出産後に遺伝子検査などで托卵の事実が明らかになるケースもある。だが、妻が他人の子を身ごもることは、大多数の夫には防ぎようがないのだ。

◆「血縁関係なしは2〜3割」DNA鑑定の依頼も急増中

目の前の子供は、本当に自分と血が繋がっているのか──? 積年の疑念に終止符を打つDNA鑑定。遺伝子検査を主力事業とする「seeDNA」代表の富金起範氏は、「弊社では年間5000件以上の鑑定を行っていますが、うち2〜3割が『血縁関係なし』と判定されます」と衝撃的なデータを明かす。

「もちろんすべてが托卵によるものではなく、不妊治療の現場での受精卵の“取り違え”なども含まれています。私自身もこの取り違えを懸念して娘のDNA鑑定を行い、自分の子であることを確認しました。あくまで肌感覚ですが、托卵の事実により親子が『血縁関係なし』と判定されるものは、すべての子供のうち0.数%ほどだと思います」

托卵妻の中には「子供と夫の血液型が同じなら、托卵の事実はバレない」と豪語する女性もいるが、「そもそも血液型は親子関係を立証するための万能な手段ではない」と富金氏は断言する。

「新生児は血液型を調べるための抗体が十分にないので、1歳頃までは正しい判断が難しい。今のところDNA鑑定が、最も確実に血縁関係を知る手立てです」

◆結果が“シロ”だったとしても…

富金氏は「遺伝子検査はまだ未発達の領域で、国内での統一基準がない状態」と課題を指摘しつつ、こうも語った。

DNA鑑定の技術は年々進化しており、料金も2万〜3万円ほど。最短2日で結果を得ることができます。しかし、そもそも托卵を疑いだした時点で夫婦関係には深刻な亀裂が入ってしまいます。たとえ結果が“シロ”でも、家庭は崩壊したままというケースも多いのです」

わずか数日で真実を明かしてくれるDNA鑑定。ただ、一度失われた信頼関係は一朝一夕には回復できないようだ。

【ライター・亀山早苗氏】
明治大学文学部卒業後、ライターに。『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき』(小社刊)はじめ著書多数。「くまモン」の熱烈なファンでもある

【seeDNA代表・富金起範氏】
’03年、国費留学生として来日。筑波大大学院で分子情報医学を学ぶ。’17年に国内初の妊娠中の親子DNA鑑定法を開発し、海外でもサービスを展開中

取材・文/SPA!托卵妻調査隊 写真/AC

―[子供が実は赤の他人[托卵妻]の恐るべき手口]―