。初回は右腕キングの初球の内角高めの93・7マイル(約151キロ)を痛烈にはじき返し、ワンバウンドで右翼席へ飛び込む二塁打。今季95本目の長打で1930年のベーブ・ハーマンの球団記録を94年ぶりに塗り替え、その後に遊撃手の悪送球で先制のホームも踏んだ。塁打数は393で、02年以降はメジャーで誰も到達していない400超えが視野に入ったが、後の3打席で快音を響かせることはできず「53―55(53本塁打、55盗塁)」のままとなった。

 試合終了を決める三重殺はメジャー史上28度目の珍事。パ軍は球宴後、メジャー最高成績の41勝17敗の快進撃で、これでここ10戦9勝と絶好調だ。ド軍は今3連戦で3連敗するとパ軍に同率で並ばれるが、直接対決の成績(2試合を残して現在3勝8敗)で下回るため首位を明け渡すことになる。両軍のゲーム差は2に縮まり、ロハスは「ここ数日、自分の仕事ができていなかったが、特に今回はチームを失望させてしまった」と声を絞り出した。

 大谷は試合終了からわずか14分後の午後10時8分にシャワーを済ませ、Tシャツ姿で帰路に就いた。残りは5試合。ずっと渇望してきた「ヒリヒリする」戦いが、今まさに繰り広げられている。(柳原 直之)

 ≪ベストの終わり方 ダルも驚き&歓喜≫まさかの結末にパドレス・ダルビッシュも一塁ベンチを飛び出し、ナインの歓喜の輪に加わった。大谷もネクストバッターズサークルに控える中、ファンも一体となった押せ押せムードを一瞬で消し去った内野陣のビッグプレーに「最近の大谷くんの調子を考えても怖いなっていうところはあった。トリプルプレーが本当にベストの終わり方だったのではないかと思う」と笑顔で語った。

 ≪PO決定日に完成は過去3度≫大リーグ公式サイトのサラ・ラングス記者によれば、チームがPO進出を決めた試合での三重殺完成は20年9月27日のブルワーズ以来4年ぶり。その他に1910年10月2日、1907年9月23日にカブスが記録しているが、試合終了時はこの日のパドレスが初めて。また、プロ野球における三重殺でのゲームセットは過去に7度しかなく、01年5月12日に巨人が中日戦で記録したのが最後だ。

 ≪メジャー史上30人目の400塁打まであと7≫大谷は初回の二塁打でシーズン393塁打とし、メジャー史上30人目の400塁打まであと7。歴代トップは1921年のベーブ・ルース(ヤンキース)の457。球団最多となったシーズン95長打はメジャーでは33位タイだ。歴代トップは同年のルースの119。残り5試合で、どこまで先人たちの偉大な記録に迫れるか。