SNSに投稿された「キャッシュレス化の波、どうにかならないのか」という、飲食店主のつぶやきが話題になっている。

【映像】キャッシュレス決済後のお金の流れ(イラスト付き)

 その投稿では、キャッシュレス決済で手数料が引かれるため、「どんだけ辛いか。現金で払ってくれるお客様が神様に見える」と投稿された。ABEMA的ニュースショーでは、SNSに投稿した、千葉・船橋駅近くの「Pizzeria Bar Trico 船橋店」の白鳥賢オーナーを直撃した。

「毎月カード手数料がまとまってくるが、明細を見て『いままでこんな高くなかったのに』とショックを受けた。売上がいったんカード会社に行き、手数料を引かれて入金される。格安店のため(影響は)大きい」(Pizzeria Bar Trico・白鳥賢オーナー)

 この店の場合、クレジットカード決済は3.24%、PayPayなどのQRコード決済は1.98%の手数料が発生し、店側が負担している。経営する3店舗で、キャッシュレス手数料は月30万円にのぼる。

「1000円の商品を売ったとき、原価が40%、人件費が20%強。光熱費なども引くと、お店の利益は10%もなく、100円あればいい方だが、そこから30円取られるから大きい。手数料は自宅の家賃より高く、もう1店舗できるくらいの金額」(白鳥賢氏)

 税理士の金子尚弘氏は、飲食店や小売店などは「仕入れ値が上がる中で、クレジット客の比率が高まると、その分利益を圧迫する」と指摘する。

「利益ではなく売上の3%が飛ぶのは、かなりの負担。PayPayは導入当初、手数料を取っていなかったが、2%近くになった。手数料が上がる段階で、やめようとする店は実際に複数聞いたことがある」(税理士・金子尚弘氏)

 政府はインバウンド需要の拡大を見込み2025年6月までにキャッシュレス決済比率4割程度をめざす目標を発表。現在の普及率は39.3%。将来的には世界の水準に合わせ80%までもっていきたいとしている。

 そもそもキャッシュレス決済の手数料は、なぜ発生するのか。ITジャーナリストの三上洋氏は「複数事業者が入っているから」と解説する。まずは、決済端末を入れて、回線接続する決済代行業者だ。続いて「チャージ自体にもお金がかかる」。銀行クレジットカードなどにも手数料がかかり、「シンプルに見えても、たくさんの事業者が入っているため、どうしても経費がかかるのは、やむを得ない」という。

「以前の調査では、現金客よりも、キャッシュレス客の売上が上がったという統計が出た。客数の単価も見込める。一方で、コード決済の事業者も順調とは言えない。また、クレジットカードなどでは一般的に翌月入金のため、現金が1カ月後まで入らないリスクは、中小企業や個人店舗では大きい」(ITジャーナリスト・三上洋氏)

 金子税理士は「利益率1〜2%で回っている店にとっては、価格を変えないと、手数料が増えた分だけ赤字になる場合がある」と語る。白鳥オーナーは「(キャッシュレス化の)波は止まらないため、仕方なく払っている」としつつも、「最終的には価格転嫁するしかない」と胸中を明かした。

(『ABEMA的ニュースショー』より)