ルワンダの首都キガリで、英国から移送される難民を受け入れる予定の宿泊施設(2022年5月19日撮影)。(c)Simon WOHLFAHRT / AFP

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【AFP=時事】英議会で22日、難民申請者をアフリカのルワンダに移送するための法案をめぐる審議が長時間行われ、深夜になって通過した。

 上院は法案の修正を求めたが、下院は繰り返し拒否。午前0時前に上院が譲歩した結果、法案は議会を通過した。国王の裁可を経て、法として成立する運び。

 英仏海峡を渡り入国する難民が記録的な数に上っているのを受け、リシ・スナク(Rishi Sunak)政権は対応を迫られている。首相は、ルワンダへの移送が難民の渡英抑止になるとみている。

 ルワンダへの移送構想は2022年に初めて打ち出されたが、国連(UN)機関や難民支援団体の批判を浴びた。また、撤回を求める訴訟も何件か起こされた。

 同年には最初の難民を乗せた飛行機が出発する予定だったが、欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)が直前に差し止める判断を下し、難民は飛行機から降ろされた。以来、移送は実現していない。

 会計検査院(National Audit Office)は、難民300人を移送するのに必要な費用は5億4000万ポンド(約1000億円)と試算。一人当たり200万ポンド近く掛かることになる。

 人口約1300万人のルワンダは、アフリカで最も安定した国の一つとされる。一方で人権団体は、20年超に及ぶポール・カガメ(Paul Kagame)政権による強権の下、言論や自由は抑圧されていると指摘する。

 スナク氏はこの日、政府の準備は整っており、10〜12週間後には最初の移送が行われる予定だと述べた。

【翻訳編集】AFPBB News

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