初秋の日差しを浴びて力投する高橋(撮影・立川洋一郎)

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 「阪神0−1巨人」(23日、甲子園球場)

 降板時に降り注がれた拍手が快投の証しだった。阪神・高橋遥人投手を責める人はいない。唯一、自身だけが負けを背負い込んでいた。「先制点を与えたんで。それが決勝点になったんで。申し訳ないって感じですね」。悔しそうに言葉を絞り出した。

 復帰後5度目の先発マウンド。初回を10球、二回を8球で三者凡退に片付けた。六回までわずか2安打無失点。クリーンアップも寄せ付けず、このままスイスイ投げ進めると思われた。落とし穴は七回。歯車が狂った。

 先頭の吉川へ追い込んでからの4球目。外角いっぱいの球がボールと判定された。「3ボールにしたので、あそこは余裕が少しなくなった」。フルカウントから中前打を許し、岡本和にも左前打で無死一、三塁。ここで代打の坂本を迎えた。

 追い込みながら、外角の149キロ直球を軽打で右前に運ばれ、先制点を献上。「カウントを不利にしたのもそうだし、最後に打ち返されるボールも…。力不足って感じです」。3連打で1死も取れず、6回0/3を5安打1失点で復帰後初黒星。ベンチで戦況を見守る顔も暗かった。

 8月11日の広島戦で復帰し、そこから4戦4勝。逆転優勝への最後のピースが帰ってきた。満を持して、大事な大事な伝統の一戦を任されたが、無念の黒星。「浮いてる球も何球かあった。相手の打者より、自分の球が劣っていただけかなと思います」。言い訳することはなかった。

 次回登板は中9日でシーズン最終戦となる10月3日のDeNA戦(横浜)が濃厚。残り5試合で首位・巨人とは2ゲーム差に広がったが、最後の最後まで優勝争いがもつれる可能性はある。「この前の試合もそうですけど、絶対に原因があると思う。もっと力をつけなきゃなと思います」。次回こそリベンジ。高橋遥人はこんなもんじゃない。