あるアンケートで今、働く男女の約7割がしたいと答えたのが、「FIRE」。Financial Independence Retire Earlyの頭文字を取った言葉で、若いうちにその後の人生に必要な資産を貯めて早期退職し、お金を気にせず悠々自適に自由に暮らすライフスタイルのことだ。

【映像】一度断念も再FIRE 当事者の1週間の過ごし方

 街で聞くと「したい」という反応が多く寄せられるように、まだまだブームは続きそうだが、一方では達成した人から後悔の声も。『ABEMA Prime』では当事者を交えつつ、FIREの形と生き方について考えた。

■一度断念も再FIRE、当事者語る“苦悩”

 FIREを達成した後に世界を一周、note で情報発信を行うYOSUKEさんによると、FIREして幸せを感じられる人と感じられない人に分かれるという。「後者の典型的な例は、“資産額をいくらにしたい”というところに執着し、目的がない状態の人。“思ってたのと違う”というふうになる」との見方を示す。

 3年前に5500万円を貯め、当時34歳でFIREしたあんぱんさんもその1人。「初めの3カ月ぐらいはゆっくりできて幸せだったけど、1年ぐらい経ったら“向いてないな”と鬱っぽくなっていった」と話す。

 週7日の自由時間を手に入れたものの、徐々に暇を持て余すようになったほか、生産性がない生活から達成感が得られないことに苦悩。社会人の時には感じなかった“社会とのつながり”を欲するようになった。

「それまでハードな仕事をしていたので、とにかくゆっくりしたりゲームしたりしたかった。しかし、ずっと家にいると社会とのつながりもない。みんなは週5働いている、自分は週7休んでいるとなると、自分だけ立ち止まっているような感覚になり孤独感を覚えた」

 その後、2022年に再就職し、宮城県へ移住。翌2023年に1年1カ月で退職し、東京へ移住。資産1億円を達成し、今は2度目のFIRE生活の真っ只中だ。「資産は平均すると年間1500万円ぐらい増えている」「今は単発の仕事をたまにするぐらいで、働いていない。めちゃくちゃ楽しい」。

■“リーンFIRE”は幸せ? ひろゆき「それを続けられるのも1つの才能」

 FIREにも様々な種類があり、労働なしが前提の「ファット(王道)FIRE」「リーン(節約FIRE」、労働ありが前提の「サイド(副業)FIRE」「バリスタ(パート)FIRE」「コースト(ゆったり)FIRE」がある。

 このうち、あんぱんさんはリーンFIREと言われることが多いという。「年間の生活費が300〜400万円ぐらい。自分ではリーンだと思っていない」。また、「記事で見たのは、FIREした人の平均資産は3000万円。FIRE界隈のオフ会にも参加しているが、生活を切り詰めている人も多い」という。さらに、節約生活について次のように説明する。

「ほとんど収入がなくなると住民税非課税世帯になるので、税金や年金はほぼかからなくなる。住居は工夫して、ボロ戸建てなどを選べばほぼゼロにできる。あとは食費だけだが、そこをミニマムにしている人もいる。ある意味サバイバルだ」

 こうした“働かないこと”に重きを置いたFIREについて、ベーシストでYouTubeでのゲーム配信なども行うミートたけし氏は「それは長期休暇と何が違うのか。FIREという言葉に夢はあるが、Financial Independenceが意味するのは仕事に左右されないことだと思う。僕は今、本業でやりたい仕事だけを選んでも食べていけているが、それが経済的自立なのではないか」との考えを述べる。

 一方、お笑いタレントのカンニング竹山は「本人が楽しいならいいと思う。ただ正直、“何が楽しいの?”っていうのが本音だ。どうせいつか死ぬんだから、もっといろいろやればいいのにと思う。年金の話も、こっちは働きながら払っているわけだから、働けるなら払ってほしい」と率直にコメント。

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「シェアハウスをやっている知り合いが無職の人に住まいと食料を与えていたが、そこに長期間住み続けられる人は本当に少ない。人は何かをしたくなったり、活動しなければならないという思い込みから、その環境に耐えられなくなる。そういう意味では、リーンFIREを続けられるのは1つの才能だ」と語った。(『ABEMA Prime』より)