「モルヒネを扱う違法業者も」「禁断症状で冷や汗が…」歌舞伎町・トーヨコで蔓延するオーバードーズ「元中毒者」が明かす「お薬もぐもぐ界隈」驚愕の実態

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モルヒネを扱う違法バイヤーも…

歌舞伎町・トーヨコを中心に問題視されているのが処方薬の過剰摂取、通称オーバードーズ(OD)と呼ばれる危険行為だ。西本さん(仮名・20代)もかつてそんなODに取りつかれた一人である。

前編記事『「ぬいぐるみが喋り始める」「服が小さなクジラになって泳ぎ出す」歌舞伎町・トーヨコで蔓延...「お薬もぐもぐ界隈」による「オーバードーズ」経験者が明かす「ヤバすぎる幻覚」』に続き、処方薬ODの闇を当事者が明かす。

国も本格的な摘発に乗り出す中、なぜ乱用は止まらないのか。西本さんが自身の体験を元に解説する。

「マイスリーはテンションも高くなって活動的になる。マンチ(食欲増進)に入るので台所で料理を作っては食べるの繰り返し。睡眠薬のハルシオンもお腹が減りますが、意識自体はないので記憶がないままご飯をドカ食いします。目が覚めると冷蔵庫がほとんど空になっていたこともあり、数ヵ月で激太りしました。神経痛の緩和剤に使われるリリカは食べると5分ぐらいで浮遊感が味わえます」

アッパー(ハイになる)の効果を持つモノがある反面、気分を落ち着かせる処方薬も多い。

「精神安定剤のデパスは30分ほどするとリラックス状態に陥り、不安がなくなるような感覚がある。またお酒やタバコがやけに美味しく感じられるので、食事をする時などにも使用してました。バイヤーの中にはがんの鎮痛剤として知られるモルヒネも扱っている人もいましたが、さすがに怖くて注文できませんでした」(西本さん)

薬が切れると廃人状態に

しかし、ひとたび効果が切れれば麻薬にも似た禁断症状に苦しめられる。

「デパスは精神的な依存が苦しく、薬が手元になくなると四六時中イライラする。地に足がついていない、漠然とした不安というか……。慌てて薬を注文するんですが、届く前日などは何もする気が起きず、廃人状態になっていました。中でも苦しかったのがリタリンです」

リタリンは眠り病とも呼ばれるナルコレプシーの治療に用いられる薬だ。かつてはうつ病の薬としても処方されていたが、「使用するとハイになれる」と悪用するケースが後を絶たず、現在では取り扱いが厳格化されている。それゆえネット上では高値で取引されているという。

「リタリンは砕いてから鼻から吸う、いわゆるスニッフという方法で体に入れていました。この薬はとにかくやる気が起きる。なので起き抜けにまずリタリンを使って目を覚ます。でも2時間ほどすると徐々に抜けてきて、また吸引する。次第にスニッフという行為自体がクセになってきて、リタリンなしで過ごしている時間のほうが少ないようなサイクルに陥る。外に出掛けるのもリタリンが欠かせませんでした。逆に薬がなくなるとそれだけで気力がなくなり、布団でずっと寝込むような生活になりました」(西本さん)

西本さんがODの世界から足を洗ったのもこの副作用が理由だった。

用量を超えれば毒薬と化す

「禁断症状に振り回されているうちにふと自分が処方薬なしでは生きていけなくなっているのではないかと恐怖を覚えました。それまではビタミン剤のような感覚で薬を多用していて、中毒者だという自覚すらなかった。このままではまずいと思い、家中にある薬を捨てました」

断薬して1年あまりが経つというが、現在でも離脱症状に耐える日々が続いている。

「今でも落ち着かないような感覚はあります。自宅にいるとクセで薬を飲みたくなってしまって、ソワソワする。冷や汗が出る時だってあります。処方薬にもこれほどの反動があるなんて想像すらしてませんでした。薬がなくてもストレスなく生活が送れるように、とにかく耐える日々を送っています。

処方薬といっても成分自体は違法薬物と大差はありません。結局は正しい量を使われていなければ毒薬なんです。軽い気持ちで手を出すと簡単に依存症に陥り、後戻りができなくなってしまう」

合法薬だといって決して安心してはいけない。夢の国から一転、偽りの快楽の先に待っているのは退薬症状という終わりの見えない地獄の日々である。

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