「シティーハンター」(C)Netflix

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世界でも高評価

 俳優の鈴木亮平が主演しているNetflix映画「シティーハンター」が「週間グローバルTOP10(非英語映画)」(4/22-28)で初登場1位を記録した。しかも、Netflix公式HPによると、世界52の国と地域で週間TOP10入りを果たすという快挙だ。壮絶なガンアクションを披露した鈴木は「素晴らしいニュースに心が震えています。共に戦ったスタッフ、共演者、世界中の観客の皆様に心から感謝です」と喜びのコメントを発表。翌週には2位に後退したものの国内の映像業界は熱気に包まれている。

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 スポーツ紙の芸能記者がこう話す。

シティーハンター」(C)Netflix

「初登場から2週間のランキングでは、香港で2週連続1位、フィリピンでは6位と1位、韓国では3位と4位という好成績です。フランスでも初登場2位で翌週3位と上位に食い込んでいます。『シティーハンター』は海外でもリメイクされていて、香港では1993年にジャッキー・チェン主演で映画化、韓国では2011年にイ・ミンホとパク・ミニョン主演で連続ドラマ化され、フランスでも特殊な香水の奪還を描いた映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』(邦題)が2019年に公開されました。それもあって香港、韓国、フランスでは同作の人気が高いのです」

シティーハンター」は「週刊少年ジャンプ」に1985年から91年にかけて連載された北条司原作の人気漫画。単行本の累計発行部数は5000万部を突破するという大ブームを巻き起こした。主人公の冴羽リョウは裏社会のトラブル処理を請け負うスイーパー(始末屋)。銃の腕前は超一流、人間離れした身体能力と明晰な頭脳で難事件に挑むアンチヒーローとして描かれた。

 当初はハードボイルド色が強すぎて人気は伸び悩んだが、主人公のキャラクターを「もっこり」を連発するコミカルで、おバカイメージに路線変更したところ、人気に火が付いた。意外にも「シティーハンター」の実写化は日本では初めてだという。女性のバストの超アップが次々と目に飛び込んでくるセクシー満載な映画で、地上波では“不適切”と言われそうなシーンが多いのも世界で人気の理由だろう。

森田望智が“香”役

「ヒロインの槇村香を演じている森田望智は、2021年に配信されたNetflix作品で抜群な存在感を示した後、数多くの映画やドラマに出演してきました。今作では以前の作品の時とは、真逆のボーイッシュで活発な女性になりきっているところに演技の幅が表れています。しかも、両作とも“香”役で出演しているのも興味深いですね」(前出のスポーツ紙芸能記者)

 そんな森田は現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」に米谷花江役で出演するなど注目度が高い。リョウの相棒で元刑事の槇村秀幸役の安藤政信、リョウとの腐れ縁が切れない警視庁刑事・野上冴子役の木村文乃も、漫画やアニメのイメージを損なわない独特のオーラを放っている。Netflix日本の映画部門では初登場から2週連続でトップの座に君臨。「少年ジャンプ」連載当時から同作を知る中高年ファンの熱狂が伝わってくる。

 鈴木は3月31日に放送されたフジテレビ系「だれかtoなかい」でNetflixドラマ「忍びの家」を大ヒットさせた俳優の賀来賢人と対談した際、「我々は日本国内だけに向けて作品を作っていたけど、気がついたら海外、例えばお隣の韓国に20年くらい差をあけられちゃったっていう危機感がある」と打ち明けていた。「シティーハンター」の世界的な人気が実証されたことで、「韓国との20年の差は大げさ」「日本のスタッフだけでも世界を取りに行ける」などの声が業界から上がり始めたが、果たしてそうなのか。

 海外の映像作品に詳しい放送ライターがこう指摘する。

「『シティーハンター』は鈴木が所属する大手芸能プロダクション・ホリプロが制作しています。東京・新宿の大繁華街である歌舞伎町を舞台にしているため日本人スタッフの多さが目立ちます。ただ、エンドロールを見ると映像製作で重要な『Coloring』の担当者の名前は明らかに韓国人ですし、VFXプロデューサーや音楽プロデューサーより先に名前が登場していることに着目すると、このスタッフの力量に頼る部分が大きかったことが分かります」

韓国の映像プロ集団

“Coloring(カラーリング)”とは聞きなれない言葉だが、映画製作において色彩を調整し映像の見た目や雰囲気を制御する専門家を指す。具体的にはデジタルソフトを使用して彩度、明るさなどを調整することで、シーンや映画全体の雰囲気や感情表現を強化したり、青色を寂しさや悲しみ、赤色を情熱や危険といった感情と関連付けて表現したりする。これらの技術を使って映画の統一感や一貫性を演出することで、映画全体がまとまりのある美しい映像になる、という。

「担当したのはVFX(視覚効果)や色調技術で知られる韓国のDEXTER STUDIO(デクスタースタジオ)です。アカデミー賞受賞作の『パラサイト』やゾンビパニック映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』のほか、昨年12月にNetflixで公開され世界を席巻した日本原作ドラマ『幽☆遊☆白書』まで手がけています。Netflixの作品では欠かせない映像プロ集団です」(前出の放送ライター)

 実際、同社はYouTubeに映像処理の工程を公開しており、「パラサイト」では何もないところに道路や豪邸がCG(コンピューターグラフィックス)で出現していて驚かされる。

「エンドロールには他にもインドやタイに本拠地を置く米系企業の名があります。VFXや色調調整の技術では海外に頼るところが大きく、その甲斐あって歌舞伎町のダークな雰囲気が見事に作られました。『シティーハンター』の成功はNetflixの潤沢な予算とネットワークで世界との協業ができたおかげ、と言ったほうが実態に合っていると思います」(同)

 世界を“もっこり”させた「シティーハンター」。早くも続編を期待する声が高まっている。

デイリー新潮編集部