※写真はイメージです

写真拡大

恋人との特別な時間を過ごせるラブホテル。自宅ではなかなか味わえない豪華な泡風呂やジェットバスなど、非日常なバスタイムを楽しむ人も多いはず。
そんな楽しいひとときに、予想外の事態に見舞われたことはあるだろうか。私(帆浦チリ)は以前、訪れていたラブホのお風呂で命の危険を感じたことがある。思い返すと結構まぬけな出来事だが、一緒に宿泊していた彼氏はかなり肝を冷やしたらしい。

◆事件が起きたのは、関東から車で約4時間の新潟のラブホ

その日は、私の彼氏の誕生日祝いも兼ねて2人で新潟に訪れていた。北関東から車で約4時間、彼氏の愛車であるトヨタの86での長旅ドライブだ。

しかし、その日の私は運悪く、慢性的な便秘で尻を負傷していた。痔の患者にとって「地面の上を直に走っているみたい」な車高の低いスポーツカーと、切れ痔の尻は最悪の組み合わせである。だが、せっかくの誕生日旅行だ。私の切れ痔ごときで、彼に余計な心配をかけるわけにはいかない。道中は尻への負担が最小限で済むようにしなければ!と、気合をいれる。

そうして私は目的地に着くまでの間、彼氏の車用クッションを勝手に借りてみたり、「寝ないで一緒に起きてるよ!」などと言いながら、リクライニングを全開に倒して横になり、数分後には爆睡していた。この最悪の助手席ムーブの連発を、怒らずに見守ってくれる彼氏には感謝しかない。

◆「結構深くイッた気がするぞ」切れ痔が火を噴く数分前

なんだかんだで新潟に到着。

すっかり眠りこけて、彼には申し訳ないことをしてしまった。だが、おかげで尻はかなり回復している。やった!これで旅行中は、尻に気を遣わずに済む!そんな私の横で目を深くくぼませ、明らかに眠そうにしている彼。約4時間、ほぼ休憩なしで運転していたし、時刻は深夜0時を過ぎている。眠くて当然だ。適当なラブホテルにチェックインして、お風呂に入るためバスタブに湯をはる。

入浴の準備をしながら、急にトイレに行きたくなった。いつもそうだ。全くそんな気配はなかったのに、まるで本屋で気になった一冊を手にとり、開いた瞬間に便意に襲われるのと同じように、部屋に入った途端、尿意がくる。お風呂に入った後にトイレにいくのは損をした気分になるので、先に済ましておくことにした。

軽快な足取りでトイレに向かい、鼻歌を歌いながら戸を閉め、弾むように便座に座る。あるいは、弾まなければ無事だったのかもしれない。突如、肛門に鋭い痛みが走る。長距離ドライブで症状が和らいでいたので、完全に油断していた。「今のは……結構深くイッた気がするぞ……!」よく研がれたメスで、名医に患部を素早く裂き開かれるような、まさに一瞬の出来事。せっかく傷を悪化させずに新潟まで辿り着けたのに、やってしまった。浮かれきった気分はどこへやら、一転して絶望の淵に立たされた気持ちでトイレから出る。

尻を負傷している間に、お風呂が沸いていた。そういえば、痔の人は湯船につかるといいって聞いたことがある。眠ってしまいそうな彼氏に声をかけて、お風呂に急いだ。

◆「ヤバい、めちゃくちゃ気持ち悪い」立ち上がった瞬間に回る視界

数時間前の尻を庇う私に逆戻りである。そんな私の隣で、彼女の尻がぱっくり切れているとは知らず「最高〜」と気持ちよさそうに湯船につかる彼氏。付き合いたてなわけではないし、一緒にお風呂に入れるという時点で、私たちはそこそこ素もさらけ出せる関係性だと思う。だが、さすがの私でも「さっきトイレに入った時さ……お尻、切れちゃった」なんて言い出すのは、なかなか勇気がいる。むしろ、尻が切れたことに関しては、なんとしても気付かれたくない。痛いことを悟られないようにしなくては……。