フリーランスデザイナーのTaneさん(@Studio_Chelsea_)は「パニック障害」を患って6年目に突入。その経験を漫画にまとめてSNSにアップし、反響を読んでいる。

【漫画で見る】パニック障害ではどんな発作が出る?日常生活はどうなる?

その発作は突然起こった


パニック障害とは、非常に強い不安や恐怖が突発的に襲ってくる精神疾患。動悸や息苦しさ、めまいなどの身体的な症状も伴う。さらに発作は繰り返し起こるため、「また発作があるかも」という不安にも悩まされる。ただ、その苦しみは当事者でないとなかなか理解されにくい。

実際に罹患するまでは、本人もパニック障害について「全く何のイメージもなかったですね。『なんか名前は聞いたことあるな…』という程度」だった。

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そんな健康だったTaneさんを6年前、突如原因不明の強烈な吐き気が襲う。父親が亡くなったとの連絡を受けた直後だった。「『何が起こったか』がわかりませんでした。とにかく『息が吸えない』『酷い吐き気』に襲われ、文字通りパニックです。その後もそれが数カ月続いたのですが、このときはもうしんどすぎて『何が起きているのか』を考える余裕もなかったです」

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病院に行っても「異常なし」の診断ばかり。その一方で、Taneさんいわく「オエオエ地獄」の発作は断続的に4年ほど続いた。おしゃれなカフェで発作が起き、トイレで吐きまくるなどのつらい経験も。そんなある日、ある看護師から心療内科を受けてみては?と告げられた。

「何か大きな悩みを抱えていたわけでもなかったので『なぜ心療内科!?』という気持ちと、散々病院を回って異常なしの診断を下されていたので『やっぱりそっちか』という気持ちと、ちょうど五分五分でした。症状を見て背中を押してくれたこのときの看護師さんには、本当に感謝しています」。そして、心療内科で初めて「パニック障害」の診断が下った。

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■「電車には乗れるけれど、バスはダメ」

心の病気の症状は本当に人さまざま。Taneさんの場合「電車には乗れるけれど、バスはダメ」「ショッピングモールはまあまあ、飲食店内はダメ」だった。「私の場合は『臭気の強い場所』がダメなのかなという感じでした。以前、友人と海の近くに遊びに行ったとき、直前まで元気でしたが、車から降りたときの磯のにおいで盛大に嘔吐き(えずき)、発作が出て大変でした…。本当に、人によって症状はバラバラみたいです」

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お風呂で発作が起き、気を失いかける体験も。「この病気のやっかいなところは、発作がいつ出るのかわからないんです。そのため、たまたまお風呂で発作が出たときは恐怖で失神(ブラックアウト)しそうになりました!」。間一髪で風呂場から脱出。「慣れてくると、発作が出そうなときがわかるようになり、ある程度ですが余裕も出てくるので、今は大丈夫です」

■読者のコメントに救われた

漫画を描き始めたきっかけは、パニック障害を友人に説明するときに「なにそれ?どういう病気?」と聞かれることが多く、一から説明するのが面倒だったからという。「親友から『絵、描けるんやし漫画で描いたら?』と言われて『それだ!』となりました(笑)。これを期に、友人たちだけじゃなく、広くこの病気を知ってもらえれば…と」

反響もあり、読者からのコメントでは「寛解のために薬を飲む」ことを教えてもらったのが印象に残るそう。「やはり、心療内科ビギナーにとって『向精神薬』って怖いんですよね(笑)。「飲んでも大丈夫なのか」とかいろいろ怖い想像をしてしまって。そんな中、読者の方で『なぜ薬を飲むのか』『薬を飲むことによって寛解にどう近づくのか』を非常にわかりやすく教えてくださった方がいて、このときからだいぶスムーズな生活を送れるようになりました」。描くことによって、結果的にたくさんの方たちに助けられることになったと振り返る。

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■「病気と楽しく付き合う」ことを伝えられれば

そして、つらい経験さえもどこかポジティブで、コミカルに描かれているのがTaneさんの漫画のポイント。「病気を扱うので、読んでくれる方がしんどくならないように、ポップに描きたいとは思っています。実際、ポップに生きていますので(笑)」

最後に漫画を通して伝えたいことを聞くと、「パニック障害に限らず“病気と闘う”ということは、精神力をけっこう削られていくんですよね。私も今は絶賛奮闘中なので、けっこうしんどい表現が出てくることが多いのですが、“つらさ”にフォーカスするのではなく“病気と楽しく付き合う”ことを伝えられればいいぁなと思っています。もしくは病気に関係なく、単純に漫画を読んで『こいつ、アホだなぁ』と笑い飛ばしてもらえればうれしいですね」

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※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。

取材・文=折笠隆