「レンタル彼女」のビジネスについて語るよもぎ氏

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 時間ごとに料金を払って女性を“レンタル”する「レンタル彼女」なるサービスが人気だという。「日本一高いレンタル彼女」を自称し、これまで2000人以上の客から指名されてきた伝説の女性キャストがビジネスの実態を明かした。

【写真】ニット姿、「レンタル彼女」のビジネスについて語るよもぎ氏。インタビュー中のアザーカット

「ご依頼いただいた男性と一緒にカフェで食事をしたり、動物園に行くこともあれば奥様の誕生日プレゼントを一緒に買いに行くなどもします。手をつなぐ、腕を組むまではOKですが、キスやセックスといった粘膜接触は一切行ないません。またキャストの身の安全を守るためにタクシーやカラオケ以外の密室空間に入ることはお断わりしています」

 そう語るのは、レンタル彼女の運営会社「喫茶れんたる」を経営するよもぎ氏(31)。自身もキャストとして活動する。大学時代に失恋をきっかけに始めたレンタル彼女のバイトにやりがいを感じ、一度は一般企業に就職するも脱サラ。2020年に「喫茶れんたる」を立ち上げたという。

 現在は10数人のキャストを抱え、レンタル料はランクごとに2時間5000円から8000円。終電までなら特に時間の上限はない。利用者はまずホームページから気になる女性を選び、予約フォームから申し込む。キャストから直接メールが届き、レンタル日時や場所を2人で確定させたら、銀行振込かクレジットカードで入金する。

 代表であるよもぎ氏は2時間3万円と高額で、「この金額は日本一です」と笑う。にもかかわらず、よもぎ氏の元にはリピーターも含め月15人以上の依頼が入る。

「地方から私に会うために夜行バスに乗ってくるお客さんもいます。仕事終わりにそのまま来てくださったり。どのお客さんもデート自体は本当にごく普通です。水族館に行ったり、カラオケに行ったり。定番のディズニーランドに行くこともあります」(よもぎ氏)

 現在、レンタル彼女の運営母体は「レンカノTOKYO」や「レンタル彼女プレミアム」など数社が鎬を削り、総会員数は20万人を超えるとも言われる。異性との出会いという点ではマッチングアプリやクラブ、ラウンジなどが思いつくが、客層が違うとよもぎ氏は言う。

「レンタル彼女のお客さんには、肉体関係目当ての方はいません。キャバクラなどのお客が“ライオン”だとすると、我々のお客さんは“柴犬”です。女の子とどう話していいかわからない。でも女の子と一緒の時間を過ごしたい。そんな男性から依頼をいただくことが多い」

 恋愛初心者の男性が女性に慣れるための入り口にもなっているそうだ。

「私の顧客はずっと男子校だった方とか、理系の大学卒の研究職で女性経験ゼロという方が珍しくない。手をつなぐとギョッとされてしまうこともしょっちゅうです。なので、これまでお客様から関係を無理強いされたり、まして“やらせろ”などと言われたことは一度もありません。

 ただ、プロポーズをされたことは一回だけあります。もちろん丁重にお断わりしました。レンタル彼女は“その時間だけの恋人”なので、プロポーズされたらプロとして失格だと思っています」(同前)

毛玉がないこと

 実際にレンタル彼女として活動してみると、「恋愛カウンセラー」の役割を担うケースが多いことを実感するという。

「“しつこく住所を聞いたらダメだよ”とか“食事中に貧乏ゆすりしたらダメだよ”とか、そのレベルからアドバイスします。本番デートのリハーサルとして利用する方もいて、それは私としても本望です。もっと言えば、デートの楽しさを知って、恋愛氷河期の雪解けを目指したい。ひいては日本の非婚化へも歯止めがかけられたらな、と」(同前)

 レンタル彼女の利用経験のある40代男性が語る。

「正直、女性経験はまったくなくて、デートがどんなものかさえ分からない。なので新鮮な体験ではありました。ただ料金的にはちょっと高くて(苦笑)。頻繁には利用できないかな」

 50代、60代の男性からも依頼が絶えないというよもぎ氏は、「好感度の高い中高年男性」の特徴をこう語る。

「第一に、加齢臭がしないこと。これが一番。印象の良かった50代、60代の男性はみんな加齢臭がしませんでした。体質もありますが、入浴時に気をつけてらっしゃるんだなと思うだけで好感度が上がるんです。

 そして衣類に毛玉がついていないこと。ファッション自体ではなく、衣類へのケアがなされていることが大事。あとは無精ヒゲがないことですね。基本的なエチケットばかりですが、ルックスはもちろん会話のテクニックやノリよりも“自分に気を遣っているかどうか”が大切だと実感します」

 そう話すよもぎ氏は、「これから予約が入っているので」と颯爽と去って行った。

●レポート:河合桃子(かわい・ももこ)/1977年、東京都生まれ。ライター。AV業界を長年取材するほか、性風俗産業や一般人によるアダルト動画配信、性犯罪などをレポートする。

※週刊ポスト2024年4月26日号