英ロンドン中心部にある「ギャリック・クラブ」(2020年10月7日撮影)。(c)TOLGA AKMEN / AFP

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【AFP=時事】英ロンドンで最も歴史のある紳士クラブの一つ、「ギャリック・クラブ(Garrick Club)」で7日、女性の入会を認める動議について投票が行われ、賛成約60%で可決された。国内メディアが報じた。会員が男性に限定されていることをめぐり、論争が起きていた。

 ギャリック・クラブは1831年に俳優と「教養ある洗練された男性」のために設立された。女性の入場を、男性会員の招待以外では認めていない英国最後のクラブの一つ。政界や法曹界の要人、メディア関係者、アーティストらが加入していることで知られている。

 英紙ガーディアンとテレグラフによれば、女性の入会を認める動議について、会員の約60%が賛成し、40%が反対票を投じた。

 AFPはクラブ側にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

 一部の著名会員は、女性を受け入れる動議が否決された場合は退会するとの意思を会長に書簡で表明したとされる。BBCの編集者ジョン・シンプソン(John Simpson)氏はX(旧ツイッター)で先週、「自分と同じく、多くの会員がこのままでは在籍できないと考えているはずだ」として、ミュージシャンのスティング(Sting)さんやマーク・ノップラー(Mark Knopfler)さんらの名前を挙げていた。

 女性の入会を認めるよう求める署名活動が始まったのは2021年。支持者の一人で、トニー・ブレア(Tony Blair)元首相の妻で弁護士のシェリー・ブレア(Cherie Blair)氏は、司法修習生だった1976年に訪れた際、後に夫となるトニー・ブレア氏がディナーに参加している間、外に立たされていたというエピソードを披露。「それ以来、ほとんど進展がないとは言語道断だ」と述べていた。

 署名の発起人は、同クラブには判事や弁護士の会員が多く、特に上層部で女性の割合が少ない職業で女性がネットワークを構築する機会を奪っていると主張していた。

 同クラブでは、これまでに何度か会員を男性に限定する規則の見直しが提案されたが、会員投票で3分の2以上の賛成を得られずに否決されてきた。

 過去には、文豪チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)が会員だったことで知られ、現在は俳優のベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)さんやマイケル・ゴーブ(Michael Gove)住宅・地域社会相も所属しているとされる。

【翻訳編集】AFPBB News

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