「高市早苗じゃないと日本は終わります」石丸伸二応援団長・ドトールコーヒー鳥羽会長が、自民党総裁選で「保守のプリンセス」を応援する理由

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「高市さんしかいない」

「努力に応じて国民が等しく幸せに暮らせる社会。そして世界から尊敬される国ニッポン。私はこれを夢見ており、実現させるためには優れた指導者の出現が望まれます。振り返ると、やりたいことはほぼ実現してきました。残りの人生では日本に貢献してくれる政治家を応援したいと考えております」

銀座・並木通り沿いにある10階建ての商業ビル。その最上階にある豪奢なサロンを訪ねると、ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏(87歳)は熱っぽく語り始めた――。

過去最多の9候補が名乗りを上げた自民党総裁選。序盤戦では小泉進次郎氏(43歳)、石破茂氏(67歳)を高市早苗氏(63歳)が追う構図だったが、ここにきて安倍晋三元首相の後継者を自任する高市氏への支持が広がっている。

そんな中、7月の東京都知事選で次点となった前安芸高田市長の石丸伸二氏(42歳)の後援会長を務めた鳥羽氏が高市氏を支援していることがわかった。改革派として無党派層の支持を集めた気鋭の若手から一転、なぜ「保守のプリンセス」なのか。

「石丸さんはSNSを駆使して注目を集め、都知事選では政治に関心がない層を投票に向かわせました。日本の政治・選挙を変えたと言っても過言ではない。その意味では日本国のために貢献したと考えます。同様に、日本に貢献してくれる政治家という観点で見ると、高市さんしかいないと考えております」

唯一の「成長路線」を高く評価

「国家は一人の優れた指導者により繫栄し、また一人の指導者によって滅びます。では、今回の総裁選の候補者を見比べたとき、最も政策がしっかりしていて、かつ『知識』『見識』『胆識』の3つが揃っているのは誰か。

私はダントツで高市さんだと考えております。高市さんには政策を断行できる実行力もあります。この方が総理になれば日本は立ちどころに変わるのではないか。そんな期待を込めて応援しております。

日本のGDP(国内総生産)はドイツに抜かれて世界4位に落ちました。一人当たりGDPに至っては世界38位です。国力の低下は明らかですが、残念ながら危機を訴えているだけの政治家が多いのが現実です。

石丸さんは安芸高田市長時代、市議に対して『恥を知れ! 恥を!』と言い放った。一種のパフォーマンスですが、これでバズッた。そこまで計算していて演技をしていたわけです。これはたいしたものだと思います。

ただし政策面を見ると、地方政治と国政を一概に比較することはできませんが、人口減少や社会保障の危機を訴えているだけでした。石丸さんの政策やメッセージには成長という言葉がなかった。ある意味、これが石丸さんの地方政治の限界でした。

一方、高市さんはどうすれば日本が成長するかを常々訴えています。今回の候補者の中でも唯一の成長路線です。私はこの点も非常に評価しております。高市さんは国民に夢を与え、しかも実行できる能力を持っている方だと思います」

外交は「弱気になるから攻められる」

高市氏は明確な国家観を持ち、外交・安全保障の強化を打ち出している。この点でも期待が高いという。

「(ドナルド・)トランプ氏、あるいは(カマラ・)ハリス氏。それから(ウラジーミル・)プーチンや習近平。こうしたリーダーと対峙したとき、今回の候補者はやり合えるのか。この点で不安があります。

しかし、高市さんであれば臆することなく外交ができるでしょう。靖国参拝問題にしても『そもそも外交問題でしょうか。あなた方も国のために殉じて亡くなった方を毎年お参りするでしょう。私も同じことをしているだけです』とビシッと言える方だと思います。

中国が沖縄県・尖閣諸島近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内に無断で海上ブイを設置した問題についても、岸田(文雄)さんは中国に抗議しましたが、習近平政権に無視されたままです。

外務省は『国連海洋法条約にブイを撤去する条文がないから』と弱腰ですが、高市さんは『放置できない問題。禁じられていないなら、撤去すればいいというのが私の結論だ』と毅然とした態度を取っています。

強いものに対してはケンカしません。弱気になるから攻められる。だからこそ強くあるべき。

安倍(晋三)さんは最初に総理になったとき、『美しい国、日本』と提言しました。安倍さんとは親しくしており、ハワイにあるコーヒー農園に昭恵夫人とともにおいでいただき、コーヒーの木の植樹をしていただいたこともありますが、『何て甘いことを言っているんだろうか』というのが私の本音であり、物足りさもありました。

