『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 〈ワルプルギスの廻天〉』ティザービジュアル ©Magica Quartet/Aniplex,Madoka Project

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 およそ12年ぶりとなる“まどマギ”本編の最新作『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』(以下、『ワルプルギスの廻天』)が、2025年冬に公開される予定だ。9月16日には特報映像の第2弾が公開され、ファンたちが大きな盛り上がりを見せている。

参考:『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』特報第2弾公開 新キャラも登場?

 そこで今回は、今まで公開された予告編の映像に散りばめられている意味深な描写について考察を行い、劇場版最新作がどんな内容になるのか予想を膨らませてみたい。

 まずは考察の前に、同劇場版の位置付けについておさらいしておこう。『魔法少女まどか☆マギカ』は2011年に放送されたシャフト制作のオリジナルTVアニメで、その後劇場総集編を経て、2013年にオリジナルストーリーの『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』(以下、『叛逆の物語』)が公開された。

 今回公開される『ワルプルギスの廻天』はその正統続編と銘打たれており、総監督に新房昭之、脚本にニトロプラスの虚淵玄、キャラクター原案に蒼樹うめと当時のスタッフが再結集している。もちろんメインキャストたちも続投だ。

 ストーリーについてはまだ詳細が明かされていないが、特報映像の第2弾にはさまざまな要素が提示されている。

 まず映像の冒頭では、制服姿の暁美ほむらと鹿目まどかが手をつなぎながら踊っている姿が。ここで気になるのは、ほむらの瞳の色が今までとは違うピンク色になっていることだ。他の場面では通常の紫色の瞳をしたほむらが描かれているため、彼女が“2人”登場することを示唆しているのかもしれない。

 ちなみに以前公開されたティザービジュアル第2弾にもピンク色の瞳をしたほむらが登場しており、もう1人のほむらと対峙する姿が描かれている。そして偽物のほむらの正体としては、使い魔である「偽街の子供達」の内の誰かではないかとも考察されているようだ。

 また映像内には美樹さやかや佐倉杏子、巴マミといったお馴染みの登場人物たちのほか、「叛逆の物語」から登場している百江なぎさの姿も。そして緑色の髪をした少女と、無数のカラーボールに埋もれながら笑う茶髪の少女という2人の新キャラクターも姿を見せており、大きな注目を集めている。

 一見彼女たちの世界は平和そうに見えるものの、不穏なのは制服のデザインが2種類に分かれていることだ。まどかやマミが白い襟の制服を着ているのに対して、新キャラクターの2人は襟部分が黒く、ほむらに関しては白襟と黒襟の2人が存在している。ここには何らかの対立構造が隠されているのかもしれない。

 ここからは『叛逆の物語』までの展開に触れつつ、より踏み込んだ考察を行っていきたい。

※以降、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』までの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。

 ここからは『叛逆の物語』までの展開に触れつつ、より踏み込んだ考察を行っていきたい。

 そもそも同作はインキュベーターという生物と契約することによって魔法少女になった少女たちの戦いを描いた物語だが、実は魔法少女はやがて魔女になることを運命付けられていた。しかしTVアニメ版の結末にて、まどかが「全ての魔女を生まれる前に消し去りたい」と願った結果、宇宙が再編され、「円環の理」によってあらゆる時間軸の魔法少女が魔女になることを回避できるようになった。

 『叛逆の物語』ではその続編として、“偽りの見滝原市”に閉じ込められたほむらの物語が描かれることに。そこで彼女はインキュベーターの策略によって魔女となってしまうのだが、まどかたちの活躍によって人間へと戻る。しかしそのまま「円環の理」に連れ去られることをよしとせず、逆に人間としてのまどかの記録を奪い去り、新たな世界を生み出すのだった。

 そのため順当に考えると、『ワルプルギスの廻天』ではほむらによって改変された世界が舞台となるはず。実際に特報映像では悪魔ほむらの姿が描かれているので、ほむらが“悪魔化”した後の時間軸だと想像できるだろう。

 とはいえ1点、違和感を抱かせる描写も。「円環の理」によってすべての魔女は消滅したはずだが、なぜか特報第1弾などでは「ワルプルギスの夜」こと「舞台装置の魔女」の再登場が匂わされているのだ。

 実際に作品を観なければ解けない謎だが、1つの仮説としては「ほむらがワルプルギスの夜になる」という可能性も考えられる。

 「ワルプルギスの夜」は真の名前がいまだに明かされておらず、正体不明の魔女。だが歯車をモチーフとしていることがほむらと共通しており、両者に何かしらの関係があるのではないかと考察されていた。

 特報第2弾でもこれを示唆する描写があり、ほむらが写ったコンパクトミラーの上部にドイツ語で「愚かな」を意味する形容詞「Dumme」が綴られていた。「ワルプルギスの夜」は公式サイトの魔女図鑑にて「回り続ける愚者の象徴」とされていたので、やはり両者の関連性は無視できないだろう。

 ただ、『叛逆の物語』ではほむらが魔女化した姿が「くるみ割りの魔女」として描かれていたので、「ワルプルギスの夜」の誕生とどう結びつくのかは今のところ未知数だ。

 さらにもう1点気になるのは、包帯でぐるぐる巻きになった美樹さやかの姿が描かれていること。さやかといえば、改変後の世界にてまどか以外では唯一ほむらのやったことに気づいた人物だった。『叛逆の物語』では結局改変前の記憶を失い、幸せな日常に馴染んでいったように見えたが、今作にて何らかのキーパーソンとして活躍するのかもしれない。

 なお、10月25日~31日にかけて前作『叛逆の物語』が劇場でリバイバル上映されることも発表されている。最新作の公開に先駆けて、今まで魔法少女たちが辿ってきた足跡を振り返ってみてはいかがだろうか。(文=キットゥン希美)