女子ゴルフ新記録7度目エースの裏で実はスイング改造中 38歳でも失わない4位藤田さいきの向上心
富士フイルム・スタジオアリス女子オープン第2日
女子ゴルフの国内ツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の第2日が6日、埼玉・石坂GC(6535ヤード、パー72)で行われた。19位で出た藤田さいき(JBS)はツアー新記録となる7度目のホールインワンを含む1イーグル、6バーディー、2ボギーの66で回り、通算7アンダーで首位に1打差の4位に浮上。上田桃子(ZOZO)、阿部未悠(ミナベアミツミ)、佐久間朱莉(大東建託)が8アンダーで首位。
13番パー3(150ヤード)。藤田は第1打を8アイアンで放つと、すぐに入る予感がしたという。
「(ホールインワンが出る時は)いつもそうなんですけど、弾道と飛んでいる感じで『入るかも』と思って『ゾワッ』とするんです。今日もそうで、着弾してからは『入って』と祈りました」
ボールはピン手前1メートルに落ち、ワンバウンドしてカップイン。藤田はバンザイをして同組の竹田麗央、小林夢果とハイタッチした。2022年4月のフジサンケイレディスクラシック(川奈ホテルGC富士C)以来、約2年ぶり7度目のホールインワン。藤田はすぐに新記録達成を自覚した。
「いや〜、この2年間は7回目をモチベーションにしてきたので、めちゃくちゃ意識していました。歴代1位はやっぱり嬉しいですよね。今日のキャディーさんは前回の川奈でホールインワンが出た時、一緒の組で別の選手のバッグを担いでいたので、『俺が持っている』と言っていました(笑)」
だが、すぐに気持ちを切り替えていた。15番パー4でバーディー。16、17番を連続ボギーにしたが、18番パー4は、残り130ヤードからの第2打を8アイアンでピン1メートルにつけ、会心のバーディーを奪った。
「7回目なんで浮かれることはなかったです(笑)。最後も獲れて良かったです。あっ、これも8番アイアンか。このクラブが頑張ってくれましたね」
実はスイング改造中、プロゴルファーの兄が証言「妹ながら凄さを感じています」
この日、好ショットを多発したが、実はスイング改造中だった。
「去年から兄に教えてもらって、オフからしっかりと取り組んでいます。(新スイングを)自分のものにするのは時間がかかると思います」
ロープ外で見守っていた兄でプロゴルファーの頼藤勇樹(旧姓・藤田勇樹)は、「少しでも長くプレーするための対策」と話す。
「ゴルフを始めた頃からフェースローテーションを使って体に負担のかかるスイングだったので、(ローテーションを少なくした)体に優しい今風のスイングに変えています。今までのイメージとは真逆のことをやっているのですが、かなり対応できています。妹ながらそこに凄さを感じています」
藤田は14歳でゴルフを始めた。半年後には中学の全国大会に出場。実はそれまでに人生初のホールワンを決めている。
「始めてすぐでしたね。(地元)栃木のゴルフ場でグリーンに行ったら、ボールがないのでカップを見たら入っていました。プライベートを含めるとホールインワンは11回ぐらいですかね」
ゴルフを始めた頃からセンス抜群の38歳。最終日への意気込みを聞かれると、サラリと言った。
「優勝したいですね。そこは目指してきているので。あと、8回目(のホールインワン)も。ずっと歴代1位でいたいですから」
22年11月の大王製紙エリエールレディスで11年ぶりのツアー通算6勝目を挙げ、感動を呼んだ。改造途中ながら磨きがかかる新スイングと2つのモチベーションが、藤田の力になりそうだ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)