一方、高市さんは安倍さんを踏襲しておりますが、『美しい国、強い国、そして成長する国』と力強く言っております。これが本来目指すべき国の姿ではないでしょうか」

石丸氏に続き「選挙の神様」を仲介

先の都知事選では石丸氏の後援会長を務め、法的に上限となる150万円を献金した。今回の総裁選ではどのような形で高市氏を支援しているのか。

「高市さんの応援を始めたのは昨年からです。実際にお会いしたのは一度だけ。しかし、それでも十分に日本の未来を託せる方だと確信しました。

高市さんが政見放送でも話していましたが、国会議員の手取りはそれほど多くないとのことです。どんな立場であっても自分の生活がおぼつかなければ仕事に没頭するのは難しい。

私にできることは、資金援助によって経済的な不安を感じずに政治に専念してもらうこと。許されるのであればいくらでも献金したい。しかし、ルールがあります。そこで、その範囲の中で名刺代わりとして合わせて300万円を献金しました」

高市陣営には「選挙の神様」の異名を持ち、7月の都知事選で石丸氏を次点に押し上げた選挙プランナーの藤川晋之助氏が加わった。初の女性総理を目指す高市氏にとって、これ以上ない援軍を得た形だが、仲介役を担ったのは鳥羽氏だ。

「石丸さんの選挙に続き、今回も藤川さんに『高市さんを応援してほしい』とお願いしました。私の願いは『卓越した国家経営者』の出現です。

日活の前身の映画会社を作った梅屋庄吉は、中国の革命家である孫文に経済支援をした。私も日本の国を根本から変え、真に信頼できる指導者に物心両面で支援していきたいと考えています。もっとも、私はあくまで応援団であり、できるだけ目立ちたくないのが本音です」

小泉進次郎には期待していたが…

序盤戦で最有力候補とみられた小泉進次郎氏や、5回目の挑戦となる石破茂氏のことはどう評価しているのか。

小泉進次郎さんが世に出てきた当初、『この人は期待できる。将来総理になってほしい』と思っていました。

招かれて自民党本部で講演した際、小泉さんに『政治とは関係ありませんが、ぜひ伺いたい。スターバックスが出てきましたが、ドトールはどうなるんですか』と質問されたことがあります。彼の意図は『コーヒー屋風情で生意気なことを言っているが、肝心のあんたの商売はどうなんだ』ということでしょう。なかなか面白い若者だと思いました。

可能性を秘めていると思いますが、『知識』『見識』『胆識』の3つを高市さんと比較すると、大きく見劣ってしまいます。外交面にしても世界に伍して外交ができるか。現状では難しいと思います。また選択的夫婦別姓の導入の件をはじめ事実誤認が多々みられており、政治家としては不勉強の面もあります。

学歴を指摘されることもありますが、それ自体は問題ではありません。田中角栄さんは小学校しか出ていません。しかし、議員の家族の名前まで憶えていたという異常な記憶力で人を惹きつけていた。私も高校を3ヵ月で中退しています。要は勉強しているかどうか。人間というのは進化する動物であり、やる気次第でいくらでも成長できます」

「石破さんはすべてが欠けています」

一方、石破氏についてはこう話した。

「石破さんは『知識』『見識』『胆識』の3つすべてが欠けています。4度の総裁選挑戦を経て最近は変わってきましたが、以前は子どもっぽい話をすることが多々ありました。地方創生担当大臣という役職に就き、地方をよく回っていたので人気が出ましたが、本来人気の出る方ではないと思います。

むしろ今回の9人の中では若手の小林鷹之さんに期待しております。彼は高市さん同様に保守であり、『知識』『見識』があります。49歳という若さゆえ『胆識』はまだ確認できませんが、将来の総理候補だと思います。

高市さんが総理を務めている間、彼女から様々なことを学び、経験を重ねながら来るべき出番を待つ。年齢を重ねれば『胆識』もついているでしょう。高市氏から小林氏へ。そんな展開になれば日本も変わるかもしれません」

行方が分からなくなってきた総裁選。日本初の女性総理を期待する鳥羽氏の願いは成就するか。投開票は今月27日だ。

中編記事『《石丸現象の仕掛け人》ドトールコーヒー鳥羽会長が初めて明かした…「石丸伸二という男」が残した功績と課題、そして今後』では、都知事選の熱狂から約3ヵ月、鳥羽氏が初めて「石丸現象」を振り返っています。

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