円売り先行も続かず、欧州景気関連指標は連日の悪化=ロンドン為替概況

 ロンドン市場では、円売りが先行したがその動きは続かず。ドル円は序盤に144円台後半に高値を伸ばした。中国人民銀行が景気対策に本腰を入れたことや植田日銀総裁が「政策判断に当たり時間的な余裕がある」と繰り返したことなどが円売り材料となっていた。ロンドン時間に入ってからも欧州株や米株先物・時間外取引、原油先物などが上昇しており、リスク選好の動きは継続している。この局面ではユーロドルやポンドドルとともに、ユーロ円やポンド円が買われた。ユーロドルは1.11台前半、ポンドドルは1.33台で堅調に推移。ユーロ円は一時161円台乗せ、ポンド円は193円台乗せまで買われた。しかし、ロンドン昼にかけては円売りは一服している。ドル円は144円台割れ、ユーロ円は160円付近、ポンド円は192円台前半へと反落している。この日発表された9月ドイツIfo景況感指数は84.4と前回の86.4から低下、市場予想も下回った。昨日の9月ユーロ圏PMI速報値に続いての悪化だった。市場では10月ECB理事会での利下げ観測が5割程度へと上昇している。中国の景気対策は欧州経済にとっても朗報だが、足元の欧州景況感は悪化している。エストニア中銀総裁は、10月利下げを完全には排除できないが、12月の利下げ決定の方が容易だと述べた。

 ドル円は143円台後半での取引。東京市場では143.38近辺を安値に144円台へと買われた。中国人民銀行の利下げ方針や不動産対策、株価対策などの発表に加えて、植田日銀総裁が「政策判断に当たり時間的な余裕がある」との発言を繰り返したことが、中国・香港株高とともに欧州株も押し上げている。ロンドン序盤にかけてはドル円は高値を144.68近辺まで更新した。しかし、その後は上昇一服となり反落。足元では144円台を割り込んでいる。

 ユーロドルは1.11台前半での取引。東京午前の1.1103近辺を安値に、ロンドン序盤には高値を1.1146近辺まで伸ばした。しかし、1.11台前半からは抜け出せず上昇一服。ユーロ円は東京午前の159.24近辺を安値に買われ、ロンドン序盤には高値を161.11近辺まで伸ばした。その後はドル円とともに反落、160円付近で取引されている。対ポンドではユーロ買いが先行も、その後は売り戻されている。前日のPMI速報値、本日の独ZEW景況感指数の悪化などを受けて、市場での10月ECB利下げ観測は5割程度に上昇している。

 ポンドドルは1.33台後半での取引。ロンドン早朝に1.3332近辺まで下押しされた後は上昇に転じた。ロンドン序盤に1.3383近辺に高値を伸ばし、その後も高値圏で推移している。ポンド円は東京午前の191.34近辺を安値にロンドン午前には193.33近辺まで高値を伸ばした。足元では192円台半ばから前半へと下げている。ユーロポンドは0.8317から0.8339のレンジで上に往って来いと方向感に欠ける動き。

minkabu PRESS編集部 松木秀明