◆安価な相場ゆえ、悪質な業者も

 退職代行を選ぶ際も「怪しい業者に騙されるケースが増えている」と警鐘を鳴らす。

「『弁護士や労働組合との提携・監修』などと謳って集客しているケースは多いですが、本当に具体的な実績がある労働組合なのか一度調べてみたほうがいいです。結局、退職代行は1件につき3万円前後のビジネスモデルなので、一件ごとに時間をかけず、数をこなさないと利益が出ない。依頼者を軽視して、片手間でやる悪質な業者も多いです」

 もしブラック企業に入社してしまったら「いきなり退職してしまう前に、休職という選択肢も検討を」と坂倉氏。

「特にメンタルを病んでしまった場合には病院で診断書を書いてもらい、企業に提出することで休職の手続きができます。そうすれば傷病手当金を受給しつつ、未払い賃金やハラスメントなどの証拠集めの準備を進められる。これは退職してからでは難しいので、休職のほうが有利な条件で会社に反撃ができますよ」

 退職代行利用がやむを得ない事態もある反面、あらかじめその危険やリスクもぜひ心得ておきたい。

【NPO法人「POSSE」理事・坂倉昇平氏】
’06年、NPO法人POSSE設立。’14年には「総合サポートユニオン」を発足し、年間5000件以上の相談に関わる。著書に『大人のいじめ』(講談社)

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 写真(坂倉昇平)/村田克己

―[[退職代行する人]の主張]―